「特定技能で外国人を採用したいのですが、月給はいくらに設定すべきですか」――これはkedomoが企業様から最もよくいただくご相談のひとつです。先日も介護事業所の方から「日本人スタッフより少し低めでも大丈夫ですか」と聞かれましたが、答えは「不可」です。特定技能では、報酬額を日本人と同等以上にすることが在留資格の要件として法令で定められているためです。
この記事では、2026年3月24日に公表された厚生労働省の最新データをもとに、特定技能外国人の平均給料、在留資格別の比較、業種・地域による差、適正な給料設定のポイントを解説します。
この記事でわかること
- 特定技能外国人の最新の平均月給と、在留資格別の比較
- 特定技能の賃金が前年比+4.8%伸びている背景
- 「日本人と同等以上の報酬」という法令要件の意味
- 特定技能採用時に給料を決めるときの実務的な確認ポイント
執筆:株式会社kedomo(登録支援機関・外国人材紹介)
目次
1.外国人労働者全体の平均賃金は?
「令和7年賃金構造基本統計調査」(厚生労働省)によると、外国人労働者の平均月給は254,300円となっています。前年比+4.8%の伸びで、日本人を含む全体の水準と比べるとやや低めですが、この差は在留資格・年齢・勤続年数の構成の違いによるところが大きい数字です。
注意したいのは、この254,300円はすべての在留資格を含めた平均だということです。「専門的・技術的分野」と「技能実習」では月給が10万円以上違うため、外国人全体の平均値だけを見て自社の特定技能採用の給料を決めるのは適切ではありません。次の章で在留資格ごとの内訳を確認します。
2.在留資格別・平均月給(令和7年版)
令和7年(2025年)データの在留資格区分別の平均月給は次のとおりです。
| 在留資格区分 | 平均賃金(千円) | 対前年増減率(%) | 平均年齢 | 勤続年数(年) |
|---|---|---|---|---|
| 外国人労働者計 | 254.3 | +4.8 | 32.5 | 3.3 |
| 専門的・技術的分野(特定技能を除く) | 313.2 | +7.3 | 32.4 | 3.2 |
| 特定技能 | 221.4 | +4.8 | 29.5 | 2.4 |
| 身分に基づくもの(永住者・定住者など) | 311.1 | +3.6 | 45.0 | 6.5 |
| 技能実習 | 190.3 | +4.2 | 26.2 | 1.7 |
| その他(特定活動及び留学以外の資格外活動) | 228.3 | +0.8 | 30.1 | 2.0 |
ここでいう「賃金」は2025年6月分の所定内給与額で、残業代と賞与は含みません。特定技能の221,400円は、ボーナスや残業代を除いた基本給ベースの数字だと理解してください。
3.特定技能の賃金水準と前年比+4.8%の背景
令和7年データで特定技能外国人の月給は221,400円となり、前年(211,200円)から+4.8%の伸びを示しました。技能実習(190,300円)よりは約3万円高く、専門的・技術的分野(313,200円)よりは約9万円低い水準です。これは特定技能外国人の年齢が平均29.5歳と若く、勤続年数も2.4年と短いことが影響しています。日本人全体の平均賃金と比べて低く見える部分の多くは、この年齢構成・勤続年数の違いと考えています。
前年比+4.8%という伸び率は、技能実習の+4.2%、その他の+0.8%を上回っており、特定技能人材の処遇改善が進んでいる状況がうかがえます。kedomoの支援現場でも、「特定技能のスタッフに日本語試験を合格したら手当を出すことにした」など待遇アップに取り組まれている企業様が印象です。
4.業種・地域・経験で給料が変わる理由
特定技能の221,400円はあくまで全国・全業種を合算した平均値で、実際の給料はそれぞれの条件で大きく動きます。kedomoの支援現場で感じる主な変動要因は次の3つです。
ひとつ目は業種です。特定技能の対象16分野のうち、介護・外食・農業・宿泊・飲食料品製造業などはもともと国内の業界平均賃金がそれほど高くないため、特定技能外国人の給与もその水準に近づきます。一方で、建設や造船・舶用工業、製造業の一部では日本人技能者の賃金が比較的高いため、特定技能でも月給30万円を超えるケースも見られます。介護分野については特定技能「介護」も参考にしてください。
2つ目は地域差です。都市部(東京・大阪・愛知など)と地方では最低賃金の水準そのものが異なるため、同じ業種でも給料に差が出ます。最低賃金は厚生労働省が毎年改定しており、これを下回る雇用契約は法令違反となります。
