日本には労働者のための保険として、社会保険と労働保険があります。社会保険には「厚生年金保険」「健康保険」「介護保険」が、労働保険には「雇用保険」と「労災保険」があります。外国人を採用した場合に、それぞれの保険への加入判断がどうなるのかを説明します。
なお、kedomoは外国人専門の人材紹介会社です。高度人材・特定技能採用、登録支援機関の依頼を検討中の企業様はぜひご相談ください。
目次
1.厚生年金保険と健康保険
厚生年金保険と健康保険は、法人事業所、および常時5名以上の従業員がいる個人事業所で加入が義務付けられています。従業員の国籍は関係ありません。
フルタイムに近い働き方をしている場合
アルバイト・パートとして働く外国人であっても、次の2つをいずれも満たす場合は加入が必要です。
- 1週間の所定労働時間が一般社員の4分の3以上
- 1か月の所定労働日数が一般社員の4分の3以上
短時間労働者への適用拡大(2024年10月〜)
2024年10月の制度改正により、上記の4分の3基準を満たさない短時間労働者であっても、次の4要件をすべて満たす場合は加入が必要になりました。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 月額賃金が88,000円以上(基本給・固定手当のみ。残業代・通勤手当などは含まない)
- 2か月を超えて雇用される見込みがある
- 学生でない
この要件が適用されるのは、厚生年金の被保険者数が常時51人以上の事業所です(法人は全事業所を合算して判定)。なお、月額88,000円の賃金要件(いわゆる「106万円の壁」)は2026年10月を目途に撤廃される予定です。今後は企業規模にかかわらず、週20時間以上勤務する短時間労働者が加入対象に広がる方向で制度改正が進んでいます。
参考:「社会保険の加入対象の拡大について」(厚生労働省)
届出と事前説明について
届出の際、健康保険組合によっては備考欄に国籍・地域、在留資格、在留期間、資格外活動許可の有無を記載する必要があります。
日本での就労が初めての外国人の方は、保険制度そのものを知らないことがあります。厚生年金の目的、途中退職しても「脱退一時金」として一部が戻ること、健康保険は本人負担が3割であること、保険料が給与から天引きされるため手取りが総支給額より少なくなることなど、入社前に説明しておくと後のトラブルを防げます。
なお、会社が社会保険の適用事業所でない場合、外国人社員は個別に市区町村役場で国民健康保険に加入することになります。
2.介護保険
2000年に施行された介護保険制度では、日本に3か月を超えて在留する40歳以上の外国人社員も加入対象です。在留中に介護が必要になった場合、日本人と同様の介護サービスを利用できます。
保険料は健康保険料と一緒に給与から天引きされます。40歳になる月(正確には40歳の誕生日の前日が属する月)から徴収が始まるため、誕生日前後のタイミングで給与明細の控除額が変わります。外国人社員に対しても、変更の理由を事前に伝えておくと混乱を防げます。
参考:「介護保険制度の概要」(厚生労働省)

3.雇用保険
失業給付の財源となる保険です。外国人社員であっても、次の2つをいずれも満たす場合は加入が必要です。雇い入れた日の翌月10日までに、所轄のハローワークに届け出てください。
- 31日以上継続して雇用される見込みがある
- 1週間の所定労働時間が20時間以上
ただし、全日制の学生や、ワーキングホリデービザで来日した外国人など、雇用保険法上の適用除外に該当する方については加入不要です。
外国人雇用状況の届出(雇用保険に加入しない場合も必要)
雇用保険に加入させない外国人を雇い入れた場合でも、雇い入れ日の翌月末日までにハローワークへ「外国人雇用状況届出書」を提出しなければなりません。この届出を怠ると、行政指導や30万円以下の罰金の対象になることがあります。
参考:「外国人雇用状況の届出状況まとめ」(厚生労働省)
4.労災保険
労災保険は、国籍を問わず1人でも従業員を雇用していれば加入が必要です。アルバイトや日雇いといった雇用形態でも同様で、例外はありません。届け出は所轄の労働基準監督署で行います。
慣れない職場でのけがや体調不良は、どれだけ安全に配慮していても起こりえます。入社日に合わせて手続きを済ませておくと安心です。加入を後回しにして万が一の事故が起きると、給付だけでなく会社側の費用負担が生じることがあります。
参考:「労災保険制度の概要」(厚生労働省)

5. よくある質問
Q. 外国人アルバイトも社会保険に加入させる必要がありますか?
A. 雇用形態は関係ありません。週の所定労働時間が一般社員の4分の3以上、かつ月の所定労働日数が4分の3以上であれば、アルバイト・パートでも加入が必要です。また2024年10月以降、従業員51人以上の事業所では、週20時間以上・月額賃金88,000円以上などの要件を満たす短時間労働者も対象に加わりました。
Q. 特定技能・技能実習の外国人も対象ですか?
A. はい、対象です。在留資格の種類にかかわらず、上記の加入要件を満たす場合は社会保険への加入が必要です。特定技能・技能実習の外国人も例外ではありません。
Q. 雇用保険に加入させない場合も、ハローワークへの届出は必要ですか?
A. 必要です。雇用保険の適用除外に該当する外国人(全日制の学生、ワーキングホリデービザの方など)を雇い入れた場合でも、雇い入れ日の翌月末日までに「外国人雇用状況届出書」をハローワークに提出しなければなりません。届出を怠ると30万円以下の罰金の対象になることがあります。
Q. 外国人社員が途中で帰国した場合、厚生年金はどうなりますか?
A. 日本を出国後2年以内に請求すれば、「脱退一時金」として保険料の一部が戻ります。受け取れる金額は加入期間や標準報酬月額によって異なります。入社時にこの制度を伝えておくと、保険料に対する納得感を得やすくなります。
参考:「脱退一時金」(日本年金機構)
Q. 労災保険はいつから手続きが必要ですか?
A. 最初の従業員を雇い入れた日から加入義務が発生します。入社日より前に所轄の労働基準監督署で手続きを済ませておくことが望ましいです。手続きが間に合わない場合でも遡って加入できますが、その間に事故が起きると会社側の費用負担が生じることがあります。
6.まとめ(外国人採用はkedomoへ)
以上のように、外国人を雇用する場合にも、ほぼ日本人と同じように保険加入が必要になります。 そのため、日本で初めて働く外国人の方には、それぞれの保険の意味を説明して理解していただくことが重要です。また、保険料が給与から天引きされるので、給与総額と手取りが違うことも、念のためお伝えしておくとよいかもしれません。
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