日本国内の自動車整備士の高齢化が進み、自動車整備業界では人材不足の状態が続いています。これを受け、2019年より即戦力の外国人材を受け入れるため、新しい在留資格「特定技能」が自動車整備分野でスタートしました。
この記事では、外国人材が日本で自動車整備の仕事をするためのビザ(在留資格)の種類別の採用方法やメリットを説明します。「特定技能」の他にも「技術・人文知識・国際業務」、「技能実習」という在留資格があり、雇用できる年数や給料などが異なりますので、採用を検討中の企業様はぜひ参考にしてください。
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目次
1.「技術・人文知識・国際業務」―期間制限なしで働ける
自動車整備を行うことができる就労系ビザは大きく3種類ありますが、その中で最も取得難易度が高いのが在留資格「技術・人文知識・国際業務」になります。
必要資格…自動車整備士2級以上
これは明示されている基準ではありませんが、必要資格として日本国内で①整備専門学校を卒業していること、②自動車整備士2級以上を取得していることの2つが一般的な条件と言われています。一種養成施設として認定されている整備専門学校の多くは、留学生向けの3年コースがあり、卒業後、実技試験なしで自動車整備士2級の試験を受験することができます。
メリット…家族帯同可、将来は永住権も
在留資格「技術・人文知識・国際業務」のメリットは大きく3つあります。
- 家族(配偶者・子供)を日本へ呼ぶことができる
- 在留期間に制限がなく、安心して日本で就労することが可能
- 将来的には永住ビザの申請を行うことができる
技能実習では最長で5年、特定技能1号でも最長5年と制限があるため、在留期間に制限がないことは、他の2つの在留資格にはない大きなメリットです。企業は長期的な視点で外国人を育成することができます。また、家族を日本へ呼ぶことができ、外国人本人のモチベーションも高くなります。
採用方法…新卒は専門学校、転職は人材紹介会社経由など
日本国内で就労する外国人数は過去最高を更新していますが、自動車整備士を志す留学生の数はそこまで多くないのが実情です。留学生コースを設置している整備専門学校に直接コンタクトをとり、求人票を提出してみてはいかがでしょうか。近くにそのような学校がない場合、kedomoのような外国人材を専門としている人材紹介会社に依頼して新卒者や転職希望者を探す方法もあります。
2.「特定技能(自動車整備業)」―人手不足を補う新制度
特定技能制度とは、即戦力となる外国人を、人手不足が深刻な産業分野に、労働力として受け入れる制度です。特定技能1号、2号の2種類の在留資格があり、特定技能1号では最長5年間、家族の帯同不可などの制限があります。現在、自動車整備業では特定技能2号の在留資格は認められていませんが、2号では在留期間に制限がなくなり、また日本に家族を呼ぶことができるようになります。自動車整備業では、2019年から向こう5年間で7000人の特定技能外国人の受入れを予定しています。
必要資格…自動車整備士3級または技能試験合格プラス日本語
法務省と国土交通省により公表されている分野別運用方針において、特定技能(自動車整備業)を取得する要件は、下記のように定められています。
3 特定産業分野において求められる人材の基準に関する事項 自動車整備分野において特定技能1号の在留資格で受け入れる外国人は、以下に定める試験に合格した者又は自動車整備分野の第2号技能実習を修了した者とする。 (1)技能水準(試験区分) 「自動車整備分野特定技能評価試験」又は「自動車整備士技能検定試験3級」 (2)日本語能力水準 「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」又は「日本語能力試験(N4以上)」 【法務省:特定の分野に係る要領別冊(自動車整備業)】 |
自動車整備士技能検定試験3級は、受験資格として実務経験が必要なため、国外の外国人が取得することは難しいと言えます。一方、自動車整備分野特定技能評価試験も2020年6月末現在、フィリピンでしか実施されておらず、こちらも今後の試験実施国の拡大が期待されます。
