日本と外国で交通ルールが違うことは、皆さまご存じと思います。例えば、インドネシア・タイ・マレーシアは日本と同じ左側通行、ベトナム・カンボジア・ラオス・韓国は右側通行で、車の運転席が左側にあることが多いです。
今回は、このように違った交通環境から来日する外国人が、運転免許証を取得する方法について、外国人を雇用される企業様向けにご紹介します。免許が取れると、現場や取引先への移動、通勤の選択肢が増えます。生活面でも買い物や通院などが楽になりやすいので、会社側も手続きを知っておくと安心です。
なお2025年10月に外免切替が厳格化され、取得が大幅に難化しました。最新要件も本記事でご確認いただけます。
この記事でわかること
- 外免切替と新規取得の違いと選び方
- 2025年10月から変わった外免切替の要件(住民票・知識確認・技能確認)
- 特定技能自動車運送業で必要な免許(第一種・第二種)と特定活動55号の使い方
- 採用後の配属までに会社がすべき支援
執筆:株式会社kedomo(登録支援機関・外国人材紹介)
目次
1.免許取得は「切替」か「新規」の2ルート
外国人が日本で運転免許を取得するには、2つの方法があります。
1つ目は、母国で取得した運転免許を日本の免許に切り替える「外免切替」です。条件に合えば、学科・技能試験が簡素化された確認で済みます。ただし2025年10月の改正で、この「簡素化」の幅がかなり狭くなりました(後述)。参考:「外国の運転免許をお持ちの方」(警察庁)
2つ目は、日本の教習所に通い、日本人と同じ流れで新規取得する方法です。日本語での教習や試験が壁になりやすいので、社内での支援(通訳の有無、費用補助、勤務調整など)があると合格率が上がります。
どちらを選ぶかは、本人が母国で有効な運転免許を持っているか、取得後に3か月以上その国に滞在した実績があるか、で決まります。両方満たせば外免切替が最短ルートです。
2.2025年10月の外免切替厳格化で変わった3点
2025年10月、道路交通法施行規則が改正され、外免切替の運用が大きく見直されました。採用計画に直接影響するので、最新の要件を押さえておいてください。本記事は2026年4月時点の情報です。参考:「令和7年10月1日施行・改正道路交通法施行規則について」(警視庁)
住民票の提出が原則必須に
改正前はパスポートと一時滞在証明で申請できましたが、改正後は国籍を問わず住民票の写しの提出が原則必須になりました。在留資格がない人や、観光などの短期滞在者は申請できません。
採用予定の外国人が来日したばかりの場合、まず住民登録を済ませてから免許センターに行く流れになります。住民登録は入国後14日以内の転入届が必要です。
知識確認が50問・90%合格に
従来は10問のイラスト付き問題で70%以上の正答で合格できましたが、改正後は以下のようになりました。
- 問題数:10問→50問
- 合格基準:70%→90%(45問以上正解)
- 形式:イラスト問題→文章形式
- 言語対応:20言語(維持)
日本人が新規に免許を取るときの学科試験と同じ水準です。本人が事前に交通ルールを体系的に学ぶ時間を、採用計画に組み込んでおく必要があります。
技能確認の採点が厳格化
改正前の技能確認は場内コースでの基本操作の確認でしたが、改正後は横断歩道・踏切の通過などの課題が追加され、新規免許取得と同等の基準で採点されます。
改正前でも技能確認の通過率は3割程度と低水準でした。参考:「外国人の免許切り替え、試験10問→50問に 観光客は認めず」(日本経済新聞)
改正後はさらに難化しているので、外免切替に特化した教習所で数時間でも練習してから本番に臨むほうが、再試験を減らせます。
3.外免切替の進め方(母国免許を日本免許へ)
ここでは、改正後の外免切替を会社が手伝うときの流れを説明します。要件確認、書類準備、予約までを会社が段取りできるとスムーズです。申請先の運用は都道府県警察で違うので、提出先の案内ページも必ず確認してください。
前提条件(まずここを確認)
改正後の外免切替には、次の条件が必要です。
- 外国の有効な運転免許を持っていること(失効していないこと)
- 免許取得後、その国に通算3か月以上滞在していること(旅券の出入国証印などで確認)
- 日本に住民登録があること(在留資格なし・短期滞在は不可)
- 視力などの適性検査基準を満たすこと
会社が最初に確認しておくとよいのは次の3点です。
- 免許証の取得日が券面で確認できるか
- パスポートの出入国履歴で「取得後3か月滞在」を説明できそうか
- 在留カードと住民票の記載が一致しているか
事前審査
外免切替では、提出書類の確認に加えて、口頭での確認が行われます。聞かれるのは次のような内容です。
- どこの国(地域)で、いつ免許を取ったか
- 免許を取った方法(教習所か、試験場か等)
- 教習所名や所在地など、取得経緯の説明
本人が日本語で説明しきれないときは、当日の同席可否を免許センターに確認しておくとよいです。
適性検査・知識確認(言語対応は都道府県で確認)
