「技術・人文知識・国際業務」(通称:技人国)とは、日本の企業や機関との契約に基づき、専門知識を必要とする業務に従事するための在留資格です。
2025年6月末時点の在留外国人統計では、「技術・人文知識・国際業務」は「永住者」に次いで2番目に多い在留資格となっています。2024年末時点の在留者数は418,706人、2025年6月末には458,109人まで増加しています。 参考:「令和6年末現在における在留外国人数について」(出入国在留管理庁)
エンジニアや事務系ホワイトカラー職をほぼカバーしているため、企業が外国人社員を採用する際、最初に検討することが多い在留資格です。名称は1つにまとまっていますが、「技術」「人文知識」「国際業務」はもともと別々の在留資格であり、要件がそれぞれ異なります。採用前にこの3区分を個別に理解しておくことが重要です。
この記事でわかること:
- 入管が審査する5つのポイント
- 申請に必要な書類の一覧(カテゴリー別)
- 「技術」「人文知識」「国際業務」それぞれで就ける職種
- 有効期間・更新・家族帯同・永住権の概要
執筆:株式会社kedomo(登録支援機関・外国人材紹介)
目次
1. 「技術・人文知識・国際業務」ビザの審査ポイント
入管は、入管法・上陸基準省令・入国在留審査要領等の基準に照らして審査します。大きく5つのポイントがあります。
①自然科学・人文科学の専門知識が必要な業務であること
入管法では、この在留資格で認められる活動を次のように規定しています。
本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動
「技術」は自然科学系の知識・技術を要する業務、「人文知識」は文系・社会科学系の知識を要する業務、「国際業務」は外国の文化に基づく感受性が必要な業務を指します。
採用前に確認しておきたいのは、業務内容に専門性があるかどうかです。「未経験可・すぐに慣れます」と求人票に書けるような単純作業や、特段の専門知識を必要としない一般的な業務は対象外とされています(入国・在留審査要領第12編)。
製造ラインでの単純組み立て作業などの作業系業務は技人国ビザの対象外です。kedomoでもこうした業務での紹介は特定技能人材の採用をお勧めしています。外国人社員に任せる業務内容が専門性の要件を満たすかどうか、採用前に確認してください。
②学歴要件または実務経験要件を満たしていること
「技術・人文知識」と「国際業務」では要件が一部異なります。
技術・人文知識の場合
上陸基準省令では、次のいずれかを満たす必要があります。
- イ)関連科目を専攻して大学(またはそれと同等以上の教育機関)を卒業していること
- ロ)関連科目を専攻して日本の専門学校の専門課程を修了していること
- ハ)10年以上の実務経験を有すること(大学・高専・専修学校等で関連科目を専攻した期間を含む)
- 但書)情報処理に関する業務に従事する場合で、法務大臣が告示で定める資格・試験を有するとき
「大学と同等以上」には短期大学も含まれます。中国の場合は本科・専科を含む大学、専科学校、短期職業大学などが該当します。
なお、大学卒業者は専攻科目と業務の関連性がやや緩やかに判断される一方、専門学校卒業者は関連性がより厳格に審査されます。
国際業務の場合
上記のイ・ロを満たすか、または次の要件を満たす必要があります。
従事しようとする業務に関連する業務について3年以上の実務経験を有すること。ただし、大学を卒業した者が翻訳、通訳または語学の指導に係る業務に従事する場合は、この限りでない。(上陸基準省令)
国際業務の実務経験要件は3年です。日本国内での経験に限らず、海外での「関連業務」の経験でも認められます。
参考:「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令」(e-Gov法令検索)
③日本人と同等額以上の報酬であること
企業の賃金体系を基準に、同じ職種・学歴の日本人社員と同等以上の報酬が必要です。通勤手当・扶養手当・住宅手当は報酬に含まれません。
外国人だからといって日本人より低い賃金を設定することは認められていません。詳しくは外国人エンジニア採用ページもご参照ください。
④素行が不良でないこと
在留資格変更許可申請の際に審査される項目です。留学中に資格外活動の条件に違反して週28時間を超えるアルバイトをしていた場合などが該当します。
⑤入管法に定める届出等の義務を履行していること
在留資格変更許可申請の際の審査項目です。在留カードの記載事項に係る届出・更新申請・所属機関に関する届出などを適切に行っていることが必要です。
2. 「技術・人文知識・国際業務」申請の必要書類
日本国内にいる場合は「在留資格変更許可申請」、海外にいる場合は「在留資格認定証明書交付申請」を行います。雇用先の企業規模・種類によって4つのカテゴリーに分かれ、提出書類が一部異なります。
| カテゴリー | 対象 |
|---|---|
| カテゴリー1 | 上場企業、相互会社(保険)、国・地方公共団体、独立行政法人、特殊法人・認可法人、公益法人など |
| カテゴリー2 | 前年の給与所得源泉徴収税額が1,000万円以上の団体・個人 |
| カテゴリー3 | 法定調書合計表を提出している団体・個人(カテゴリー2を除く) |
| カテゴリー4 | 上記のいずれにも該当しない団体・個人 |
全カテゴリー共通の必要書類
- 在留資格認定証明書交付申請書または在留資格変更許可申請書 1通
- 写真(縦4cm×横3cm) 1葉
- 返信用封筒(宛先明記・切手貼付) 1通
- カテゴリーに該当することを証明する文書
- 専門士の資格を証明する文書 1通
カテゴリー3・4のみ追加で必要な書類
- 労働条件明示書 1通
- 学歴または職歴等を証明する文書(卒業証明書等) 1通
- 登記事項証明書 1通
- 事業内容の案内書 1通
- 直近年度の決算文書の写し(決算書がない場合は事業計画書) 1通