3つ目は本人の経験と日本語力です。技能実習を3年以上修了して特定技能に移行した人材や、すでに国内の同業他社で実務経験を積んだ人材は、新規入国者よりも高い月給で迎えるケースが一般的です。kedomoがこれまで紹介した特定技能人材でも、実務経験ありの場合は経験なしより高い条件で内定が出る傾向があります。
5.「日本人と同等以上の報酬」の法的根拠と確認方法
特定技能では「報酬額が日本人が従事する場合の額と同等以上であること」が在留資格の許可要件として明記されています。これは「特定技能ガイドブック」(出入国在留管理庁)にも示されている運用要領上の要件で、給与設定が低すぎる場合は在留資格の認定や変更が許可されないことがあります。
実務上、入管に申請する際は次の点を比較できる状態にしておく必要があります。
- 同じ業務に従事する自社の日本人従業員の賃金(同等の経験・年齢の者)
- 同業務の日本人従業員がいない場合は、近隣の同業他社や賃金構造基本統計調査などの公的データ
- 通勤手当や住宅手当などの実費弁償的なものを除いた基本給・職務給ベースで比較
kedomoが支援した中でも、「日本人スタッフがいないから何を基準にすればよいかわからない」という企業様は少なくありません。その場合は同地域・同業種の最低賃金と賃金構造基本統計調査の業種別データを参照して、賃金の根拠資料を整えていきます。
なお、外国人であることを理由に報酬・教育訓練・福利厚生などの待遇に差別的な取扱いをすることも要件で禁止されています。基本給だけでなく、賞与・各種手当・昇給ルールも日本人と同条件にしておくことが大切です。
6.特定技能外国人の給料設定で押さえる4つのポイント
実際に給料を決めるときは、次の4点を順番に確認します。
ひとつ目は、社内で同じ業務を担当する日本人従業員の賃金との比較です。特定技能外国人だけを別ルールにしないことが大前提です。
2つ目は、地域の最低賃金を上回っているかどうかの確認です。月給制でも所定労働時間で割った時給換算が最低賃金以上である必要があります。
3つ目は、業種・地域の相場との照らし合わせです。賃金構造基本統計調査データのほか、ハローワークの求人情報も参考になります。相場より極端に低い設定だと、応募が集まらない、または採用後の早期離職につながります。
4つ目は、昇給の仕組みを契約段階で示すことです。特定技能の雇用契約では「技能の習熟に応じて昇給を行うこと」も求められます。「3年目から月5,000円アップ」「資格取得時に手当〇円」など、具体的な昇給ルールを契約書か就業規則に明記しておくと、本人のモチベーションにも直結します。
7.まとめ
- 特定技能外国人の平均月給は221,400円(令和7年・前年比+4.8%)で、技能実習より約3万円高く、専門的・技術的分野より約9万円低い水準です
- 特定技能の賃金は前年比+4.8%と継続して上昇しており、現場でも処遇改善の動きが広がっています
- 給料は業種・地域・本人の経験で大きく動くため、全国平均だけで自社の条件を決めるのは適切ではありません
- 「日本人と同等以上の報酬」は出入国在留管理庁の要件であり、社内の日本人従業員または公的データとの比較根拠を準備する必要があります
- 給料設定のときは、社内の日本人賃金、最低賃金、業種・地域相場、昇給ルールの4点を順番に確認します
適正な給料設定の根拠づくりから、条件に見合う特定技能人材の募集・採用まで、kedomoがワンストップで支援します。賃金水準を踏まえた特定技能の採用をご検討の企業様は、特定技能の人材紹介・採用支援をご覧ください。
8.よくある質問
Q.特定技能外国人の平均給料はいくらですか?
A.月額221,400円です(令和7年・厚生労働省)。
Q.技能実習生と比べてどれくらい高いですか?
A.技能実習190,300円に対し、特定技能は221,400円。月あたり約3万円の差があります。
Q.特定技能1号と2号で給料は違いますか?
A.公的統計では区分されていません。実務上は2号のほうが高い水準で設定されるのが一般的です。
Q.日本人より低い給料で雇うことはできますか?
A.できません。報酬額を日本人と同等以上にすることが在留資格の要件です。
Q.給料設定で迷ったときはどうすればよいですか?
A.社内の日本人賃金・地域の最低賃金・業種別の公的データの3点を確認し、不安があれば登録支援機関や行政書士に相談してください。





