kedomoは登録支援機関として、造船分野でインドネシア・フィリピン出身を中心に数十名の特定技能人材を支援してきました。その多くは技能実習を修了した方々で、溶接や塗装など現場の作業を一通り経験しており、即戦力として働いています。一方で、初めて造船業で特定技能を受け入れる企業様からは「そもそもどんな要件があるのか」「自社は対象になるのか」といったご相談をよくいただきます。
特定技能「造船・舶用工業」とは、船舶や舶用機械の製造現場で外国人が働くための在留資格です。2024年3月に業務区分が「造船」「舶用機械」「舶用電気電子機器」の3区分に再編され、2024年度からの5年間で最大36,000人の受入れ見込数が設定されています。
この記事でわかること
- 特定技能「造船」で採用できる外国人の要件
- 受入れ企業側が満たすべき条件と必要な手続き
- 技能実習修了者を中心とした3つの採用ルート
- インドネシア・フィリピン人材を中心としたkedomoの支援実績
執筆:株式会社kedomo(登録支援機関・外国人材紹介)
目次
1.特定技能「造船・舶用工業」とは
特定技能は、人手不足が深刻な産業分野で即戦力となる外国人を受け入れるための在留資格です。造船・舶用工業分野は、制度開始当初から対象分野に含まれています。
特定技能の外国人にはどんな作業を任せられるのか
2024年3月の業務区分再編により、現在は「造船」「舶用機械」「舶用電気電子機器」の3区分に整理されています。実際に現場で任せられる作業は、以前の区分名で整理するとイメージしやすいです。
- 溶接:船体や部材の溶接作業
- 塗装:船体や部材の塗装作業
- 鉄工:船体部材の加工・取付作業
- 機械加工:舶用機械の部品加工
- 仕上げ:部品の組立・調整
- 電気機器組立て:舶用電気電子機器の組立・配線
以前は上記の6つが独立した区分でしたが、再編後は3区分の中でこれらの作業を幅広く担当できる形に変わりました。監督者の指示のもと、または自らの判断で製造工程の作業に従事します。参考:「造船・舶用工業分野」(出入国在留管理庁)
特定技能1号と2号の両方がある
造船・舶用工業は、特定技能2号の対象分野です。1号で働いた外国人が所定の試験と実務経験要件を満たせば2号に移行でき、2号になると在留期間の上限がなくなり、家族の帯同も認められます。長く働いてほしい現場にとっては大きなメリットです。
2.造船業で採用できる外国人の要件
特定技能1号で造船分野の外国人を採用するには、本人が技能と日本語の両方の要件を満たす必要があります。
技能要件
以下のいずれかを満たす必要があります。
- 造船・舶用工業分野特定技能1号試験に合格する
- 技能検定3級に合格する
- 分野に関連する技能実習2号を良好に修了する
特定技能1号試験は、一般財団法人日本海事協会(ClassNK)が実施しており、溶接・塗装・鉄工・機械加工・仕上げ・電気機器組立ての各区分で実施されています。参考:「造船・舶用工業分野特定技能試験」(日本海事協会)
日本語要件
以下のいずれかに合格している必要があります。
- 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)
- 日本語能力試験(JLPT)N4以上
なお、職種を問わず技能実習2号を良好に修了している場合は、日本語試験は免除されます。
技能実習修了者は試験免除のメリットが大きい
造船分野で技能実習2号を良好に修了した人材は、技能試験・日本語試験ともに免除されます。現場で2〜3年の実務経験を積んだ即戦力人材を、試験のハードルなしで採用できる点が、造船分野で特定技能を活用する最大のメリットです。
kedomoがこれまで支援してきた造船分野の人材も、その多くが技能実習修了者です。現場で溶接や塗装の作業を一通り経験しているため、入社後すぐに戦力として働けます。
3.受入れ企業の要件と必要な手続き
受入れ企業(特定技能所属機関)にも、満たすべき要件があります。
雇用形態は直接雇用のみ
造船・舶用工業分野では、派遣による受入れは認められていません。特定技能外国人と直接雇用契約を結ぶ必要があります。
賃金は日本人と同等以上
特定技能外国人の報酬は、同じ業務に従事する日本人と同等以上であることが求められます。外国人だからという理由で低い賃金で雇用することはできません。
同等以上の賃金水準については、厚生労働省の最新の調査で特定技能外国人の平均賃金が公表されています。設定の考え方はコラム「特定技能外国人の給料は?【最新データで見る賃金事情】」で解説しています。
造船・舶用工業事業者の確認申請
初めて造船分野で特定技能を受け入れる企業は、国土交通省から「造船・舶用工業分野に係る事業を営む者」であることの確認を受ける必要があります。造船法の届出を行っている企業はもちろん、元請けから造船関連の委託を受けている企業も、契約書などを添付して確認申請を行います。