カテゴリー4のみ追加で必要な書類
- 法定調書合計票を提出できない理由を示す資料
添付しておくと審査に役立つ書類
- 申請理由書(雇用理由書)
- 業務内容説明書および一日のスケジュール
就労ビザの申請では、立証責任は申請人(雇用主含む)の側にあります。申請理由書と業務内容説明書は、「①どんな業務に従事するのか」「②その業務と学歴・経験が結びついているか」を審査官に伝えるための補足書類です。
特に①については、一日の業務スケジュールまで具体的に記載すると説得力が増します。「午前中はシステム開発、午後はコードレビューと顧客向け仕様書作成」といったように細かく書くことを意識してください。
申請に必要な書類は個々の事情によって異なる場合があります。不明点は事前に管轄の入管に確認されることをお勧めします。書類作成に不安がある場合は行政書士への相談も選択肢の一つです(費用の目安は10〜15万円程度と言われることが多いです)。
参考:「在留資格『技術・人文知識・国際業務』」(出入国在留管理庁)
3. 「技術・人文知識・国際業務」で就ける職種
技術
自然科学の分野に属する知識・技術を必要とする業務です。製造業のエンジニア(機械設計・電気電子設計など)やITエンジニア(プログラマー・インフラ担当など)が典型例です。
「研究」という類似の在留資格もありますが、「研究」は技術や知識の研究そのものが目的であるのに対し、「技術」は業務の遂行に専門知識を活かすことが目的です。
kedomoでは機電系・IT系の外国人エンジニア採用を多く支援しています。母国の大学で理工系を専攻した方が多く、日本語レベルはN2〜N3程度の候補者が中心です。
人文知識
文系・社会科学系の分野の知識を必要とする業務です。具体的には、総務・経理・マーケティング・企画・営業などが該当します。
国際業務
上陸基準省令が定める職種は、翻訳・通訳、語学指導、広報・宣伝・海外取引業務、服飾または室内装飾に係るデザイン、商品開発などです。
母国語を活かして日本企業の海外向け業務を担う外国人社員に適した区分です。例えば、ベトナム語・ミャンマー語・韓国語ができる社員が現地取引先との連絡窓口を担当するケースがこれに当たります。
4. 「技術・人文知識・国際業務」の有効期間
在留期間は「3か月」「1年」「3年」「5年」の4種類です。どの期間が付与されるかは入国・在留審査要領の基準に基づいて個別に判断されます。更新は可能で、上限はありません。
更新の際は、採用時と同様に業務内容と在留資格の一致が改めて審査されます。入社後に担当業務が変わった場合は注意が必要です。単純作業への配置転換が続いていると、更新時に不許可となることがあります。
5. 家族帯同・永住権
「技術・人文知識・国際業務」を持つ外国人は、配偶者・子を日本に呼び寄せることができます。両親や叔父など、配偶者・子以外の親族は対象外です。
配偶者・子の在留資格は「家族滞在」となります。「家族滞在」の方は原則として日本で就労できませんが、資格外活動許可を取得することで週28時間以内のアルバイトが認められます。
永住権については、日本に10年以上在留し、そのうち就労ビザで5年以上在留していることが要件の一つです(他にも複数の要件があります)。
詳しくは、「外国人エンジニアが家族を日本に呼び寄せる方法」および外国人社員の永住権のコラムをご覧ください。
6. よくある質問(Q&A)
Q1. 技術・人文知識・国際業務(技人国)とは何ですか?
日本の企業・機関との契約に基づき、自然科学・人文科学の専門知識を要する業務、または外国文化に基づく感受性が必要な業務に従事するための就労ビザ(在留資格)です。エンジニア・IT職・事務系職種・翻訳通訳などが主な対象で、「技人国(ぎじんこく)」と略されることが多いです。
Q2. 技人国ビザを申請するには学歴が必要ですか?
原則として、大学(短期大学含む)または日本の専門学校を卒業し、かつ従事する業務と専攻科目に関連性があることが必要です。学歴がない場合は10年以上の実務経験で代替できます(国際業務は3年)。ITエンジニアについては、法務大臣が告示で定める情報処理資格・試験の合格者は学歴要件が緩和される規定があります。
Q3. 留学生を卒業後にそのまま採用できますか?
日本の大学・専門学校を卒業した留学生は、在留資格変更許可申請を行うことで「技術・人文知識・国際業務」に切り替えることができます。業務内容と専攻科目の関連性が審査されます。
Q4. 外国人社員にライン作業を担当させることはできますか?
製造ラインでの単純作業(組み立て・検品など)は技人国ビザの対象業務に含まれません。このような業務を担当させる場合は、特定技能(製造分野)など別の在留資格の検討が必要です。
Q5. 日本人より低い給与で採用できますか?
できません。同じ学歴・職種の日本人社員と同等以上の報酬が法令上の要件です。審査においても日本人との賃金比較が確認されます。
Q6. 在留期間はどのくらいですか?更新はできますか?
3か月・1年・3年・5年のいずれかが付与されます。更新回数の上限はなく、要件を満たす限り繰り返し更新できます。更新時も業務内容と在留資格の整合性が改めて審査されます。
Q7. 家族を日本に呼ぶことはできますか?
配偶者と子を「家族滞在」として呼び寄せることができます。両親などその他の親族は対象外です。家族滞在の配偶者・子は、資格外活動許可を得ることで週28時間以内の就労が可能です。
7. kedomoへのご相談
kedomoは外国人材の紹介と特定技能の登録支援機関業務を行っています。機電系・IT系のエンジニア採用から、介護・製造・外食などの特定技能まで、幅広い職種・在留資格での採用支援実績があります。
技人国ビザでの採用を検討されている企業様は、採用前の業務要件の確認からお気軽にご相談ください。
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