2024年7月に改正が行われ、総合スーパーマーケットや食料品スーパーマーケットのバックヤードでも、特定技能外国人の採用ができるようになりました。惣菜や鮮魚・精肉部門での採用を新しい選択肢として検討できるようになっています。
制度解禁で選択肢は広がりましたが、「販売業務には一切従事させてはいけない」「誓約書の提出が必要」など、見落としやすい条件もあります。この記事では、採用担当者が最初に押さえておくべき要件を整理します。
この記事でわかること
- スーパーマーケットで特定技能外国人を採用できる業務と、できない業務
- 採用前に必要な手続き(技能試験・日本語試験・協議会加入・誓約書)
- 特定技能以外でスーパー採用に使える在留資格
執筆:株式会社kedomo(登録支援機関・外国人材紹介)
目次
1.スーパーマーケットで特定技能を使える範囲
対象は「食料品製造を行う」総合スーパー・食料品スーパー
特定技能「飲食料品製造業」分野の対象事業所に、2024年7月から総合スーパーマーケットと食料品スーパーマーケットが追加されました。どちらも「食料品製造を行う店舗」が対象です(日本標準産業分類の細分類5621、5811)。
つまり、店舗のバックヤードで惣菜・青果・鮮魚・食肉・ベーカリーなどを自ら製造・加工している事業所が対象です。参考:「飲食料品製造業分野における外国人材の受入れ拡大について」(農林水産省)
一方で、スーパーマーケット内にテナントとして出店している料理品小売業(同5895)は対象外です。また、仕入れた惣菜をそのまま店頭で販売しているだけの店舗も対象になりません。
できる業務/できない業務
スーパーマーケットで特定技能外国人に任せられるのは、バックヤードでの食品製造・加工です。具体的には次のような業務が該当します。
- 惣菜製造(調理済み食品、弁当、サラダなど)
- 青果物の加工(カット野菜、パック詰めなど)
- 鮮魚の加工(刺身、切り身など)
- 食肉の加工(精肉、ひき肉、味付け肉など)
- ベーカリー製造
- 安全衛生管理(HACCP対応含む)
一方、関連業務としても次の業務には従事させられません。
- レジ打ち・接客などの販売業務
- 自ら製造・加工した食料品以外の商品の陳列
- 品出し・補充業務
- 自社で製造していない商品の販売
単なる選別や包装だけを行う作業も、製造・加工にあたらないとされています(日本標準産業分類の製造業総説より)。実態として製造・加工をしているかが問われるため、業務内容の設計は慎重に行ってください。
2.採用前に押さえておきたい要件
技能試験と日本語試験
特定技能1号として新規採用する場合、外国人は次の2つの試験に合格している必要があります。
- 飲食料品製造業分野特定技能1号技能測定試験:一般社団法人外国人食品産業技能評価機構(OTAFF)が国内外で実施しています。
- 日本語試験:国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-BASIC)合格、または日本語能力試験(JLPT)N4以上
試験合格は採用時に必ず確認する情報です。書類選考の段階で合格証明書のコピーを確認してください。
技能実習2号からの移行は無試験
技能実習2号を良好に修了した方は、飲食料品製造業の特定技能1号へ移行する際、上記の試験が免除されます。技能実習時の職種・作業が飲食料品製造業と異なっていても、移行は可能です。例えば、パン製造の技能実習生が水産食料品製造の特定技能として働くこともできます。
自社の技能実習生を継続雇用したい場合や、同業他社を修了した人材を採用したい場合は、この移行ルートが使えます。参考:「技能実習を修了した外国人を再び雇用する方法」
協議会への加入と誓約書の提出
受入れ機関(雇用する会社)は、外国人の在留諸申請を行う前に食品産業特定技能協議会へ加入する必要があります。協議会は飲食料品製造業分野と外食業分野が共同で設置しており、加入審査には2〜3カ月かかります。
スーパーマーケット(5621・5811)が協議会に加入する際は、通常の誓約書に加えて、スーパーマーケット向けの専用誓約書(販売業務に従事させない旨を誓約する書類)の提出も求められます。参考:「食品産業特定技能協議会について」(農林水産省)
採用計画を立てる際は、協議会加入の審査期間を含めて逆算してください。
3.採用から入社までの流れ
採用の流れは、他の特定技能分野と大きく変わりません。海外在住者か日本在住者かで進め方が分かれます。ヒアリング、人材募集、選考、ビザ申請、来日・就業という流れで、海外からの採用は平均3~4カ月程度、日本在住者は1~2カ月程度が目安です。