認定通知書は在留資格申請の添付書類になるため、採用活動と並行して早めに申請しておきます。
特定技能協議会への加入
受入れ企業は、国土交通省が設置する協議会の構成員になる必要があります。登録支援機関に支援を委託する場合は、委託先の登録支援機関も協議会の構成員であることが条件です。kedomoも登録支援機関として協議会に加入しています。
受入れ状況の定期報告
特定技能外国人を雇用したあとは、国土交通省と出入国在留管理局への定期報告が必要です。参考:「造船・舶用工業分野における新たな外国人材の受入れ」(国土交通省)
4.造船業で外国人を採用する3つのルート【おすすめは技能実習修了者】
造船分野で特定技能人材を採用する方法は大きく3つあります。結論からいうと、もっともおすすめなのは技能実習修了者の採用です。
ルート1:自社の技能実習生からそのまま特定技能に切り替える
自社で受け入れている技能実習生を、実習修了後に特定技能1号に切り替える方法です。すでに現場の作業を経験しており、人柄や勤務態度も把握できているため、もっともミスマッチが起きにくい採用ルートです。
在留資格の変更は、技能実習の在留期限までに地方出入国在留管理局へ在留資格変更許可申請を行います。
ルート2:母国に帰国した技能実習修了者を、再び特定技能で呼び寄せる
他社で技能実習を修了し、一度母国に帰国している人材を、特定技能で再来日させる方法です。実習で現場経験を積んだ即戦力人材を、試験免除で採用できます。
「再び日本で働きたい」と希望する技能実習修了者は母国に数多くいます。kedomoはインドネシア・フィリピンの現地機関と連携しており、造船分野で技能実習を修了した方々を、ご依頼内容(経験職種・人数・来日時期など)に合わせて現地で探すことができます。自社の技能実習生に限らず、幅広い人材から選びたい場合に有効なルートです。
海外からの呼び寄せには在留資格認定証明書交付申請が必要で、人材選定から来日まで国によっても異なりますが少なくとも3か月程度かかるのが一般的です。
ルート3:国内在住の特定技能人材を中途採用する
すでに日本国内で特定技能ビザを持って働いている外国人を、中途採用する方法です。本人が転職を希望している場合に成立するルートで、国内での在留資格変更手続きのみで採用できます。日本国内にいるため、会社に直接きて実技試験などをできるメリットがあります。
5.kedomoの造船分野での支援実績
kedomoは登録支援機関として、造船分野でインドネシア・フィリピン出身を中心に数十名の特定技能人材の受入れを支援してきました。
人材の中心は技能実習修了者です。溶接・塗装・鉄工などの作業を一通り経験しており、即戦力として現場で働いています。自社の技能実習生からの切り替えはもちろん、母国に帰国した技能実習修了者を再来日させたい場合も、現地機関と連携して人材を探すことができます。
長崎の造船会社へインドネシア人3名が来日した事例など、具体的な支援の流れは「特定技能「造船」で働く3名がインドネシアから長崎へ!」で紹介しています。
造船業が盛んな九州・長崎エリアでの外国人採用も、現地での面接練習・履歴書添削から来日後の生活支援まで、一貫してサポートしています。
登録支援機関としての業務範囲や費用については、「登録支援機関業務」をご覧ください。
6.よくある質問
Q. 特定技能「造船・舶用工業」の業務区分は何区分ありますか?
A. 2024年3月の再編により、「造船」「舶用機械」「舶用電気電子機器」の3区分です。以前は溶接・塗装など6区分でしたが、3区分に統合されました。参考:「造船・舶用工業分野」(出入国在留管理庁)
Q. 技能実習生から特定技能1号に移行するとき、試験は必要ですか?
A. 分野に関連する技能実習2号を良好に修了していれば、技能試験・日本語試験ともに免除されます。
Q. 母国に帰国した技能実習修了者を、再び呼び寄せることはできますか?
A. できます。kedomoはインドネシア・フィリピンの現地機関と連携しており、造船分野で技能実習を修了して帰国した人材を現地で探すことができます。
Q. 造船分野で特定技能外国人を派遣で受け入れることはできますか?
A. できません。造船・舶用工業分野では直接雇用のみが認められており、派遣による受入れは認められていません。
Q. 受入れ企業の側で必ず加入しないといけない組織はありますか?
A. 国土交通省が設置する造船・舶用工業分野の協議会に加入する必要があります。登録支援機関に支援を委託する場合は、委託先も協議会の構成員であることが条件です。
7.まとめ
- 技能実習2号を良好に修了した人材は技能・日本語試験とも免除
- 採用ルートで最もおすすめは、現場経験のある技能実習修了者の活用
- 雇用形態は直接雇用のみで、賃金は日本人と同等以上が求められる
- kedomoは母国に帰国した技能実習修了者の呼び寄せにも対応している



