日本国内から転職してきた外国人や、新卒で入社してくる留学生とは違い、海外から直接入社する外国人は日本国内の銀行口座を持っていないことがほとんどです。
給料の振込み、水道光熱費の引落し、携帯電話の契約、母国への送金も日本の銀行口座があれば円滑にできます。銀行口座を使った送金は年末調整の時に扶養控除の証明となる大事な書類にもなります。
そこで今回は、外国人社員が来日してから銀行口座を開設する方法や、母国の家族への送金方法について説明します。
なお、kedomoは外国人材紹介会社、特定技能の登録支援機関です。外国人採用を検討中の企業様は気軽にご相談ください。
目次
1.外国人社員が銀行口座を開設する方法
日本の銀行口座開設の手続き
では具体的な開設手続きについて以下にまとめます。
- 必要な書類を揃える
・本人確認書類(在留カードでOK)
・印鑑(必要のない金融機関もあり)
・社員証 - 最寄りの金融機関の窓口に行く
銀行口座を開設できる日本の金融機関は以下のとおりです。
・銀行( ネットバンク・ ゆうちょ銀行含む)
・信用金庫
・信用組合
・JAバンク
・JFマリンバンク
・労働金庫 - 銀行口座開設の書類を記入する
書類は金融機関によって異なります。窓口で書類を受け取り記入してください。 - キャッシュカードや通帳を受け取る
手続きが済めばキャッシュカードと通帳を受け取ります。受け取りまでに数日かかる場合もありますので、来日後速やかに銀行口座の開設を行なってください。
口座を開設したら
給与振り込みである場合は、給与振り込み口座の設定を行ってください。
携帯電話や公共料金の引き落としの設定も必要です。
帰国の際は口座を解約する
外国人社員が母国に帰国する際は、日本の銀行口座を解約するようにお伝えください。解約時には口座に残っているお金を1円単位で全て引き出すことができます。銀行口座を確実に解約することで、口座の売買などの犯罪に巻き込まれる可能性もなくなります。
銀行口座の解約する際は、口座を開設した金融機関(別支店でも可能)に、通帳とキャッシュカード・印鑑(開設時に必要だった場合のみ)・本人確認書類を持参してください。
2.外国人社員が海外の家族へ送金する方法と年末調整(扶養控除)
金融機関と送金サービス業者による海外送金
外国人社員が母国の家族へ送金する手段は主に2つあります。
①銀行口座のある金融機関からの海外送金
本人確認書類と通帳、印鑑を持って口座のある金融機関に赴き、送金先の情報と送金する理由を指定の書類に記入して提出します。本人の銀行口座から直接送金が可能です。手数料は1回につき3,000-10,000円と安くはありませんが、金融機関に直接送金を願い出るので安心感があります。
②金融庁に登録されている送金サービス業者からの海外送金
一度事前登録をすませると、コンビニやアプリから海外送金が可能になります。事前登録には本人確認書類のコピーなどが必要ですが、郵送で済ませられる場合が多いので、忙しい外国人社員には重宝される方法です。手数料は金融機関より少し安く設定されて1000-7000円程度のところが多いのですが、1回あたりの送金限度額が少ないことが難点です。
扶養控除の認定には送金履歴が必要(年末調整)
金融機関または上記のような送金サービス業者を使って外国人社員本人が海外で暮らす家族宛に送金すると、一定の条件下で扶養控除が受けられます。ただし送金サービス業者の場合、金融庁の登録を受けている業者に限られていますので注意が必要です。また「仮想通貨」は扶養家族の証明には使用できません。
金融庁の登録を受けていない送金業者を使用する事は違法にあたりますので、正しい手段で控除が適用されるようにサポートをお願いします。
扶養家族として認定されるための書類
外国人社員の国外家族を扶養家族として認定されるためには、一般的な年末調整に必要な書類の他に、2種類の書類が必要になります。
①親族関係書類
親族関係書類は以下の1または2の書類です。書類が外国語の場合はその翻訳文を含みます。
