外国人採用を検討する企業様から、「特定技能で採用した人に、長く働いてほしい」という希望があるのはもちろんですが、その後、入社して外国人の働きぶりの良い方には、企業から「無期限で雇えないか」という相談があります。
特定技能には1号と2号があり、2号に移行すれば在留期間の上限がなくなります。しかも、1号の5年を終えるまで待つ必要はなく、要件を満たせば早い段階で2号へ切り替えられます。
この記事では、特定技能で何年働けるのか、1号の5年後はどうなるのか、2号へ移行するために必要な条件、採用担当者が準備しておきたいことを、2026年4月時点の制度にあわせて説明します。
この記事でわかること
- 特定技能1号の在留期間(通算5年)と2号の無期限就労の仕組み
- 1号の5年を待たずに2号へ移行できる条件
- 2号移行の共通要件(試験・実務経験)と分野別の違い
- 2号移行を見据えて採用担当者が準備すべきこと
執筆:株式会社kedomo(登録支援機関・外国人材紹介)
目次
1.特定技能の在留期間|1号は通算5年、2号は上限なし
特定技能は人手不足の産業分野で外国人を受け入れるために設けられた在留資格で、1号と2号に分かれています。雇用期間に関わる仕組みがそれぞれ異なります。
1号の在留期間は「通算5年」
特定技能1号の在留期間は、通算で5年が上限です。1回あたりの在留期間は1年・6か月・4か月のいずれかで許可され、更新を重ねて通算5年まで延長できます。
通算5年のカウントには、一時帰国期間(再入国許可による出国期間)も原則として含まれます。ただし、産前産後・育児休業期間や、病気・怪我による長期休業期間は通算から除外されます。詳細は「在留資格「特定技能」」(出入国在留管理庁)のページを確認してください。
2号は3年・1年・6か月単位で更新、上限なし
2号の在留期間は3年・1年・6か月のいずれかで許可され、更新回数に制限はありません。更新を続ける限り日本で働き続けられるため、事実上の無期限就労となります。配偶者や子どもの帯同も認められ、一定の要件を満たせば永住許可の申請も視野に入ります。
2.1号の5年後に取れる選択肢
1号の通算5年を迎える時点で、外国人本人と企業が取れる道は大きく2つあります。
2号へ移行するのがもっとも自然な選択です。同じ企業・同じ分野で働き続けられるため、企業にとっても育てた人材を失わずに済みます。
他の就労資格(技術・人文知識・国際業務など)へ変更する道もあります。ただし、技人国は大学・短大・専門学校卒の学歴と、専攻と業務の関連性が求められるため、誰でも選べるわけではありません。
3.5年を待たなくても2号に移行できる
2号への移行は「1号の5年を満了してから」というイメージがありますが、これは誤解です。試験と実務経験の要件を満たせば、1号の在留期間が残っている段階でも2号へ切り替えられます。
kedomoが支援している飲食店でも、1号の5年を待たずに2号へ移行した方がおられます。早い段階で要件を満たして移行できれば、企業側は支援委託料などのコストを早く減らせ、外国人側は家族帯同の時期を前倒しできるというメリットがあります。
ただし、要件を満たすには採用時点からの計画的な準備が必要になります。具体的な要件は次の章で説明します。
4.特定技能2号の対象分野と移行要件
2号の対象分野は介護を除く11分野
特定技能1号は2026年時点で16分野が対象ですが、2号はこのうち11分野で受け入れが可能です。
2号で受け入れ可能な11分野は、ビルクリーニング、工業製品製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業です。
介護分野は2号が設けられていません。代わりに、介護福祉士の資格を取得すれば在留資格「介護」へ移行でき、期間の制限なく働けます。また、2024年に追加された自動車運送業・鉄道・林業・木材産業の4分野は、現時点では2号が設置されていません。
共通して必要な2つの要件
2号の取得には、どの分野でも以下の2つが共通して求められます。
分野別の2号評価試験(または技能検定1級)に合格することが1つ目です。1号より高い技能水準が問われ、分野によっては監督者としての知識も含まれます。
2つ目は実務経験です。多くの分野で、複数の作業員を指導しながら業務を行い、工程を管理する立場としての2年以上の経験が求められます。正式な役職名がない場合でも、職務命令書やシフト表などで実務内容を証明できれば対象になります。
外食業と漁業は日本語N3が必要
2号の日本語要件は分野によって異なり、外食業と漁業では日本語能力試験N3以上の合格が要件に加わります。他の分野は日本語試験の合格は要件に含まれません(ただし試験が日本語で行われるため、一定の日本語力は必要です)。
働きながらN3の勉強時間を確保するのは、意外と大きな壁です。仕事が終わってから毎日机に向かえる人ばかりではなく、週末にまとめて勉強するスタイルでも合格までには時間がかかります。N3を要件とする分野で2号移行を目指す場合は、採用時点から学習計画を組むのが現実的です。
5.2号移行のメリット(企業側・外国人側)
2号へ移行すると、企業にも外国人本人にも大きな変化があります。
