特定技能1号を採用しようと情報を集めていると、必ず出てくるのが「登録支援機関」という言葉です。月額2〜4万円/名の委託料がかかると聞いて、「自社でやれば費用を抑えられるのでは」と考える担当者の方も多いです。
登録支援機関を使わず、会社が自分たちで特定技能外国人の支援をする方法を自社支援と呼びます。自社支援は制度上認められていますが、一定の要件を満たしたうえで、10項目の義務的支援をすべて会社がやる必要があります。
この記事では、採用担当者が「自社支援でいくか、登録支援機関に委託するか」を社内で判断できるよう、要件と実務の負担をまとめました。なお、kedomoは登録支援機関として月1.5万円から委託を承っていますので、自社支援が難しいときにはぜひご依頼にしてください。
この記事でわかること
- 自社支援が認められる2つの要件
- 自社支援で会社が行う10項目の義務的支援
- 自社支援と登録支援機関委託の実質コスト比較
- 自社支援が難しい企業の選択肢
執筆:株式会社kedomo(登録支援機関・外国人材紹介)
目次
1.特定技能の自社支援とは|登録支援機関なしで受け入れる選択肢
特定技能1号で外国人を雇用する会社(受入れ機関)は、その外国人が日本で安定して働けるよう、支援計画書を作って支援することが義務付けられています。この支援を会社が自分たちで行うのが自社支援、外部の専門機関に委託するのが登録支援機関への委託です。
「1号特定技能外国人支援・登録支援機関について」(出入国在留管理庁)に、制度の全体像が示されています。支援計画の全部を登録支援機関に委託した場合は、受入れ機関が満たすべき支援体制の基準を満たしたものとみなされます。
つまり自社支援を選ぶということは、登録支援機関に委託すればクリアできる支援体制を、会社が自分たちで用意して回すということです。費用は抑えられますが、その分、会社の担当者が継続的に動く必要があります。
2.自社支援が認められる2つの要件
自社支援を選ぶには、会社が次の2つの要件を満たす必要があります。いずれも在留資格の申請時に審査されます。
2-1.支援責任者と支援担当者を選ぶこと
社内から支援責任者と支援担当者を選びます。加えて、次のどれかを満たす必要があります。
- 過去2年に、中長期在留者(就労ビザで働く外国人)を雇用・管理した実績がある
- 支援責任者や支援担当者が、過去5年以内に2年以上、外国人の生活相談業務に携わった経験がある
- 上記と同程度に、支援を適切にできると個別に認められる
初めて外国人を雇う会社の場合、3つ目の「個別判断」に当てはまる必要があります。ただし提出資料に基づき個別に審査されるため、認められないこともあります。労働基準監督署から是正勧告を受けていないなど、日本人の雇用でも問題を起こしていないことが確認されます。
さらに、支援は外国人本人が十分に理解できる言語で行える体制が必要です。社内に対応できる人がいなければ、通訳者などを準備します。
2-2.支援の中立性を確保すること
支援責任者・支援担当者は、外国人本人に対して中立な立場で支援できる人でなければなりません。
たとえば次のような形は問題になりやすいです。
- 評価や処分の決定権を持つ上司が、相談窓口を兼ねる
- 相談があっても、本人が安心して話せない関係性になっている
「相談を受ける役」と「評価を決める役」を分けることが基本です。組織図で、支援担当者が特定技能外国人に業務の指示を出す立場でないことを示せるようにします。
3.自社支援で会社が行う10項目の義務的支援
自社支援を選んだ会社は、次の10項目をすべて実施します。いずれも支援計画書に書き、計画どおりにやります。
①事前ガイダンス
在留資格の変更申請前などに、雇用契約の内容、来日で気をつけることを、本人がわかる言語で伝えます。対面でもテレビ電話などでも実施できます。
②出入国時の送迎
入国時と出国時の送迎を行います。
③住居の確保・生活に必要な契約の支援
住居を確保します。住居の広さは1人当たり7.5㎡以上(約4.5畳以上)が必要です。特定技能外国人が自分で賃貸契約を結ぶのは難しいため、会社が借りて貸し出す形が一般的です。銀行口座の開設、携帯電話契約など、生活に必要な契約も手伝います。
④生活オリエンテーション
在留資格変更後などに、日本で生活するときに必要な情報を、本人がわかる言語で伝えます。生活一般のルール、防災・防犯、医療機関、緊急時の対応、法的保護などが含まれます。
⑤役所の手続への同行
国や役所への手続きで、必要に応じて同行します。来日時の住民登録、口座開設時の銀行などです。
⑥日本語学習の機会の提供
日本語を学べる機会を用意します(教室の案内、教材の提供、社内学習などいずれも可)。
⑦相談・苦情への対応
相談や苦情にすぐ対応します。ここも、本人がわかる言語での対応が前提です。
⑧日本人との交流の促進
地域活動や社内の交流など、日本人と接点ができる機会を作ります。
⑨転職支援
会社都合で雇用契約を解除する場合、転職支援を行います。
⑩定期的な面談・行政機関への通報
外国人本人と、その人を監督する立場の人それぞれと面談できる体制を作ります。問題が起きた場合は関係行政機関へ通報します。
4.自社支援のメリットとデメリット|委託との実質コスト比較
「月額2〜4万円の委託料を節約したい」というのが自社支援を検討する主な動機です。ただし支援の実務は毎月ずっと発生するため、社内の工数を費用に置き換えると、実質的に委託の方が安くなるケースもあります。
4-1.メリット
- 委託料(月額2〜4万円/人)がかからない
- 支援を社内で完結でき、外国人本人との距離が近い
- 外国人雇用のノウハウが社内に蓄積される
4-2.デメリット
