外国人社員が退職するとき、日本人の退職手続きに加えて、いくつかの届出が会社側・本人側それぞれに発生します。特定技能の場合は入管への随時届出も必要で、期限を過ぎると受入れ資格に影響することがあります。手続きの抜け漏れを防ぐために、退職が決まったタイミングで全体の流れを確認しておくことが重要です。
この記事でわかること
- 会社側が行うハローワーク届出・退職証明書発行の注意点
- 特定技能の場合に追加で必要な入管への随時届出
- 外国人本人が行う「所属機関等に関する届出」の義務と罰則
- 帰国する外国人に案内したい脱退一時金の概要と制度変更点
執筆:株式会社kedomo(登録支援機関・外国人材紹介)
目次
1.外国人社員が退職した際の【会社側が行う手続き】
外国人社員に特有の手続きと、日本人社員と共通の退職手続きの2種類があります。
ハローワークへの届出
雇用保険の被保険者である外国人が退職した場合、ハローワークに「雇用保険被保険者資格喪失届」(様式第4号)を提出します。提出期限は退職翌日から10日以内です。
様式第4号には裏面があり、外国人社員の在留資格・国籍・在留カード番号・雇用形態などを記入する欄があります。記入漏れのないよう確認してください。裏面を記入して提出することで、出入国在留管理庁への退職届出が免除されます。
雇用保険の被保険者にならない外国人が退職する場合は、別途「外国人雇用状況の届出(離職)」をハローワークに提出します。こちらの提出期限は退職した月の翌月末日までです。
退職証明書の発行
母国への帰国が決まっている場合を除き、多くの外国人社員に退職証明書の発行が必要になります。公文書ではなく決まった書式はありませんが、次の項目を記載します。
- 在籍期間
- 業務の種類(従事業務・職務内容)
- 地位(社内の役職など)
- 賃金
- 退職の事由
特に従事業務・職務内容については、在留資格申請時に記入した内容とあっているか確認してください。退職証明書は、本人が在留期間更新や在留資格変更、就労資格証明書の交付を申請する際の添付書類になります。離職票・離職証明書と名称が似ているため、書類の取り違えに注意してください。
失業給付・必要な手続きの案内
転職先が決まっていない場合は、失業給付の申請、住民税の普通徴収への切り替え、国民健康保険への加入が必要になります。外国人社員は雇用保険の仕組み自体をよく知らないことがあるため、手続きの内容と相談できる役所の窓口を退職時に案内しておくと安心です。住民税・社会保険料・年金を滞納すると、在留資格の更新・変更が不利になることも伝えておきましょう。
日本人社員と共通の退職手続き
以上に加えて、日本人社員と同様の退職手続きを進めます。
- 健康保険証の回収
- 社会保険(健康保険・厚生年金)の資格喪失処理
- 源泉徴収票の交付
- 雇用保険の離職票の交付
貸与品の回収も最終出勤日までに行ってください。
特定技能の場合:入管への随時届出が必要
特定技能外国人が退職する場合、上記に加えて入管(出入国在留管理庁)への随時届出が必要です。退職日から14日以内に「特定技能雇用契約の終了に係る届出」を提出します。会社都合の場合は「受入れ困難に係る届出」も追加で必要です。
登録支援機関に全部委託していた場合は、支援委託契約の終了に係る届出も提出してください。
届出書類・手順・よくあるミスの詳細は、コラム「特定技能外国人の退職手続きガイド|届出書類・期限・よくあるミスを解説」にまとめています。
2.外国人社員が退職した際の【外国人側が行う手続き】
外国人側が行う手続きは主に2つです。退職時に会社から必ず本人へ案内してください。
「所属機関等に関する届出」の提出
退職後、外国人本人に義務として課せられている手続きです。届出を出さなかった場合は20万円以下の罰金、虚偽の届出をした場合は1年以下の懲役または20万円以下の罰金の対象になります。未提出は次回の在留資格更新にもマイナスになるため、会社から退職時に必ず案内してください。
方法は窓口・郵送・電子届出システムの3つです。必要書類は届出書と在留カードのコピーのみで、外国人本人の署名があれば会社が代理で提出することもできます。届出書は「所属(契約)機関に関する届出」(出入国在留管理庁)から様式をダウンロードできます。
退職時だけでなく、就職時にも届出が必要です。退職後すぐに転職先に入社する場合は、退職と就職をまとめて1回の届出にできます。いずれの場合も届出事由が発生した日から14日以内に提出してください。
脱退一時金の請求(帰国する場合)
帰国する外国人社員が以下の要件をすべて満たす場合、これまで支払った国民年金・厚生年金保険料の一部を受け取ることができます。
- 国民年金または厚生年金の保険料納付期間が6か月以上あること
- 日本国籍を有しないこと
- 老齢基礎年金の受給資格期間(10年)を満たしていないこと
- 日本国内に住所を有しなくなった日から2年以内であること
請求は出国後に行います。手続きの詳細は、「脱退一時金を請求する方の手続き」(日本年金機構)で確認できます。
2025年6月に成立した年金改正により、2026年4月1日以降は再入国許可またはみなし再入国許可の有効期間内にある場合、脱退一時金を請求できなくなりました。請求するためには再入国許可を放棄して出国するか、再入国許可の有効期間が満了するまで待つ必要があります。帰国を検討している外国人社員には、退職時にあわせて確認を促してください。
詳しい内容と計算方法はコラム「外国人社員が受け取れる脱退一時金(国民年金・厚生年金)」をご覧ください。
なお、転職先の会社で必要となる入管手続きについては、コラム「転職してきた外国人に必要な入管手続きとビザ更新」で解説しています。
まとめ
- 雇用保険被保険者が退職した翌日から10日以内に、資格喪失届の裏面外国人情報を記入してハローワークへ提出する。
- 退職証明書には従事業務を在留資格申請時の内容と合わせて記載する。
- 特定技能は退職日から14日以内に入管への随時届出が追加で必要になる。
- 外国人本人も14日以内に入管へ所属機関等に関する届出を提出する義務がある(罰則あり)。
- 帰国する外国人へ脱退一時金の案内を行う際は、2026年4月からの制度変更も確認する。
Q&A
Q.外国人社員の退職手続きは、日本人社員と何が違いますか?
A.ハローワーク届出への外国人情報の記入、退職証明書の発行、本人への入管届出の案内が加わります。 特定技能の場合はさらに会社側から入管への随時届出も必要です。
Q.会社側が最初に行う手続きは何ですか?
A.ハローワークへの雇用保険被保険者資格喪失届の提出です。 退職翌日から10日以内に、裏面の外国人情報を記入して提出してください。
Q.退職証明書にはどのような内容を記載しますか?
A.在籍期間・従事業務・役職・賃金・退職事由の5項目が基本です。 在留資格申請時の職務内容との整合性も確認してください。
Q.「所属機関等に関する届出」を提出しなかった場合どうなりますか?
A.20万円以下の罰金の対象になります。 次回の在留資格更新にも影響するため、退職時に必ず本人へ案内してください。
Q.特定技能の外国人が退職した場合、一般の就労ビザと何が違いますか?
A.入管への随時届出(退職日から14日以内)が会社側に追加で発生します。 詳細はコラム「特定技能外国人の退職手続きガイド」をご覧ください。
Q.脱退一時金は帰国すれば必ず受け取れますか?
A.要件を満たす必要があり、2026年4月からは再入国許可の有効期間内には請求できなくなりました。 詳細は「脱退一時金を請求する方の手続き」(日本年金機構)で確認してください。