企業側のメリット
支援義務がなくなるのが大きな変化です。1号では受入企業に10項目の義務的支援があり、自社で対応できない場合は登録支援機関に委託します。2号になると支援計画の策定・実施が不要になり、委託している場合は委託料の負担もなくなります。支援義務の詳細は「特定技能支援を登録支援機関に委託せず自社で行う方法」で整理しています。
育てた人材を無期限で雇用できるのも企業側の大きなメリットです。5年ごとに新しい人材を採用し直す必要がなくなり、長期のキャリア形成ができます。
外国人側のメリット
家族帯同が認められるのが大きな魅力です。kedomoが支援している中にも、家族帯同を主なモチベーションにして2号移行を目指す外国人がいます。1号のあいだは家族と離れて暮らすしかないため、家族を呼べるかどうかは働き続けるかの判断に直結します。技人国などで家族を呼ぶ仕組みとの違いは「技術・人文知識・国際業務の家族滞在」も参考にしてください。
永住申請の道が開けるのも長期的なメリットです。2号として就労した期間は永住許可の要件にカウントされます(1号と技能実習の期間はカウントされません)。
6.採用担当者が2号移行を見据えて準備すべきこと
1号で採用した時点から2号を視野に入れる場合、以下の3点を押さえておくと動きやすくなります。
分野ごとの要件を最初に確認する
2号の要件は分野によって中身が違います。日本語N3が必要なのは外食業と漁業だけですし、実務経験の内容も「指導・監督」「工程管理」など分野ごとに定義が異なります。自社の分野で何が要件になるかを、採用前に「特定技能制度」(出入国在留管理庁)で確認してください。
リーダー経験が積めるように計画的にポジションを配置する
2号の実務経験は、単に「2年働いた」だけでは足りません。複数の作業員を指導しながら工程を管理する立場としての経験が求められるため、1号で採用した外国人に副店長・サブリーダーなどの役職を任せる計画を早めに立てるのが有効です。実務経験は職務命令書やシフト表で証明するため、正式に役職を発令しておくと申請時にスムーズです。
日本語学習のサポート体制を準備する
外食業や漁業のようにN3が必要な分野では、働きながら学習時間を確保するのが難しいケースがあります。企業側で勉強時間を就業時間内に設ける、e-learning教材を用意する、定期的に模試を受けさせるなど、学習のペースメーカーとなる仕組みが効きます。
kedomoのスタッフにはミャンマー・フィリピン・ベトナム・インドネシアの日本語能力試験N1・N2合格者がおり、受入企業の依頼に応じて2号合格に向けた日本語学習をサポートしています。外国人にとって母国語で相談できる相手がいることは、学習継続の大きな支えになります。
7.特定技能の採用・2号移行サポートはkedomoへ
kedomoは登録支援機関として、外国人の採用段階から2号移行までを一貫してサポートしています。漁業分野の2号移行については「漁業分野(漁業・養殖業)の特定技能2号取得要件」でも具体的な要件を整理していますが、分野をまたいで横断的にお手伝いできます。
サービスの詳細は特定技能のご紹介・支援ページをご覧ください。1号採用のご相談から2号移行の計画まで、気軽にお声がけください。
まとめ
- 特定技能1号は通算5年が上限、2号は更新を重ねれば無期限で就労できる
- 1号の5年を待たなくても、試験と実務経験の要件を満たせば2号に移行できる
- 2号の対象は介護を除く11分野で、2024年追加の運送・鉄道・林業・木材は現時点で2号未設置
- 2号移行には分野別試験の合格と2年以上の指導・管理的な実務経験が必要
- 外食業と漁業のみ日本語N3以上が要件に加わる
kedomoでは特定技能の人材紹介と登録支援機関業務を行っています。1号の採用から2号移行の計画まで、お気軽にお問い合わせフォームからご相談ください。
よくある質問
Q.特定技能では何年働けますか?
A.1号は通算5年が上限で、2号へ移行すれば更新を重ねて期間の制限なく働けます。介護分野は2号がないため、在留資格「介護」への変更で長期雇用が可能です。
Q.1号の5年を待たずに2号へ移行できますか?
A.可能です。分野別の2号評価試験に合格し、指導・管理的な実務経験の要件を満たせば、1号の在留期間中でも2号へ変更申請できます。
Q.2号の対象分野を教えてください。
A.ビルクリーニング、工業製品製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業の11分野です。介護と2024年追加の4分野(自動車運送業・鉄道・林業・木材産業)は現時点で対象外です。
Q.2号に移行すると登録支援機関は不要になりますか?
A.2号では支援計画の策定・実施が義務ではなくなります。登録支援機関に委託している場合も委託料の負担がなくなります。1号の支援義務については「登録支援機関を利用せず自社で採用する方法」も参考になります。
Q.2号になると家族を呼べますか?
A.配偶者と子どもの帯同が認められます。1号のあいだは家族帯同ができないため、家族を呼びたい外国人にとって2号移行は大きなモチベーションになります。





