外国人採用とは、就労できる在留資格を持つ外国人を雇用することです。在留資格の確認・雇用契約の準備・入管への申請・入社後のハローワーク届出、という流れで進めます。
この記事では、外国人採用を初めて担当する方に向けて、在留資格の選び方から採用手順・費用の目安まで順番に説明します。
この記事でわかること
- 外国人を雇用できる在留資格の種類と対応業種
- 特定技能と技人国ビザの違いと選び方
- 内定から就労開始までの採用手順(4ステップ)
- 人材紹介・行政書士費用の目安
- 採用前に社内で整えておくべき受け入れ体制
この記事は、特定技能・技人国など外国人採用を専門とする人材紹介会社・株式会社kedomoが作成しています。
目次
外国人採用とは — 雇用できる在留資格の種類
外国人を採用するとき、まず確認しなければならないのが「在留資格」です。外国人が日本で就労できるかどうかは、本人が持つ在留資格の種類と、担当する業務の内容が一致しているかどうかで決まります。
在留資格に含まれない業務をさせることは不法就労にあたり、雇用した企業側にも罰則が科される場合があります。外国人採用を進める前に、雇いたい職種がどの在留資格に対応しているかを必ず確認してください。
在留資格と業種の対応表(製造・介護・ITほか)
就労できる主な在留資格と、対応する業種・職種は以下のとおりです。
| 在留資格 | 対応する職種・業種 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| 特定技能1号 | 製造・介護・建設・外食・宿泊・農業など16分野 | 技能試験の合格が必要。在留期間は通算5年まで |
| 特定技能2号 | 介護を除く11分野(建設・製造・宿泊・農業・漁業ほか) | 条件を満たせば永住申請も可能。2023年に大幅拡大 |
| 技術・人文知識・国際業務(技人国) | ITエンジニア・通訳・翻訳・マーケティングなど | 大学卒業または実務経験が必要 |
| 技能実習(育成就労) | 製造・農業・建設・介護など | 2027年4月に育成就労制度へ移行予定(2025年9月閣議決定) |
| 介護 | 介護福祉士の資格保有者に限る | 介護福祉士国家試験合格が要件 |
| 高度専門職 | 高度な専門知識・技術を持つ人材 | ポイント制でビザの優遇あり |
| 永住者・定住者・日本人の配偶者等 | 業種・職種の制限なし | 在留資格の更新手続きが不要 |
特定技能と技人国ビザの違い — どちらが自社に向いているか
最もよく比較されるのが「特定技能」と「技術・人文知識・国際業務(技人国)」の2つです。
特定技能は、現場作業に就ける在留資格です。製造ラインや介護現場、飲食店の調理といった業務に対応しています。外国人採用の前に、本人が対象の技能試験に合格していることが求められます。業種ごとの詳細は、製造業で雇用できる在留資格や介護職の在留資格もあわせて確認してください。
技人国は、知識や技術を使う職種向けです。ITエンジニアや通訳・翻訳、マーケティング担当者などが当てはまります。大学や専門学校での専攻と、担当業務の関連性が審査のポイントになります。
目安として、現場で手を動かす業務には特定技能、デスクワークや専門職には技人国、と考えると分かりやすいです。ただし例外もあるため、具体的な職種に迷ったときは入管(出入国在留管理庁)に確認するか、専門家に相談してください。
外国人採用の手順 — 内定から就労開始までの4ステップ
外国人採用の流れは日本人採用と似ている部分もありますが、在留資格の申請や書類準備に時間がかかるため、スケジュールに余裕を持って進めることが大切です。
ステップ1:採用方法を決める(人材紹介 / 直接採用 / ハローワーク)
外国人採用には、大きく3つのルートがあります。
人材紹介会社を使う方法は、最も一般的です。特定技能や技人国の人材を専門に扱う紹介会社が多く、ビザ申請のサポートまで含めて依頼できるところもあります。費用の目安は在留資格によって異なります。技人国は日本人採用と同様に想定年収の30%程度が多いですが、本人の日本語レベルや経験によって変わることが多いです。特定技能は定額制(30万円程度)を設けている会社もあり、国内在住か海外在住か、経験によっても変わります。kedomoの特定技能の紹介料については定額制料金のご案内をご覧ください。
直接採用(ダイレクトリクルーティング)は、海外の求人サービスやSNSを通じて自社で候補者を探す方法です。紹介手数料がかからないかわりに、在留資格申請の手続きは自社で対応するか、行政書士に依頼する必要があります。
