外国人を採用するとき、ビザ(在留資格)の手続きは避けて通れません。行政書士に依頼するといくらかかるのか、自社で進める場合は何が必要になるのか、コスト感をつかんでおきたい担当者は多いと思います。
この記事では、kedomoが検索結果上位サイトから独自に集計した行政書士事務所のビザ取得費用の相場に加え、日本行政書士会連合会の令和7年度統計、2025年4月に改定された申請手数料と2026年度予定の大幅改定の動向、そして会社の担当者が自社で申請を進める場合のポイントをまとめました。
この記事でわかること
- 行政書士にビザ申請を依頼した場合の費用相場(kedomo独自調査+日行連統計)
- 2025年4月改定後と2026年度予定の申請手数料
- 会社の担当者が自社で申請する場合の進め方と注意点
執筆:株式会社kedomo(登録支援機関・外国人材紹介)
目次
1.ビザ申請にかかる公的な手数料
行政書士に支払う報酬とは別に、入管へ納める申請手数料があります。まず、企業が関わる主な申請がどのような手続きなのかを確認したうえで、現在の金額と、進行中の改定予定を順に見ていきます。
企業が関わる主な在留資格関連の申請
外国人の採用・雇用で登場する申請は、大きく4つあります。
在留資格認定証明書交付申請は、海外にいる外国人を日本に呼び寄せるときに、入国前に必要な証明書を交付してもらう手続きです。会社(受入機関)が代理で申請します。
在留資格変更許可申請は、すでに日本にいる外国人が別の在留資格に変える手続きで、留学生が卒業して就職する際の「留学」から「技術・人文知識・国際業務」への切替えが典型例です。
在留期間更新許可申請は、同じ在留資格のまま在留期限を延長する手続きで、1年・3年・5年など個人ごとの期限に合わせて必要になります。
永住許可申請は、期限のない「永住者」の資格を取得する手続きで、長期間日本で働いている外国人社員が対象になります。
現在の申請手数料(2025年4月改定後)
2025年4月1日に手数料が引き上げられ、現在は次の金額です。
- 在留資格認定証明書交付申請:無料
- 在留資格変更許可申請:6,000円(オンライン申請は5,500円)
- 在留期間更新許可申請:6,000円(オンライン申請は5,500円)
- 永住許可申請:10,000円
2026年度中にさらに大幅な引き上げの動き
この記事の執筆時点で、さらに大きな改定が進行しています。2026年3月に閣議決定された入管法改正案では、手数料上限が次のように引き上げられます。
- 在留資格変更・在留期間更新:上限1万円 → 上限10万円
- 永住許可申請:上限1万円 → 上限30万円
実際に窓口で支払う金額は、法律の成立後に定められます。2026年4月の報道では、具体的な想定額として、更新申請は在留期間3か月以下で1万円程度・5年で7万円程度、永住許可申請は20万円程度とする方針が示されています。施行は2026年度中が見込まれています。参考:「在留資格の更新手数料上げ、5年は7万円程度に 永住許可は20万円程度」(日本経済新聞)
2025年4月の改定では、申請受付日が基準日とされ、施行前に受付された申請は旧料金が適用されました。今回の改定でも同様の経過措置が取られる可能性が高いため、永住許可申請や在留期間が近い更新申請を予定している場合は、早めに準備を進めることをおすすめします。
2.ビザ取得費用の相場(行政書士に依頼した場合)
ここでは、行政書士に依頼する場合の費用相場を2つのデータから見ていきます。ひとつは日本行政書士会連合会が令和7年度に実施した報酬額統計調査、もうひとつはkedomoが検索結果上位の事務所サイトから独自に集計した料金です。同じ業務でも、取扱い内容や難易度によって報酬額には差が出ます。あくまで目安としてご覧ください。参考:「報酬額の統計」(日本行政書士会連合会)
なお、日行連の統計では特定技能を単独で区分しておらず、就労資格全体の集計に含まれます。特定技能は追加書類や分野別の確認事項が多いため、実際には就労資格全体の平均より高めに設定されている傾向があります。
在留資格認定証明書交付申請
ここでは、代表的な在留資格である「技術・人文知識・国際業務」と、その家族を一緒に呼ぶための「家族滞在」、そして「特定技能」の3つを調査しました。
①技術・人文知識・国際業務
| 平均額 | 最小 | 最大 | 最頻 | |
|---|---|---|---|---|
| 日行連 令和7年度 報酬額統計(就労資格・194件) | 120,174円 | 5,000円 | 500,000円 | 110,000円 |
