外国人採用の相談で「派遣で人を探したい」と言われることがあります。話を聞いていくと、在留資格の関係で派遣では受け入れられなかったり、長期で雇用したいなら紹介のほうが条件に合うこともあります。外国人採用では在留資格によって派遣の可否が分かれるため、「派遣のつもりで動いていたら制度上使えなかった」ということが起こります。
費用の考え方も、派遣は時間×単価の継続課金、紹介は採用成立時の成功報酬と大きく異なります。この記事では、外国人を人材派遣で受け入れるときの在留資格・費用・運用ルール・派遣会社の選び方を、採用担当者向けに整理します。
kedomoは人材派遣事業を行っていない外国人専門の人材紹介会社ですが、「派遣で探したい」というご相談を受けることも多いため、現場で見聞きする注意点もあわせてお伝えします。
この記事でわかること
- 外国人を派遣で受け入れられる在留資格・受け入れられない在留資格
- 人材派遣の費用の考え方と紹介との使い分け
- 3年ルール・個人特定の禁止など派遣で守るべき運用ルール
- 派遣会社を選ぶときのチェックポイントと偽装請負のリスク
執筆:株式会社kedomo(登録支援機関・外国人材紹介)
目次
1.人材派遣の雇用形態
人材派遣では、派遣会社と派遣スタッフが雇用契約を結びます。派遣先となる企業は働く場所ですが、雇用主ではありません。給与の支払いや社会保険の手続きは派遣会社が行い、派遣先は指揮命令や就業環境の管理を担います。
人材紹介と比べたときの一番の違いも、ここの雇用契約の相手です。紹介では受入企業と求職者が直接雇用契約を結ぶため、採用後はそのまま自社社員となり、給与の支払い・社会保険・福利厚生もすべて受入企業が担います。参考:「職業紹介事業について」「労働者派遣事業について」(厚生労働省)
kedomoでは「派遣で人を探したい」という相談を受けたときも、まずは紹介で採用するメリットを含めてご案内しています。長期雇用を前提とするなら紹介で直接雇用するほうが結果的に費用を抑えやすく、特定技能のように派遣自体が原則できない在留資格もあるためです。
2.人材派遣の費用
人材派遣の費用は、一般に時間単価 × 実働時間(+割増)で決まります。残業や深夜は割増になり、稼働が増えるほど費用も増えます。
短期の欠員補充や繁忙期対応には派遣が動きやすい一方、長期雇用を前提にするなら紹介で直接雇用したほうが結果的に費用を抑えられることが多いです。最初は派遣で探していた企業も、長期で雇用したい場合は途中で紹介での直接雇用に切り替える判断になることがあります。
3.人材派遣の事業許可
人材派遣会社は労働者派遣法に基づく厚生労働省の許可が必要です。派遣会社は派遣スタッフを直接雇用して継続的に事業を運営するため、紹介事業より厳しい資産要件が課されています。
採用する側の手続きに直接関係する情報ではありませんが、依頼先を選ぶ際の背景として知っておくと判断しやすくなります。後述の派遣会社の選び方でも、許可番号の確認は最初のチェック項目になります。
4.人材派遣を利用する際の運用ルール
人材派遣は法律で定められた運用ルールが多く、違反が起きやすい領域です。派遣先(受入企業)に課せられる義務の全体像は、「派遣労働者の受入れ」(厚生労働省)にまとめられています。採用担当者が知っておくべき代表的なポイントは次のとおりです。
派遣の期間制限(3年ルール)
派遣には事業所単位と個人単位の2つの期間制限があります。
事業所単位では、同じ事業所で派遣スタッフを受け入れ続けられるのは原則3年までです。延長するには、過半数労働組合などへの意見聴取が必要になります。個人単位では、同じ派遣スタッフが派遣先の同じ組織単位(課・グループなど)で働けるのは原則3年までです。参考:「労働者派遣法の改正について」(厚生労働省)
契約範囲外の業務やサービス残業はNG
派遣スタッフにさせる業務は、派遣契約で定めた範囲に限定されます。派遣先が勝手に業務を追加したり、サービス残業を黙認したりすることは認められません。
派遣スタッフの個人特定・選別はNG
派遣は「労働者を特定することを目的とする行為」が制限されます。受け入れに際して「〇〇さんを指名したい」といった個人の特定や選別はできません。派遣スタッフが自発的に職場見学をすることは可能ですが、派遣元の同席が必要で、質問はスキルや経験の情報交換に限られます。
離職後1年以内の元社員を派遣で受け入れるのは原則禁止
離職から1年以内の元社員を、同じ会社が派遣として受け入れることは原則できません。参考:「離職後1年以内の労働者派遣の禁止について」(厚生労働省)
日雇い派遣は原則禁止
30日以内で雇用される日雇労働者の派遣は原則禁止です。60歳以上・昼間学生・一定の収入要件を満たす場合など、例外が限定的に認められています。参考:「日雇派遣の原則禁止について」(厚生労働省)
偽装請負との混同に注意
請負契約や業務委託契約で外部の人材を受け入れているつもりが、実態として発注者が労働者に直接指揮命令している場合、「偽装請負」と判断されます。労働者派遣法違反となり、悪質な場合は派遣先が労働者に労働契約の申込みをしたとみなされる「労働契約申込みみなし制度」の対象になります。判断は契約書の名称ではなく実態で行われ、「発注者が労働者に直接指揮命令しているか」「労働時間の管理を発注者が行っているか」などが基準になります。詳細は「労働者派遣・請負を適正に行うためのガイド」(厚生労働省)を確認してください。
