特定技能の申請書類は数が多いうえに、見慣れない用語や出てきたり、いくつかの機関で収集すべきものもあるため、はじめての申請は思ったより時間がかかります。
この記事では、特定技能1号の受入れ申請で必要になる書類を、全体像から個別の作成難易度まで整理します。2026年4月1日に出入国在留管理庁の提出書類一覧表と運用要領が改定された点にも対応しています。
この記事でわかること
- 特定技能1号の申請書類の全体像
- 書類ごとの作成難易度(★1〜★3)とつまずきやすいポイント
- 認定申請・変更申請・更新申請で必要な書類の違い
- 2026年4月改定の主な変更点
執筆:株式会社kedomo(登録支援機関・外国人材紹介)
目次
1.特定技能1号の申請書類は3区分で考える
特定技能1号の申請書類は、「特定技能関係の申請・届出様式一覧」(出入国在留管理庁)からダウンロードできます。雇用先が個人か法人かで必要書類は変わりますが、ここでは法人を前提に説明します。提出先は地方出入国在留管理局です。
書類は大きく3つの区分に分かれます。
①申請人に関する書類 ②所属機関(受入れ企業)に関する書類 ③分野に関する書類
それぞれの区分について、認定用と変更用の違いも含めて見ていきます。なお「認定用」は海外から新たに来日する外国人に必要な在留資格認定証明書交付申請の書類、「変更用」は既に日本に在留している外国人が別の在留資格から特定技能に切り替える在留資格変更許可申請の書類です。留学ビザから特定技能ビザへの切り替えは変更用にあたります。
①申請人に関する書類
- 表紙
- 特定技能外国人の在留諸申請に係る提出書類一覧表(第1表)
- 在留資格認定証明書交付申請書(認定用)
- 在留資格変更許可申請書(変更用)
- 特定技能外国人の報酬に関する説明書(第1-4号)
- 特定技能雇用契約書の写し(第1-5号)
- 雇用条件書の写し(第1-6号/別紙「賃金の支払」を含む)
- 雇用の経緯に係る説明書(第1-16号)
- 徴収費用の説明書(第1-9号)
- 健康診断個人票(第1-3号/別紙「受診者の申告書」を含む)
- 1号特定技能外国人支援計画書(第1-17号)
- 登録支援機関との支援委託契約に関する説明書(第1-25号)
- 二国間取決めで定められた手続に係る書類
以下は変更申請で追加される書類です。留学ビザから特定技能ビザに切り替える場合などが該当します。
- 直近1年分の個人住民税の課税証明書および納税証明書
- 給与所得の源泉徴収票
- 申請人の国民健康保険被保険者証の写し
- 申請人の国民年金保険料領収証書の写し、または被保険者記録照会
- 公的義務履行に関する誓約書(税金等の滞納がある場合のみ/第1-26号)
②所属機関に関する書類
- 特定技能外国人の在留諸申請に係る提出書類一覧表
- 特定技能所属機関概要書(第1-11号)
- 登記事項証明書・業務執行に関与する役員の住民票の写し
- 特定技能所属機関の役員に関する誓約書(第1-23号)
- 労働保険料等納付証明書(未納なし証明)
- 社会保険料納入状況回答票または健康保険・厚生年金保険料領収証書の写し
- 税務署発行の納税証明書(その3)
- 法人住民税の納税証明書(直近1年分/市町村発行)
③分野に関する書類
分野ごとに必要書類が異なります。介護・外食・自動車整備・造船・養殖など、それぞれの分野別運用要領(要領別冊)で確認します。自動車運送業・鉄道・林業・木材産業の4分野に加え、物流倉庫・リネンサプライ・資源循環の3分野でも、順次整備されています。最新の分野別書類は「特定技能制度」(出入国在留管理庁)から確認できます。
2.書類ごとの作成難易度と押さえどころ
ここから各書類の作成難易度(★3が最も難しい)と、作成時に気をつけたい点を説明します。写し(コピー)は作成書類ではないので省いています。