| kedomo独自調査(2026年4月・14社) | 121,000円 | 88,000円 | 165,000円 | 110,000円 |
②家族滞在
| 平均額 | 最小 | 最大 | 最頻 | |
|---|---|---|---|---|
| 日行連 令和7年度 報酬額統計(非就労資格・83件) | 104,452円 | 10,000円 | 250,000円 | 100,000円 |
| kedomo独自調査(2026年4月・6社) | 92,500円 | 49,000円 | 132,000円 | 110,000円 |
③特定技能
日行連の統計では特定技能を単独で区分していないため、kedomo独自調査のみ掲載します。技人国と比べて最頻値が高く設定されているのが特徴です。
| 平均額 | 最小 | 最大 | 最頻 | |
|---|---|---|---|---|
| kedomo独自調査(2026年4月・6社) | 144,833円 | 110,000円 | 165,000円 | 165,000円 |
在留資格変更許可申請
日行連の統計では、変更許可申請(就労資格)の平均額は認定証明書交付申請より1〜2割ほど低い水準になっています。必要書類が比較的少なく済むことが影響していると考えられます。
①技術・人文知識・国際業務
| 平均額 | 最小 | 最大 | 最頻 | |
|---|---|---|---|---|
| 日行連 令和7年度 報酬額統計(就労資格・187件) | 103,167円 | 5,000円 | 330,000円 | 110,000円 |
| kedomo独自調査(2026年4月・14社) | 123,000円 | 88,000円 | 165,000円 | 110,000円 |
②特定技能
| 平均額 | 最小 | 最大 | 最頻 | |
|---|---|---|---|---|
| kedomo独自調査(2026年4月・6社) | 144,833円 | 110,000円 | 165,000円 | 165,000円 |
在留期間更新許可申請
更新は同じ在留資格のまま期限を延長する手続きです。認定証明書交付や資格変更と比べて必要書類が少ないため、行政書士の報酬額も低めに設定される傾向があります。
①技術・人文知識・国際業務
| 平均額 | 最小 | 最大 | 最頻 | |
|---|---|---|---|---|
| 日行連 令和7年度 報酬額統計(就労資格・213件) | 56,204円 | 5,000円 | 264,000円 | 55,000円 |
更新(就労資格)の平均は、認定証明書交付申請のおよそ半分の水準です。在留期間が短いほど更新の頻度が増えるため、3年・5年の在留期間が取れている社員と、1年更新を繰り返す社員では、長期間でかかる累計コストに差が出ます。
②特定技能
日行連の統計では特定技能を単独で区分していないため、kedomo独自調査のみ掲載します。技人国の更新と比べると、分野別の追加書類などの理由で報酬が高めに設定される傾向があります。
| 平均額 | 最小 | 最大 | 最頻 | |
|---|---|---|---|---|
| kedomo独自調査(2026年5月・6社) | 86,083円 | 38,500円 | 165,000円 | – |
中心帯は5万〜9万円台で、10万円を超える事務所も少なくありません。特定技能1号は通算5年が上限のため、その間に複数回の更新が発生します。さらに建設分野では「建設特定技能受入計画」の更新も同時期に必要で、別途加算となる事務所が多い水準です。
永住許可申請
必要書類が多く身元保証人の準備も必要なため、報酬額は高めに設定される傾向があります。
| 平均額 | 最小 | 最大 | 最頻 | |
|---|---|---|---|---|
| 日行連 令和7年度 報酬額統計(141件) | 145,323円 | 10,000円 | 440,000円 | 100,000円 |
| kedomo独自調査(2026年4月・10社) | 142,900円 | 80,000円 | 198,000円 | 165,000円 |
3.会社の担当者が自社で申請する場合の進め方と注意点
行政書士に依頼するほか、会社の担当者が自社でビザ申請を進める選択肢もあります。どの手続きを誰が出せるかは、申請の種類によって変わるので、まずここを押さえておきます。
海外から呼び寄せる場合(在留資格認定証明書交付申請)
海外にいる外国人を採用する場合は、受け入れ企業の職員が「代理人」として直接申請できます。申請取次のような事前承認は必要ありません。