ハローワークでも外国人の求人を受け付けています。外国人雇用サービスセンターが都市部に設置されており、相談や求人紹介の支援を受けることができます。
どのルートを選ぶかは、採用したい在留資格の種類や、社内に手続きを担当できる人員がいるかどうかによって変わります。初めての外国人採用であれば、サポートの手厚い人材紹介会社を使うと、書類の誤りによるやり直しを減らせます。
ステップ2:雇用契約書・労働条件通知書を準備する
外国人採用でも、日本人と同様に労働基準法が適用されます。賃金・労働時間・休日など労働条件を明示した「労働条件通知書」の交付は義務です。
外国人材の場合、日本語での通知だけでは内容を十分に理解できないことがあります。母国語または英語での翻訳を用意しておくと、入社後のトラブルを減らせます。近年はChatGPTなどのAIツールで精度の高い翻訳が手軽にできるため、そうしたツールを活用するのも現実的な選択肢です。ただし、法的な効力が求められる書類については、専門家への確認を合わせて行ってください。
また、国籍を理由に日本人と賃金や労働条件を異なるものにすることは、労働基準法違反にあたります。同等の経験・スキルであれば、日本人と同じ水準の条件を適用してください。
ステップ3:在留資格を申請する(入管への提出書類一覧)
雇用契約が確定したら、在留資格の申請手続きを行います。本人がまだ海外にいる場合は「在留資格認定証明書」の取得が必要で、審査には1〜3か月程度かかることがあります。すでに日本に在留している場合は「在留資格変更許可申請」となります。
申請書類は在留資格の種類によって異なりますが、共通して必要になる主なものは以下のとおりです。
- 在留資格認定証明書交付申請書(または在留資格変更許可申請書)
- 本人のパスポートおよび写真
- 雇用契約書のコピー
- 会社の登記事項証明書
- 直近の決算書
- 雇用理由書(技人国など職種の関連性が審査される場合)
特定技能の場合は上記に加えて、技能試験の合格証、日本語試験の証明書、支援計画書なども必要です。特定技能の申請書類の詳細は「特定技能」受入れ申請に必要な書類まとめで確認できます。
申請書類の最新一覧は出入国在留管理庁のウェブサイトで確認してください。
参考:在留資格の申請書類一覧(出入国在留管理庁)
ステップ4:入社後に届出を行う(ハローワーク・社会保険)
外国人採用後は、入社後に以下の届出が必要です。
ハローワークへの外国人雇用状況の届出は、すべての事業主に義務付けられています。雇い入れた翌月の末日までに、本人の氏名・在留資格・在留期間などをハローワークに届け出てください。届出を怠った場合、30万円以下の罰金の対象になることがあります。
参考:「外国人雇用状況の届出」について(厚生労働省)
社会保険(健康保険・厚生年金)は、日本人と同様に加入要件を満たす場合は加入義務があります。在留資格の種類に関係なく、週30時間以上勤務するなどの要件を満たせば加入対象です。入社後の届出・報告義務の詳細は「特定技能」採用後に必要な報告・届出もあわせて確認してください。
外国人採用にかかる費用の目安
外国人採用にかかる費用は、採用ルートと在留資格の種類によって大きく変わります。
人材紹介会社を利用する場合、料金体系は在留資格の種類によって異なります。
技人国(技術・人文知識・国際業務)の場合、紹介手数料は日本人採用と同様に想定年収の30%程度が相場です。ただし本人の日本語レベルや実務経験によって変わることが多く、一律ではありません。
特定技能の場合は、定額制(例:一人30万円程度)を設けている紹介会社もあります。国内在住の人材か、海外から呼び寄せる人材かによっても費用が変わることがあります。具体的な料金は複数社に問い合わせて比較することをお勧めします。
特定技能の場合、登録支援機関に支援業務を委託すると月2〜5万円程度の費用がかかります。支援機関なしで自社対応する場合は委託費用はかかりませんが、定期面談・生活支援・相談対応など10項目の支援を自社で実施する体制が必要です。自社対応の要件については登録支援機関を使わず自社で採用する方法で詳しく解説しています。また、特定技能外国人の給与水準については特定技能外国人の給料・賃金事情も参考にしてください。
在留資格の申請手続きを行政書士に依頼する場合、10〜15万円程度が相場と言われることが多いです。費用の内訳や相場の詳細は外国人のビザ取得費用の相場で確認できます。自社申請の場合、在留資格認定証明書交付申請は手数料が無料です。在留資格変更許可申請・在留期間更新許可申請は、2025年4月以降の申請分から6,000円(オンライン申請は5,500円)に改定されています。