在留資格認定証明書交付申請書/在留資格変更許可申請書 難易度★★☆
申請人作成用の1枚目は他の在留資格と共通です。全7枚とボリュームはありますが、記入自体は比較的容易です。PDF版とEXCEL版があります。2025年4月以降は「地域の共生施策への協力」に関する項目(項番32)が追加された新様式が必須です。
私たちのページをご覧になられる方も「特定技能1号に係る提出書類一覧表」「特定技能 申請書類一覧」の検索が多く、この申請書の様式選びを迷う担当者が一定数いるようです。申請時は最新の様式をダウンロードしてください。
特定技能雇用契約書の写し 難易度★☆☆
申請人と会社の間で結ぶ雇用契約書です。外国人が理解できる言語の書面が必要です。法務省のサイトに英語・ベトナム語・タガログ語・インドネシア語など9か国語の翻訳版が公開されているので、それを使うのが一般的です。
雇用条件書の写し 難易度★★★
給与、休日、勤務時間など細かい労働条件を書き込みます。特定技能の様式には社会保険料や家賃などを控除した手取り額を計算して記載する欄があり、普段社内で使われている雇用条件書と形式が違います。計算ミスや記載漏れで差し戻されることもあるため、はじめて作成するときは星3の難易度です。この書類も外国人が分かる言語での説明が必要です。
特定技能外国人の報酬に関する説明書 難易度★★☆
外国人の給料が日本人と同等以上の水準かどうかを示す書類です。同職種の日本人労働者がいる場合といない場合で記載方法が変わります。比較対象となる日本人の給与を調べる手間があるため、星2としています。
雇用の経緯に係る説明書 難易度★☆☆
日本国内の職業紹介事業者や海外の送り出し機関を利用したかを申告する書類です。
徴収費用の説明書 難易度★★☆
食費・住居費・光熱費など、給与から天引きする項目を説明する書類です。物価差から外国人本人が金額に戸惑うこともあるため、合理的な価格であることが伝わるように書きます。
健康診断個人票 難易度★★☆
様式は用意されていますが、診察項目に不足がなければ必ずこの様式を使う必要はありません。海外で受診した場合は日本語訳を添付します。
ここで気をつけたいのが、診断結果の書き方です。kedomoで支援した企業でも、海外の病院で受けた結果に「経過観察」とだけ書かれていて、現時点で就労できる状態なのかが入管側で判断できず差し戻しになったことがあります。単なる健康状態の記録ではなく、就労に支障があるかないかが判定できる書類として提出する必要があります。海外受診の場合は、医師にその旨を伝えて結果を記載してもらう対応してください。
なお、特定技能外国人は入国前結核スクリーニング(厚生労働省)の対象外とされていますが、ここでいう健康診断個人票は別の要件として引き続き提出が必要です。
1号特定技能外国人支援計画書 難易度★★★
申請書類の中で最も作成に時間がかかる書類です。10項目の支援内容を、いつ・どう実施するかを書き込みます。2025年4月以降、地方公共団体が行う共生社会の施策を踏まえた支援が要件に加わったため、最新様式と運用要領を確認してから作成してください。登録支援機関に支援を全部委託する場合は、その機関が計画書の作成を手伝ってくれることが多く、自社での作業量を減らせます。
登録支援機関との支援委託契約に関する説明書 難易度★☆☆
委託する登録支援機関の名称、委託料、委託期間を記載します。委託を予定している場合は、申請前に委託先を決めておきます。
特定技能所属機関概要書 難易度★★☆
全役員の氏名、これまでの外国人労働者の受入れ実績などを書きます。自社で支援を行う場合は、支援体制を事業所ごとに詳細に記載する欄があります。
特定技能所属機関の役員に関する誓約書 難易度★☆☆
特定技能外国人の受入れ業務の執行に直接関与しない役員を記載する書類です。所属機関の書類一覧のうち住民票の写しを提出しない役員がいる場合に必要になります。