- 外国政府又は外国の地方公共団体が発行した書類(外国人社員の家族の氏名、生年月日、住所又は居所の記載があるもの)
- 戸籍の附票の写しその他の国又は地方公共団体が発行した書類及び国外居住親族の旅券(パスポート)の写し
親族関係書類は扶養控除等申告書を会社に提出する際に、一緒に提出する書類です。
原則として原本が必要です。(パスポート除く)
②送金関係書類
送金関係書類は以下の1または2の書類で、かつ海外で暮らす家族が生活費や教育費に充てるために家族本人に送金したことを明らかにするものです。(その翻訳文を含む)
- 金融機関や送金サービス業者を通じて海外の家族宛に支払いをしたことを明らかにする書類
- クレジットカード会社の書類または写しで、海外の家族が使用したクレジットカード代金を外国人社員が支払ったことを明らかにするもの
送金関係書類は年末調整の際に提出する書類です。
書類は原本でも写しでも構いません。
扶養控除の範囲として認められる海外で暮らす家族の範囲
外国人社員がたくさんの家族を扶養していると申告してきても、全てを認めることはできません。
扶養の対象となる家族の範囲は、
- 6親等以内の血族
- 配偶者
- 3親等以内の婚族(結婚した相手の家族)
と、定められています。これは日本国内の扶養家族の範囲と同一です。
一方の書類しか用意できない場合
海外で暮らす家族を扶養家族として認定してもらい、扶養控除を受けるためには親族関係書類と送金関係書類が必ず必要です。
例えば親族関係書類が揃っているが、送金を母親にしかしておらず、送金関係書類が母親の分しか用意できない場合、母親は扶養家族として認定できます。しかしその他の家族(例えば兄弟や父親)は、送金関係書類がないので扶養家族として認定されません。
その他の詳しい情報は国外居住親族に係る扶養控除等Q&Aをご覧ください。
3.外国人が犯罪に巻き込まれないために
来日したばかりで、日本の法律をまだ知らない社員には、何をすれば犯罪になるのかを伝えることが予防の第一歩となります。
以下に外国人が巻き込まれやすい犯罪についてまとめます。
- 地下銀行・闇金
免許を持たずに銀行業を行うことや、登録を受けずに貸金業を営むことです。 - マネーロンダリング
マネーロンダリングは犯罪による収益を隠して送金したり預金したりすることです。他人からお金を預かるように言われても関わらないようにお伝えください。 - 銀行口座の売買
通帳やキャッシュカードを売却することは犯罪です。帰国前には必ず銀行口座を解約するよう注意をお願いします。 - 偽造クレジットカードの使用
クレジットカードを偽造することは重大な犯罪です。逮捕者の報道も珍しくありません。昨今では偽造クレジットカードを使用して大量に商品を買い込み換金するという手口が横行しています。指定されたクレジットカードで商品を購入するように頼まれても断るようにお伝えください。
4.まとめ(外国人採用はkedomoへ)
銀行口座開設は、給与振込、携帯電話の契約、水道光熱費の引落しなど生活面での利便性向上だけでなく、海外にいる家族への送金による年末調整時の扶養控除の証明するために必要となる場合があります。そのため、外国人社員が入社した後、できる限り早い段階で開設するようにお伝えください。
また、外国人社員が金融系の犯罪に巻き込まれないために、日本における犯罪について説明しておくことも大切です。
kedomoでは、企業がスムーズに外国人社員を受け入れられるように、このような銀行口座の開設なども含めた情報提供に努めています。特に、特定技能「介護」「養殖業」「造船」「製造」「外食」「宿泊」は登録支援機関として力を入れて支援しています。外国人採用をご検討の際は、気軽に声をお掛けください。
参考サイト
外国人の預貯金口座・送金利用について(金融庁)
参考ページ
『登録支援機関の業務』
kedomoの支援の特徴、費用、そして基本的な登録支援機関の役割を説明しています。