2020年6月末現在の特定技能(自動車整備業)の外国人数は速報値で54人となっており、そのうち53人が技能実習2号修了者からの移行という結果となりました。試験の実施国・回数が拡大しない限り、今後も技能実習2号からの移行ルートがメインとなるでしょう。
自動車整備業の特定技能外国人(2020年6月現在)
試験ルート | 技能実習ルート | 検定ルート | |
ミャンマー | 0 | 2 | 0 |
カンボジア | 0 | 1 | 0 |
中国 | 0 | 1 | 0 |
インドネシア | 0 | 2 | 0 |
フィリピン | 0 | 36 | 1 |
ベトナム | 0 | 11 | 0 |
【法務省:各四半期末の特定技能在留外国人数より】
メリット…すぐ就労可、技能実習より事務負担少ない
特定技能(自動車整備業)のメリットは、3つ挙げることができます。
- 講習を必要とせず、すぐに就労を開始することができる
- ビザ取得のための要件が比較的容易
- 技能実習と比較して、企業側の負担が少ない
在留資格「技術・人文知識・国際業務」では、3年程度を費やし整備専門学校を卒業し、検定に合格しなければなりませんでしたが、特定技能(自動車整備業)では、最短で3ヶ月~6ヶ月程度の学習で取得要件を満たすことができます。また、技能実習のように各種講習の代金やサポートなどの企業側の負担もないため、すぐに人手が必要な企業にとってはメリットです。
受入先(自動車整備工場)の要件
特定技能では、技能実習より要件が緩和され「地方運輸局長から認証を受けた自動車分解整備事業場で、対象とする装置の種類が限定されている事業場や、対象とする自動車の種類が二輪自動車のみの事業場」も該当します。
採用方法…特定技能試験合格者、技能実習修了者を探す
技能実習を行っている企業で引き続き、特定技能として就労するパターンが多いですが、転職希望者、日本国内にいる留学生、製造など他分野の技能実習を修了した外国人材が特定技能試験に合格して仕事を探しているケースもあります。そのような人材募集をされる際は、kedomoがお手伝いできますのでご相談ください。
3.「技能実習」―学んだ技術を母国で活かす制度
開発途上国の経済発展を担う「人づくり」に協力することを目的とした制度が、技能実習です。2016年に、自動車整備職種が追加されました。在留期間は技能実習1号は1年間、2号は2年間、3号も2年間の計5年間です。1号から2号、2号から3号に進む際には、技能検定試験に合格する必要があります。
必要資格…なし(入国前後の講習が必要)
技能実習の在留資格を取得するために、試験合格などの要件はありません。入国前に講習を受け、基本的な自動車整備技術や日本語などを習得します。必要資格がないことから、日本で就労しやすい制度として外国人には知られています。
メリット…人数確保が容易
技能実習のメリットは下記の3つが挙げられます。
- 必要資格がないことから、外国人を集めやすく採用が容易である
- 特定技能も含めると、トータルで10年間の在留期間がある
- 自動車整備業は母国でも技術を生かしやすい
日本国内では「特定技能」や「技術・人文知識・国際業務」の必要資格を持った外国人を採用することは難しいことから、採用が容易である技能実習は魅力的と言えます。また技能実習2号から無試験で特定技能1号への移行が可能なことから、トータルで10年間雇用を継続できます。
受入先(自動車整備工場)の要件
地方運輸局長から認証を受けた自動車分解整備事業場(対象とする装置の種類が限定されていないこと)。なお、対象とする自動車の種類が二輪自動車のみの自動車分解整備事業場は除くものとする。
採用方法…監理団体を通じての受入れ
技能実習生の受入れでは監理団体を通じての受入れが一般的です。監理団体は、海外の送り出し機関と連携しながら、技能実習生の候補者の募集を行います。採用方法で頭を悩ませることはありませんが、採用してもすぐに来日できるわけではなく、入国前・入国後講習を受ける必要があります。
4.自動車整備業の外国人採用ならkedomoへ
外国人が自動車整備の仕事をするための3つの在留資格について、わかりやすく解説しました。
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