5.外国人を派遣で受け入れるときの注意点
外国人採用では、在留資格によって派遣が使えるかどうかが決まります。「派遣で探したい」と考えていても、制度上派遣で受け入れられない資格があるため、採用計画を立てる前に確認が必要です。
特定技能は原則「直接雇用のみ」(農業・漁業は例外)
特定技能は、原則として受入企業による直接雇用に限られ、派遣形態での受け入れは認められていません。例外は「農業分野」「漁業分野」(出入国在留管理庁)の2分野のみです。これらの分野は季節によって仕事量が大きく変動するため、繁忙期と閑散期で働く場所を変えられるよう、派遣形態が認められています。
技人国の派遣は審査が厳格化されている
技術・人文知識・国際業務(技人国)は、エンジニアや通訳など専門的な業務のための在留資格で、派遣形態での就労自体は認められています。ただし、専門職として許可を受けながら実態は工場のライン作業など単純労働に従事させるケースが問題となり、近年、派遣形態の審査が厳格化されました。
主な変更点は次のとおりです。
- 申請時点で派遣先が確定していない場合は許可されない
- 派遣元と派遣先の双方が署名する誓約書の提出が必要
- 在留期間は派遣契約期間に応じて決定される(短期契約の繰り返しは在留期間も短縮)
- 派遣先に対しても業務内容の直接確認が行われる場合がある
工場などで派遣の外国人スタッフを技人国で受け入れている場合、現在の業務内容が本当に専門性を要するものかを改めて確認してください。参考:「在留資格「技術・人文知識・国際業務」」(出入国在留管理庁)
育成就労・技能実習は派遣不可
育成就労(技能実習に代わって施行予定の制度)と技能実習は、いずれも派遣形態では受け入れられません。技能実習の段階から育成就労、その後の特定技能まで、いずれも受入企業による直接雇用が原則です。
6.人材派遣会社の選び方
人材派遣を利用する場合は、派遣会社の選定で守るべき品質が大きく変わります。最低限、以下のポイントを確認してください。
- 労働者派遣事業の許可(厚生労働大臣許可)の番号を持っているか
- 外国人スタッフの労務管理・在留資格管理の体制があるか
- 受入企業に対して業務範囲・運用ルールの説明が明確か
- 過去に派遣法違反などで行政処分を受けていないか
- 派遣スタッフの育成や、苦情・相談への対応体制があるか
特に外国人を派遣で受け入れる場合は、許可番号の有無に加えて、在留資格の更新・住居支援・生活面のサポートに派遣会社がどこまで対応するかも事前に確認してください。在留資格の管理を派遣先と派遣元のどちらが行うかが曖昧だと、更新漏れや不法就労のリスクにつながります。
長期で雇用したい場合や、特定技能・育成就労・技能実習など派遣が使えない在留資格で採用する場合は、派遣ではなく人材紹介を利用するのが現実的です。kedomoは人材派遣事業を行っていない外国人専門の人材紹介会社です。長期雇用を前提にした採用、特定技能の直接雇用、技人国の専門人材の紹介をご検討の場合はお気軽にご相談ください。
7.まとめ
- 人材派遣では派遣会社が雇用主、人材紹介では受入企業が雇用主となる
- 派遣には3年ルール・個人特定の禁止・日雇い派遣禁止など守るべき運用ルールがある
- 特定技能は原則直接雇用のみで、農業・漁業の2分野だけ派遣が認められている
- 技人国の派遣は審査が厳格化されており、工場の単純労働で受け入れると資格外活動のリスクがある
kedomoは外国人専門の人材紹介会社です。人材派遣事業は行っていないため、派遣での採用をお考えの場合はパートナー企業をご案内します。長期で雇用したい・特定技能で受け入れたい・技人国の専門人材を探したいといった相談であれば、人材募集から面接、来日時の生活準備まで支援します。介護・養殖業・造船・製造・外食・宿泊などの特定技能業種は登録支援機関として採用支援できます。外国人採用をご検討の際はお気軽にお問い合わせください。
よくあるご質問
Q.人材紹介と人材派遣の一番大きな違いは何ですか
A.雇用契約の相手です。紹介では受入企業と求職者が直接雇用契約を結び、派遣では派遣会社と派遣スタッフが雇用契約を結びます。
Q.外国人を派遣で受け入れられる在留資格は何ですか
A.永住者・定住者など就労制限のない在留資格と技人国(審査は厳格化)です。特定技能は原則不可で農業・漁業のみ例外、育成就労・技能実習は派遣不可です。
Q.長期で雇用する場合、紹介と派遣はどちらが費用を抑えられますか
A.一般には紹介です。紹介は採用成立時の一度の費用、派遣は稼働時間に応じて継続的に費用が発生するため、長期では紹介のほうが抑えやすい傾向にあります。
Q.派遣会社を通じて技人国の外国人を工場作業で受け入れていますが問題ないでしょうか
A.技人国は専門性を要する業務に限られるため、工場のライン作業など単純労働に従事させている場合は資格外活動となる可能性があります。業務内容を確認のうえ、特定技能など適切な資格への切り替えをご検討ください。
Q.kedomoに派遣の相談はできますか
A.kedomoは人材派遣事業を行っていない人材紹介会社です。長期雇用を前提とした採用や、特定技能・技人国などの在留資格で紹介をご希望の場合はお問い合わせください。