- 10項目の支援と毎年の届出に、継続的に担当者の時間がかかる
- 支援計画書・就任承諾書・履歴書など申請書類の作成を自社で行う
- 法令の改正や運用の変更を自社で把握する必要がある
- 届出漏れや支援の不備があると、受入れ機関として指導を受けることがある
4-3.委託と自社支援の実質コスト比較
kedomoの支援料は、1年目2万円/月、2年目以降1.5万円/月です。業界平均の月額支援委託料は約2万8千円で、「技能実習制度及び特定技能制度の現状について」(出入国在留管理庁)で公表されています。
自社支援で発生する工数を、担当者の時給3,000円(年収500万円相当)で置き換えたイメージです。
| 項目 | 登録支援機関への全部委託 | 自社支援 |
|---|---|---|
| 月額支援料 | 1.5万〜3万円/人 | 0円 |
| 支援計画書の作成 | 支援機関が関与 | 10〜20時間(初回) |
| 月次の支援実務(定期面談・相談・生活サポート) | 支援機関が対応 | 月5〜10時間 |
| 年1回の定期届出 | 支援機関が提出 | 年1回・計5時間程度 |
| 法令改正のキャッチアップ | 支援機関が対応 | 随時 |
| 外国人本人への多言語対応 | 支援機関が対応 | 自社で準備(通訳費用含む) |
担当者の月5〜10時間を時給3,000円で計算すると、月1.5万〜3万円ぶんになります。kedomoの1年目料金(2万円)とほぼ同水準です。さらに通訳手配や書類作成、法改正対応の時間を加えると、自社支援の方が総コストが高くなることも珍しくありません。
5.申請時の準備と注意点
自社支援を選ぶ場合、特定技能ビザの申請準備でいくつか気をつける点があります。
5-1.余裕を持ったスケジュールで進める
特定技能では、日本の手続きだけでなく相手国での手続きも必要になることがあります。書類の発行に時間がかかったり、審査が予定より長くなったりすることも多いため、スケジュールは余裕を持って組みます。海外からの採用では面接から入社まで3か月~6か月を見ておいてください。面接後に、特定技能試験を受ける場合はさらにかかります。
5-2.事前ガイダンスと健康診断書の翻訳
事前ガイダンスを行ったうえで雇用契約を結び、特定技能ビザの申請を行います。支援は入国前から始まる点に注意が必要です。申請の必要書類には外国人本人の健康診断書も含まれます。外国語で書かれている場合は日本語訳を用意します。
5-3.自社支援で作成する書類
自社支援で特定技能ビザの申請をする際、会社が作成する主な書類は次のとおりです。
- 支援責任者の就任承諾書および誓約書
- 支援責任者の履歴書
- 支援担当者の就任承諾書および誓約書
- 支援担当者の履歴書
- 事前ガイダンスの確認書(作成保管書類)
- 1号特定技能外国人支援計画書
様式は「在留資格「特定技能」に関する参考様式」(出入国在留管理庁)からダウンロードできます。申請書類全体の詳しい内容は、コラム『特定技能1号の申請書類一覧【難易度付き・2026年改定対応】』で整理しています。
一番作成に時間がかかるのが1号特定技能外国人支援計画書です。3章で紹介した10項目の支援をいつ・どうやって行うか、具体的に書く必要があります。支援担当者・責任者と一緒に、支援の実施方法をあらかじめ決めておきます。
6.自社支援が難しいときは登録支援機関への委託を
3章・4章を読んで「うちでは難しい」と感じた場合、登録支援機関への委託が現実的です。次のいずれかに当てはまる会社は、委託に切り替えられることが多くあります。
- 過去2年に中長期在留者の受け入れ実績がない
- 支援担当者を専任で確保できない
- 多言語で事前ガイダンス・生活オリエンテーションを実施できない
- 定期面談と毎年の届出を継続できる人手が足りない
kedomoは全国対応の登録支援機関で、月額1.5万円から支援を承っています。募集から入国後の10項目の支援、行政機関への届出まで一貫して対応しており、介護・外食・製造など17分野に対応しています。
まとめ
- 自社支援とは、登録支援機関に委託せず会社が自ら特定技能の支援を行う方法です
- 自社支援には「支援責任者・担当者の選任」「支援の中立性確保」の2つの要件があります
- 会社は10項目の義務的支援を継続的に実施し、毎年の届出も自社で行います
- 委託料を節約できる一方、担当者の工数を換算すると委託の方が安くなる場合があります
kedomoでは、特定技能外国人の紹介から登録支援機関としての支援まで一貫して対応しています。具体的な「特定技能採用の進め方」もあわせてご覧ください。お気軽にお問い合わせください。
よくあるご質問
Q1.特定技能の自社支援とは何ですか
A.登録支援機関に委託せず、受入れ企業が自ら特定技能外国人の10項目の義務的支援を行う方法です。支援計画書の作成から毎年の届出まで、すべて自社で担当します。
Q2.特定技能2号でも登録支援機関は必要ですか
A.特定技能2号は義務的支援10項目の対象外のため、登録支援機関への委託は不要です。
Q3.初めて外国人を雇う会社でも自社支援はできますか
A.できる場合もありますが、個別判断となり認められないことが多いです。最初は登録支援機関に委託し、実績を積んでから自社支援への切り替えを検討するほうが確実です。
Q4.自社支援で始めたあと、登録支援機関に委託へ切り替えできますか
A.可能です。登録支援機関と支援委託契約を結び、出入国在留管理庁へ支援委託契約に係る届出を提出します。
Q5.登録支援機関に委託した場合の費用相場はいくらですか
A.出入国在留管理庁の資料では、1人当たりの月額支援委託料の平均は約2万8千円です。kedomoでは月額1万5千円から対応しています。