担当者が地方出入国在留管理局の窓口に書類を提出すれば受理されます。東京(品川)・名古屋などの大規模局は混雑することが多く、半日から1日の待ち時間を見込んでおくと安心です。申請書の様式や必要書類は、在留資格ごとに「在留資格認定証明書交付申請」(出入国在留管理庁)で確認できます。
国内の外国人を対象とする場合(変更・更新許可申請)
在留資格変更許可申請と在留期間更新許可申請は、原則として申請人本人が入管に出頭するルールです。会社の職員が本人に代わって提出するには、事前に地方出入国在留管理局へ「申請等取次者」としての届出を行い、承認を受ける必要があります。
承認を得れば、採用した外国人の変更・更新申請書を会社の担当者がまとめて提出できます。ただし承認には、出入国管理業務に関する知識を有すると認められることが条件です。初めて外国人を採用する会社が、1人のためだけに取次承認を取るのはハードルが高いかもしれません。参考:「受入れ機関等の職員の方(申請等取次者)」(出入国在留管理庁)
自社申請で発生する実費
社内で手続きを進める場合に公的に発生する実費は、おおむね以下のとおりです。依頼料がかからない分、総コストはかなり抑えられます。
- 収入印紙代(1章の手数料の金額)
- 在留カード等の郵送を希望する場合の返信用封筒と切手
- 卒業証明書・職務経歴書・納税証明書など、本人・会社側で用意する書類取得費
- 本人との連絡に使う国際郵便・翻訳費用(海外採用の場合)
オンライン申請の活用
2025年4月以降、オンライン申請の手数料は窓口申請より500円安く設定されています。所属機関の職員として事前に「在留申請オンラインシステム」の利用申出を行えば、窓口に出向かずに変更・更新の申請を完結できます。ただし永住許可申請などオンライン未対応の手続きもあるので、申請ごとに利用可否を確認してください。参考:「所属機関・公益法人・登録支援機関の職員の方」(出入国在留管理庁)
自社申請で気をつけたい点
自社で進める場合は、次の点に注意します。
- 書類の不備・不足があると、審査が長引いたり不許可の原因に。初回は余裕をもった準備を
- 許可基準は在留資格ごとに違うため、採用する外国人の学歴・職歴と職務内容が合っているか、事前によく確認
- 特定技能は雇用企業に支援義務が生じます。基準を満たせない場合は登録支援機関への委託が必要
4.まとめ(外国人採用を検討中の企業様へ)
- 申請手数料は2026年度中にさらに大幅な改定が予定されている
- 行政書士への依頼相場は、技人国で約10〜12万円、永住許可申請で約14万円が目安になる
- 在留期間更新の依頼相場は、技人国で約5〜6万円、特定技能で約9万円が目安になる
- 海外採用の認定証明書交付申請は、受け入れ企業の担当者が代理人として直接申請できる
- 国内の変更・更新を会社担当者が代わりに出すには、申請等取次者の承認が必要になる
kedomoは外国人に特化した人材紹介を行っており、外国人の入社までワンストップでサポートしています。技人国の在留資格で働くITエンジニア・技術者の外国人材紹介のほか、登録支援機関として特定技能の「介護」「製造業」「外食」分野などで支援実績があり、外国人採用の検討段階からご相談いただけます。
Q&A
Q.行政書士にビザ申請を依頼すると、どのくらいの費用がかかりますか A.技人国の認定証明書交付申請や変更許可申請で約10〜12万円、在留期間の更新で約5〜6万円、永住許可申請で約14万円が目安です。案件の複雑さで上下します。
Q.特定技能のビザ更新は、行政書士に頼むといくらかかりますか A.kedomoが2026年5月に検索結果上位6社を調査したところ、平均約8.6万円、中心帯は5〜9万円台でした。建設分野では加算となる事務所が多い水準です。
Q.2025年4月の改定で申請手数料はいくらになりましたか A.在留資格変更・在留期間更新は6,000円(オンライン5,500円)、永住許可申請は10,000円、在留資格認定証明書交付申請は引き続き無料です。
Q.会社の担当者が自分でビザ申請をできますか A.海外採用の認定証明書交付申請は、受け入れ企業の担当者が代理人として直接申請できます。国内の変更・更新は、申請等取次者の承認を受ければ代行できます。
Q.オンライン申請にするメリットは何ですか A.窓口申請より手数料が500円安くなり、入管の窓口に出向かなくて済みます。事前に所属機関の職員として利用申出が必要です。
Q.特定技能のビザ申請で気をつけることはありますか A.受入れ機関(雇用企業)に支援義務が生じる点です。自社で基準を満たせない場合は「登録支援機関」への委託が選択肢になります。





