kedomoでは特定技能の支援機関として、事前ガイダンスや入国後オリエンテーションで通訳を交えて制度の説明をしています。その中で、支援先の企業から「自社でも説明したいので、適切な資料はないか」と相談を受けることがあります。最近は生成AIで翻訳もできますが、公的機関が作成した英語資料は網羅性と信頼性の面で優れているため、支援先にはそちらをおすすめしています。
この記事では、外国人採用を実施している企業の担当者向けに、実務で使える公的英語資料をまとめました。採用決定時の入社案内、年末調整の説明、退職時の脱退一時金の案内など、場面ごとに渡せる資料を紹介します。
この記事でわかること:
- 在留手続きから生活まで1冊で説明できる公的ガイドブックの入手先
- 税金・社会保険・年金を英語で説明するための公的資料
- 採用・労務管理で使える英語の書式と相談窓口
執筆:株式会社kedomo(登録支援機関・外国人材紹介)
目次
1.在留手続きから生活まで1冊でわかる公的ガイドブック
「生活・就労ガイドブック英語版」(出入国在留管理庁)は、採用担当者が最初に手元に置きたい資料です。在留手続き、市町村での手続き、雇用・労働、社会保険、年金、税金、交通、住居、防犯、災害対応まで網羅されており、英語のほかに複数言語の版が用意されています。採用した社員の母語に合わせて選べます。
「外国人労働者ハンドブック 英語版」(TOKYOはたらくネット)も、採用担当者が手元に置いておきたい1冊です。労働基準法、雇用保険、在留手続き、税金がコンパクトにまとまっており、入社時研修で本人に渡す資料として使えます。
2.所得税・住民税を英語で説明する資料
「Japanese Taxes and the System of Certified Public Tax Accountants(PDF)」(東京税理士会)は、国税と地方税の全体像、自主申告制度、所得税・住民税・消費税・贈与税などをまとめた英文パンフレットです。源泉徴収の仕組みにも触れられているため、給与明細の説明に使えます。
所得税と住民税の実務的な流れは、コラム『外国人社員の所得税と年末調整』でも解説しています。
3.社会保険・年金を英語で説明する資料
「Enrollment in Social Insurance System(社会保険制度加入のご案内)」(日本年金機構)のページでは、健康保険と厚生年金の加入対象や手続きに関する英文資料が一覧で確認できます。
帰国予定の外国人社員に必ず案内したいのが脱退一時金です。「Lump-sum Withdrawal Payments」(日本年金機構)のページには、請求書様式(英文併記)と手続きの流れが英語で掲載されています。
脱退一時金は請求期限が「日本を出国してから2年以内」と決まっているため、退職時に担当者から本人へ確実に伝えておきたい手続きです。金額の計算方法や実務的な請求の流れは、コラム『外国人社員が受け取れる脱退一時金を解説』にまとめています。
保険手続きの全体像は、コラム『外国人を採用した時の保険手続き』で確認できます。
4.マイナンバー・住民登録・在留資格の資料
マイナンバー制度の英語説明は、「About an Individual Number Card」(J-LISマイナンバーカード総合サイト)が入口になります。マイナンバーカードの位置づけ、申請方法、受け取り方までカバーされています。
マイナンバーカードを健康保険証として使う「マイナ保険証」については、多言語パンフレット「My Number Card as your Health Insurance Certificate」(厚生労働省)があります。利用登録の方法や注意点が英語で説明されており、医療機関での使い方を案内する資料として使えます。
住民登録の英語説明は「Move in / Move out」(総務省)のページにあります。転入・転出の届出期限や必要な手続きが英語で記載されており、入社時や転勤時の案内に使えます。
在留資格の手続きは、第1章で紹介した「生活・就労ガイドブック」英語版の第1章にまとめられています。申請の種類や必要書類が一覧で確認できるため、個別のページを探す前にこのガイドブックを開くのが早道です。在留資格ごとの要件や活動範囲は、コラム『外国人が日本で働くためのビザ(在留資格)とは』で解説しています。
5.採用・労務管理で使える英語資料と相談窓口
「外国人労働者向けモデル労働条件通知書(英語)」(厚生労働省)は、労働条件を英語で明示するための書式です。労働基準法では書面による労働条件明示が義務付けられているため、英語での説明が必要な場合にそのまま使える形になっています。
労使トラブルの予防には「労働条件ハンドブック(英語)」(厚生労働省)も役立ちます。労働時間、休憩、休日、有給休暇、解雇予告など、労働基準法の基本ルールが英語で整理されています。入社時研修の補助資料として使えます。
職場での差別やハラスメントなどの人権相談が必要になった場合は、「外国人のための人権相談」(法務省)の窓口を案内できます。10言語対応のリーフレットが公開されており、窓口の連絡先と相談の流れが整理されています。
在留資格や労働の手続きで不明点がある場合は、「FRESC(外国人在留支援センター)」(出入国在留管理庁)に相談できます。英語を含む6言語に対応しており、企業の担当者も利用できます。
6.住まい・日常生活の資料
「Apartment Search Guidebook(PDF)」(国土交通省)は、日本の賃貸契約の流れ、不動産会社での対応、契約書類の説明、入居後のルールまでを外国人向けにまとめた英文ガイドブックです。巻末に希望条件チェックシートが付いており、物件探しの段階から本人に使ってもらえます。
日本独特の慣習(保証人、礼金、初期費用)は、外国人にとって理解しづらい部分です。実務的な注意点や企業側でできる支援は、コラム『外国人にとって難しい部屋探し』で紹介しています。
運転免許の切替え手続きについては、公的機関の英語版ページが整備されていないため、コラム『外国人が日本で運転免許を取得する方法』で実務的な流れを確認してください。
日本の司法制度を英語で確認したい場合は、「Judicial System in Japan」(最高裁判所)が使えます。民事・刑事裁判の概要や手続きのフローが英語で掲載されています。
7.まとめ
- 出入国在留管理庁「生活・就労ガイドブック」英語版は、在留手続きから生活全般までカバーするハブ資料。採用担当者が最初に押さえる
- 税金・社会保険・年金は、東京税理士会・日本年金機構・厚生労働省の英語版パンフレットが実務で使える
- マイナンバー制度はJ-LIS、マイナ保険証は厚生労働省と、管轄に応じた英語資料を使い分ける
- 採用・労務管理には厚生労働省のモデル労働条件通知書・労働条件ハンドブックの英語版と、法務省・FRESCの相談窓口を組み合わせる
8.よくある質問
Q1 英語で日本の制度を説明できる公的資料はどこで入手できますか A 生活・就労ガイドブック英語版(出入国在留管理庁)がハブ資料として使えます。
Q2 マイナンバー制度の英語説明はどこで確認できますか A 制度と申請はAbout an Individual Number Card(J-LIS)、マイナ保険証はMy Number Card as your Health Insurance Certificate(厚生労働省)で確認できます。
Q3 帰国予定の外国人社員に脱退一時金を案内する資料はありますか A Lump-sum Withdrawal Payments(日本年金機構)に英文併記の請求書と手続きの流れがあります。請求期限は出国から2年以内です。
Q4 労働条件を英語で明示するときに使える書式はありますか A 外国人労働者向けモデル労働条件通知書(英語)(厚生労働省)がそのまま交付書類として使えます。
Q5 人権相談や労務トラブルの相談窓口で、英語に対応しているものはありますか A 人権問題は外国人のための人権相談(法務省)が10言語対応、在留資格・労働相談はFRESC(出入国在留管理庁)が6言語対応です。





