豊かな自然に恵まれ、農業、漁業、林業が盛んな熊本県。同県でも近年、多数の外国人労働者が活躍しています。
企業が外国人を雇用・離職した際には、ハローワークに対して氏名・在留資格・在留期間の届出が必要になっており、そのデータをまとめた「外国人雇用状況」が毎年労働局から発表されています。今回はそのデータをもとに熊本県内の外国人雇用状況をポイントを解説します。
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目次
1.熊本県の外国人労働者数と雇用事業所数
熊本県は現在全国で第23位、10,155人の外国人労働者数を抱えています。雇用事業所数では全国で第19位の2,438事業所です。全国的な流れとしては、毎年外国人労働者数は伸びていますが、熊本県でも前年同期比2,412人、31.2%の大幅な増加となっています。また、事業所数で見ても、2,438事業所で前年同期比22.8%増となり、過去最高を更新しました。
熊本県の外国人労働者:在留資格別
ビザの種類別(在留資格別)で見てみましょう。在留資格別にみると、「技能実習」の労働者が6,295人で外国人労働者全体の 62.0%を占め、ついで、「身分に基づく在留資格※1」が 14.0%、「専門的・技術的分野の在留資格※2」が13.5%となっています。
※1 身分に基づく在留資格
「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」が該当します
※2 専門的・技術的分野
「技術・人文知識・国際業務」および「教育」などを指します
コラム『外国人が日本で働くためのビザ(在留資格)とは』も併せてご覧ください。
熊本県の外国人労働者:国籍別
熊本県内の外国人労働者数を国籍別でみると、1位はベトナム人(4,260人)、2位は中国人(2.427人)、3位はフィリピン人(1,395人)の順位となっています。ベトナム人は「技能実習」が85.8%を占めています。中国人は「技能実習」が47.7%、「専門的・技術的分野の在留資格」22.8%の順となっており、フィリピン人は「技能実習」が54.0%、ついで「身分に基づく在留資格」40.3%となっています。
コラム:『日本で働く外国人の出身国別賃金・物価・食文化まとめ』も併せてご覧ください。
2.熊本県の業種別外国人労働者数
外国人労働者を雇用する事業所を産業別でみると、「農業、林業」「製造業」が最も割合が高く全体の約3割を占め、次いで「卸売業、小売業」の割合が高くなっています。(その他には「医療、福祉」も含みます)
熊本県はトマトやい草、スイカをはじめとした農産物、生乳や肉用牛といった畜産物の主要産地であることから、農業に従事する外国人労働者が多いと考えられます。
3.熊本県内のハローワーク管轄別データ
ハローワーク熊本(上益城含む)
熊本市(旧富合町、旧植木町、旧城南町を除く)、上益城郡、阿蘇郡のうち西原村を管轄するハローワークです。3,396名の外国人労働者が届出をしており、県内全体の33.4%を占め、最大規模を誇ります。「技能実習」による割合が32.0%と最も高く、ついで「専門的・技術的分野の在留資格」が26.3%となっています。また産業別でみると、「卸売業、小売業」で働く人が熊本県内で圧倒的に多く、全体の約3割を占めています。
ハローワーク八代
八代市、八代郡を管轄し、1,901名の外国人労働者がいます。「技能実習」による割合が91.1%と圧倒的に多いのが特徴です。「農業、林業」で働く人の割合が全体の8割を占め、約1500人の人が従事しており、熊本県内では一番の人数を誇ります。八代市は米やい草、トマト、メロン、キャベツなどの産地で、農業が非常に盛んであることから、外国人労働者の活躍の場が増えていると考えられます。
ハローワーク菊池
菊池市、山鹿市、合志市、菊池郡、熊本市のうち旧植木町を管轄しています。1,312名の外国人労働者が届出をしており、「技能実習」が66.7%と最も高くなっています。産業別で見ると、「製造業」の割合が6割と最も高く、人数も熊本県内では一番多く、製造業が盛んな地区ということがわかります。次いで「農業、林業」が高く、米やシイタケ、メロンといった農産物に加え、ブランド牛「旭志牛」など畜産物も豊かで、これらの産業に従事する人材の需要が高まっているといえます 。
ハローワーク玉名
玉名市、荒尾市、玉名郡を管轄しており、1,453名の外国人労働者数が届出をしています。「技能実習」の割合が84.0%と高いのが特徴で、これはこのエリアで盛んな海苔の養殖といった漁業やみかん栽培などの農業に従事する技能実習生の受け入れが進んでいることを示しています。 また、製造業も盛んで、「農業、林業」と「製造業」で働く人が約8割を占めています。
ハローワーク天草
天草市、上天草市、天草郡を管轄しており、296名の外国人労働者数が届出をしています。天草地区内では「製造業」の割合が最も高く、全体の7割を占めています。また、次に割合の多い「医療、福祉」分野は、熊本管轄の次に働いている人数が多く、天草地区の大きな特徴です。
ハローワーク球磨
人吉市、球磨郡を管轄しており、378名の外国人労働者数が届出をしています。「製造業」で働く人の割合が8割を占め、他の産業と比べても圧倒的な人数の差があるので、製造業の盛んな地区だということがわかります。
ハローワーク宇城
熊本市のうち城南町・富合町、宇土市、宇城市、下益城郡を管轄しており、909名の外国人労働者数が届出をしています。地区の特徴は、「農業、林業」「建設業」「製造業」がほとんど同じ割合で就業しているところです。この3つの産業がバランスよく地区を支えていることがわかります。
ハローワーク阿蘇
阿蘇市、阿蘇郡(西原村を除く)を管轄しており、466名の外国人労働者数が届出をしています。産業別で見ると、「農業、林業」が約半数を占め、自然豊かな阿蘇の地区を象徴しているのがわかります。また、「宿泊業、飲食サービス業」の割合が多いのも特徴で、観光名所の多い阿蘇地区ではホテルや旅館、食事施設も充実していることがうかがえます。
ハローワーク水俣
水俣市、葦北郡を管轄しており、44名の外国人労働者数が届出をしています。この地区はまだまだ外国人労働者が少なく、地元に根付いた地場産業が多いのが特徴です。
上記の情報は、平成30年10月末現在における『「外国人雇用状況」の届出状況まとめ』に基づいてに作成しています。
<参考ページ>
厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(平成30年10月末現在)
熊本労働局「外国人雇用状況」の届出状況集計結果(平成30年10月末現在)PDF
4.熊本県での外国人採用はkedomo
熊本県でも職場の活性化や人手不足の解消を目的に、外国人を採用されている企業は増加しています。そのため、熊本県や市町村などの行政も外国語が通じる窓口を設けて、生活サポートに対応しています。詳しくはこちらのコラム『熊本県内の外国人への支援窓口(行政・団体)まとめ』をご覧ください。
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