3.2026年4月改定での主な変更点
2026年4月1日に、出入国在留管理庁の提出書類一覧表と運用要領が改定されました。採用担当者が押さえておきたい点は次の3つです。
定期届出が年1回に変更
四半期ごと(年4回)だった定期届出が、年1回の提出に変わりました。新制度での初回提出期間は2026年4月1日から5月31日です。定期届出の詳細はコラム「『特定技能』で外国人採用後、会社が必要な報告・届出」をご覧ください。
書類省略とオンライン申請が連動
2025年4月以降、書類省略を希望する場合はオンライン申請・電子届出システムの利用登録が前提になりました。電子申請環境を整えておくことが、書類準備の手間を減らす近道です。
新様式への切り替え
支援計画書や定期届出の様式が新しくなっています。古い様式は受理されないため、申請前に最新様式を必ずダウンロードしてください。
4.書類作成は自社でやるか委託か
申請書類は手引きを読みながらでも自社で作成できます。ただ、はじめての申請で10を超える書類を並行して準備するのは負担が大きく、差し戻しがあると予定していた入社日に間に合わないこともあります。
kedomoでは、自社支援と登録支援機関委託で迷っている企業の方には、まず登録支援機関に委託してみて、自社で対応できる体制ができてきたら自社支援に切り替えることをおすすめしています。通訳手配、定期面談、事前ガイダンスなどの実施を考えると、受入れ人数が数十名以下であれば委託した方が事務や費用負担は少ないことが多いです。自社支援の具体的な要件はコラム「【特定技能】登録支援機関を利用せず、自社で採用をする方法」で説明しています。
入管への書類提出そのものも、kedomoは申請取次機関として入管より承認を受けているため、登録支援機関業務を委託いただいた企業には代行可能です。
まとめ
- 特定技能1号の申請書類は申請人・所属機関・分野の3区分で整理すると準備しやすい
- 作成難易度が特に高いのは雇用条件書と1号特定技能外国人支援計画書
- 2026年4月改定で定期届出が年1回に変わり、様式も更新された
- 書類作成や支援の自社対応が難しい場合は登録支援機関への委託も選択肢
kedomoでは、介護・外食・自動車整備・造船・養殖など特定技能で働ける人材のご紹介と、登録支援機関としての受入れ支援を行っています。採用をご検討の際はお問い合わせフォームよりお気軽にご相談ください。
よくある質問
Q.特定技能1号の申請書類とはどんなものですか?
A.外国人本人に関する書類、受入れ企業に関する書類、分野別の書類の3区分に分かれます。 法人受入れの場合は合計20種類前後で、変更申請ではさらに納税証明書などが加わります。
Q.雇用条件書で一番注意すべき点は何ですか?
A.手取り額を計算して記載する欄など、自社で普段使う書式と形式が違う点です。 項目を一つずつ確認しながら作成すると、差し戻しを避けられます。
Q.健康診断書で差し戻されることはありますか?
A.海外で受診した結果に「経過観察」などとだけ書かれていて、就労できる状態か判定できない場合に差し戻されることがあります。 就労可否が分かるよう医師に記載を依頼するか、国内で受け直すのが確実です。
Q.自社で支援するのと登録支援機関に委託するのはどちらがよいですか?
A.受入れ人数が数十名以下であれば、通訳手配や定期面談などの手間を考えると委託した方が事務負担は少ないことが多いです。 体制が整ってから自社支援に切り替える企業もあります。
Q.2026年4月の改定で申請書類はどう変わりましたか?
A.定期届出が年1回に変更され、支援計画書などの様式も新しくなりました。旧様式は受理されないため、申請前に最新様式をダウンロードしてください。参考:「特定技能関係の申請・届出様式一覧」(出入国在留管理庁)