視力などの適性検査に加えて、2025年10月から50問・90%合格の知識確認があります。20言語対応は維持されていますが、対応言語や運用は都道府県で差があります。参考:「外国語により受験できる学科試験について」(警視庁)
会社としては、次を先に決めておくとよいでしょう。
- 本人が受験できる言語
- 提出先でその言語が当日使えるか
- 事前学習の時間を確保できるか
技能確認で不合格になりやすいポイント
指定コースでの実技確認です。交通ルールの違いに加えて、合図のタイミング・安全確認の手順でも減点されやすく、改正前でも初回通過率は3割程度でした。改正後はさらに採点が厳しくなっているので、事前に教習所で数回練習してから臨むことを強くおすすめします。
4.日本で新規に運転免許を取る手順(教習所ルート)
母国で免許を持っていない外国人、または3か月滞在要件を満たせない外国人は、日本の教習所で新規取得します。教習所で学科・技能を進め、仮免許、卒業検定を経て、免許センターで学科試験を受ける流れです。
外免切替に比べて時間と費用がかかりますが、日本の交通ルールを体系的に学べるメリットがあります。外国語対応の教習所や学科試験の多言語化は進んでいますが、対応状況は地域差があります。
日本での生活が短い外国人が日本語で教習を受けるのは難しいので、原付免許など学習範囲が狭い免許から始めて、普通自動車免許に進む方法もあります。原付試験でも対応言語は試験場ごとに違うので、事前に確認してください。
5.特定技能自動車運送業で必要な運転免許
特定技能自動車運送業で外国人ドライバーを採用する場合、必要な運転免許は区分によって違います。国土交通省の制度概要で確認しておきましょう。参考:「特定技能制度における自動車運送業分野の制度概要」(国土交通省)
トラック:第一種運転免許
トラック運転者は、第一種運転免許(運ぶ車両に応じて準中型・中型・大型)と、特定技能1号評価試験(トラック)の合格が要件です。日本語はJLPT N4相当以上です。
第一種運転免許は外免切替で取得できます。つまり海外でトラック運転歴のある人材を採用しやすい区分です。
タクシー・バス:第二種運転免許
タクシー・バス運転者は、第二種運転免許と、特定技能1号評価試験(タクシー/バス)の合格が要件です。日本語は接遇業務があるためJLPT N3相当以上と高めです。
第二種運転免許は外免切替の対象外です。国内で新規に取得する必要があります。第二種の受験には第一種を一定期間保有していることが原則ですが、受験資格特例教習を使えば19歳以上・運転経歴1年以上から第二種の受験資格が得られます。参考:「第二種免許等の受験資格の見直しについて」(警察庁)。第二種免許の学科試験も20言語に対応しています。
採用フロー:特定活動55号で入国して免許取得
海外在住の候補者が日本の免許を持っていない場合、一度に特定技能1号への移行は難しいので、まず在留資格「特定活動55号(特定自動車運送業準備)」で入国してもらい、在留期間中に免許を取得してから特定技能1号へ変更します。
- トラック:最長6か月・更新不可
- バス・タクシー:最長1年・更新不可
この期間中に外免切替または新規取得で日本の免許を取り、新任運転者研修(バス・タクシーの場合)を受けた後に特定技能1号へ変更するのが基本的な流れです。国際運転免許証では特定技能1号の取得は認められないので、必ず日本の運転免許が必要です。
kedomoでは自動車運送業の特定技能採用と登録支援機関業務としての生活サポートを対応しています。ドライバー志望の人材紹介事例もあわせてご覧ください。
6.まとめ
- 外国人の運転免許取得は「外免切替」か「教習所での新規取得」の2ルート
- 2025年10月から外免切替は住民票必須・知識確認50問90%・技能確認厳格化になった
- 特定技能自動車運送業のトラックは第一種、タクシー・バスは第二種運転免許が必要
- 第二種運転免許は外免切替の対象外で、国内取得しか選択肢がない
- 海外在住の候補者は特定活動55号で入国し、期間内に免許を取る流れが基本
7.よくある質問
Q1. 外免切替とは何ですか?
A. 外国で取得した運転免許を、試験の一部を簡素化した確認で日本の免許に切り替える手続きです。「外国の運転免許をお持ちの方」(警察庁)の案内に沿って進めます。
Q2. 2025年10月の厳格化で何が変わりましたか?
A. 住民票の写しが原則必須になり、短期滞在者は申請できなくなりました。知識確認は50問・90%合格、技能確認も新規取得と同等の採点基準になりました。
Q3. 国際運転免許証で特定技能自動車運送業に就労できますか?
A. できません。特定技能1号の自動車運送業は、日本の運転免許の取得が必須要件です。
Q4. 外免切替で第二種運転免許は取れますか?
A. 取れません。外免切替の対象は第一種のみです。タクシー・バスの第二種運転免許は国内で新規取得する必要があります。
Q5. 海外在住の候補者が免許を持っていない場合、どう進めますか?
A. 在留資格「特定活動55号」で入国してもらい、期間中に免許を取得します。トラックは6か月、バス・タクシーは1年の期限があります。