詳しくは「特定技能人材のご紹介」ページをご覧ください。費用の目安や支援体制もこちらにまとめています。
必要な書類は申請パターン(海外からの呼び寄せ/日本在住者の資格変更)によって変わります。書類の全体像は「「特定技能」受入れ申請に必要な書類まとめ【難易度付き】」で解説しています。
4.外食業分野との違い
スーパーマーケットの現場で迷いやすいのが、特定技能「飲食料品製造業」分野と「外食業」分野の線引きです。
店舗のバックヤードで自社製造した惣菜を売り場に並べるなら飲食料品製造業に該当しますが、店舗内のイートインコーナーでその場で調理して提供する形態は、外食業分野に該当する可能性があります。持ち帰り弁当や配達サービスも外食業分野の「持ち帰り・配達飲食サービス業」にあたります。
外食業分野で働く場合は、技能試験も日本語試験も別の区分になります。スーパー内で複数の業態を持つ企業は、業務ごとに適用分野を整理して採用計画を立ててください。飲食店・外食業での採用要件は「特定技能「外食業」の仕事内容から取得要件、手続きの流れを解説」にまとめています。
5.特定技能以外でスーパー採用に使える在留資格
特定技能は販売業務に従事させられないため、「レジも品出しも任せたい」「売り場全体で柔軟に動いてほしい」という場合は別の在留資格を検討する必要があります。
就労の制限がない在留資格としては、次のようなものがあります。
- 永住者
- 日本人の配偶者等
- 永住者の配偶者等
- 定住者
これらの身分系在留資格をお持ちの方は、日本人と同様にバックヤードから売り場・レジまで幅広く働けます。
kedomoでも、日本人の配偶者ビザをお持ちのベトナム人男性を、スーパーの精肉部門へご紹介した実績があります。特定技能にこだわらず、求める業務内容に合わせて複数の在留資格で候補者を探すことで、採用の幅が広がります。
6.kedomoの支援体制
kedomoは登録支援機関として、特定技能外国人の採用から就業後のサポートまで対応しています。スーパーマーケットでの採用では次のような支援が可能です。
- 事前ガイダンス(日本の労働環境や文化に関する研修)
- 生活支援(行政手続きの同行、生活情報の提供)
- 相談窓口(定期面談、外国人スタッフによる母国語対応)
- 国内外での人材募集
- ご要望に応じた日本語レッスン
協議会への加入手続きや誓約書の書き方についても説明します。初めての受入れでも無理なく進められるよう、お手伝いします。
7.まとめ
- スーパーマーケットは2024年7月から特定技能「飲食料品製造業」の対象に追加された
- 対象は総合スーパー・食料品スーパーのバックヤードで食料品製造を行う事業所に限る
- 惣菜・青果・鮮魚・食肉・ベーカリー製造が該当業務で、販売業務は一切不可
- 協議会加入時に販売業務に従事させない旨の誓約書の提出が必要
- 販売も任せたい場合は身分系在留資格の候補者も検討できるが、母数がそう多くいない
kedomoでは食品スーパーでの特定技能外国人の採用支援・登録支援機関業務を行っています。採用計画の段階からお気軽にご相談ください。お問い合わせはこちら
8.Q&A
Q.スーパーマーケットで特定技能外国人にレジや品出しを任せられますか?
A.できません。関連業務としても販売業務には従事させられず、誓約書でも禁止が明記されています。売り場全般を任せたい場合は、永住者や日本人の配偶者等の在留資格を持つ人材を検討してください。
Q.スーパー内のテナント店舗も対象になりますか?
A.対象外です。テナントとして出店している料理品小売業(産業分類5895)は、飲食料品製造業分野の対象事業所に含まれません。
Q.単純な包装やパック詰めだけをさせる予定でも採用できますか?
A.難しいです。単なる選別・包装は製造・加工にあたらないとされており、実態として製造・加工を行っていない事業所は対象になりません。
Q.技能実習生を特定技能に切り替えるときも試験が必要ですか?
A.技能実習2号を良好に修了していれば、技能試験と日本語試験は免除されます。技能実習時の職種が飲食料品製造業と異なっても移行できます。参考:「技能実習を修了した外国人を再び雇用する方法」
Q.採用決定から入社まで、どれくらいかかりますか?
A.日本在住の方なら1カ月程度、海外在住の方なら平均3カ月程度です。協議会加入に2〜3カ月かかるため、初めて受け入れる場合は余裕をもって計画してください。