参考:在留手続等に関する手数料の改定(出入国在留管理庁)
費用は採用する人数や在留資格の種類によって変わるため、具体的な数字は紹介会社や行政書士に相談して確認してください。
外国人採用の受け入れ準備チェックリスト
外国人採用の手順を進める前に、社内の受け入れ体制を整えておくことで、入社後の問題を減らせます。
日本語でのコミュニケーションについて、業務上どの程度の日本語力が必要か、事前に整理しておきましょう。日本語が十分でない場合に備えて、やさしい日本語での業務マニュアルや、多言語対応のサポートを準備しておくと、現場での混乱が少なくなります。
社内規程の整備も必要です。外国人材の受け入れが初めての場合、就業規則や賃金規程が日本人を前提に作られていることがあります。宗教上の理由による食事制限や休暇取得など、対応方法をあらかじめ決めておくと、現場の担当者が判断しやすくなります。
宿舎の確保が必要なケースもあります。特定技能や技能実習の場合、住居の確保を支援する義務がある場合があります。宿舎を用意する場合は、入居条件や家賃の取り扱いを事前に明確にしておいてください。
在留カードの管理についても確認が必要です。在留カードには有効期限があり、更新を怠ると就労が認められなくなります。担当者が在留期限を定期的に確認できる仕組みを、入社前に用意しておくと安心です。
まとめ + よくある質問(Q&A)
外国人採用の基本的な流れをまとめます。
- 雇いたい職種に対応した在留資格を確認する
- 採用ルート(人材紹介・直接採用・ハローワーク)を決める
- 雇用契約書・労働条件通知書を準備する
- 在留資格の申請を行う(1〜3か月かかる場合あり)
- 入社後にハローワークへ届出、社会保険の手続きを行う
初めて外国人採用に取り組む場合は、手続きに慣れた人材紹介会社や行政書士と連携しながら進めると、書類の誤りや手続きの遅れを減らせます。特定技能と技能実習の事務負担の違いについては「特定技能」と「技能実習」の事務処理負担を比較も参考になります。
よくある質問
Q. 外国人採用とは何ですか?
就労できる在留資格を持つ外国人を雇用することです。日本人の採用と同様に労働基準法が適用されますが、在留資格の申請や入社後の届出など、追加で必要な手続きがあります。
Q. 外国人採用を始めるには何が必要ですか?
就労できる在留資格の確認、雇用契約書の準備、在留資格の申請が最低限必要です。業種によって必要な在留資格が異なるため、まず自社の職種と在留資格の対応を確認することが先決です。
Q. 外国人採用にかかる費用はどのくらいですか?
在留資格の種類や採用ルートによって異なります。技人国(ITエンジニアなど)の場合、人材紹介手数料は想定年収の30%程度が相場ですが、本人の日本語レベルや経験によって変わることが多いです。特定技能では定額制(一人30万円程度)を設けている紹介会社もあります。登録支援機関への委託費用は月2〜5万円程度が目安です。行政書士に在留資格申請を依頼する場合は10〜15万円程度かかることが多いです。いずれも会社や状況によって異なるため、具体的には各社に確認してください。
Q. 特定技能と技人国ビザはどう違いますか?
特定技能は製造・介護・外食など現場作業に就ける在留資格で、対象の技能試験への合格が必要です。技人国(技術・人文知識・国際業務)はITエンジニアや通訳など、知識や技術を使う職種向けです。雇いたい職種がどちらに当てはまるかで選びます。
Q. 外国人採用で禁止されていることはありますか?
在留資格に含まれない業務をさせることは不法就労にあたり、雇用主にも罰則があります。また、国籍を理由に賃金や労働条件を日本人と差別することは労働基準法違反です。
Q. 外国人を採用したらどこに届け出が必要ですか?
雇い入れた翌月の末日までに、ハローワークへ「外国人雇用状況の届出」が必要です。雇用保険の被保険者でない場合も届出義務があります。届出を怠ると30万円以下の罰金が科される場合があります。
参考:「外国人雇用状況の届出」について(厚生労働省)
Q. 外国人採用に向いている人材紹介会社はどう選べばいいですか?
自社が採用したい国籍・在留資格・職種に実績があるかを最初に確認してください。特定技能であれば、登録支援機関も兼ねているかどうかも見ておくと、入社後の支援をまとめて依頼できます。







