人手不足が深刻化するなか、初めて外国人採用を検討する企業からの相談が増えています。2024年10月末時点で日本の外国人労働者は約230万人と過去最多、事業所数も34万所を超えました。この記事では、外国人採用の主なメリットを最新統計と合わせてまとめています。
この記事でわかること
- 企業が外国人を雇用する主な4つの目的とメリット
- 採用の効果を引き出すために押さえておきたい課題
執筆:株式会社kedomo(登録支援機関・外国人材紹介)
目次
1.外国人採用が広がる背景と企業が雇用する主な理由
「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ(令和6年10月末時点)」(厚生労働省)によれば、外国人労働者数は2,302,587人、事業所数は342,087所で、いずれも過去最多です。「令和6年外国人雇用実態調査」(厚生労働省)で企業に雇用理由を聞いた結果は次のとおりです(複数回答)。
- 労働力不足の解消・緩和のため:69.0%
- 日本人と同等またはそれ以上の活躍を期待して:54.7%
- 事業所の国際化、多様化の向上を図るため:15.8%
- 日本人にはない知識、技術の活用を期待して:13.2%
多くの企業は「人が足りない」だけでなく、外国人ならではの能力や視点にも期待しています。
2.メリット1:人手不足・後継者不足を補える
生産年齢人口の減少で、中小企業ほど人材確保が難しくなっています。労働力不足の解消を雇用理由に挙げた事業所は69.0%と突出しています。
介護・建設・製造・外食・農業など人手不足が深刻な分野では、「特定技能」の整備で中小企業も海外から直接採用できるようになりました。特定技能2号に進めば在留期間の更新上限がなくなり、配偶者や子の帯同も可能で、家族で日本に定着して長く働いてもらえるキーパーソンにもなり得ます。
3.メリット2:意欲の高い、専門性のある人材を採用できる
「活躍を期待」54.7%、「独自の知識・技術の活用」13.2%。外国人は労働力補完ではなく戦力として見られています。
日本で働く外国人には、自然科学・工学の専門教育を受けた高度人材、英語・中国語・ベトナム語など複数言語を扱える人材、明確なキャリア目標を持つ意欲的な人材が多くいます。エンジニア分野では英語ドキュメントを読みこなせるだけで情報収集スピードが変わり、開発のメインやチームリーダーを担う例も珍しくありません。高度人材採用の概要は「外国人エンジニア採用」をご覧ください。
4.メリット3:海外展開・海外市場開拓の支えになる
国内市場が縮小するなか、海外に販路を広げる企業が増えています。現地の言語・商習慣・文化に通じた社員の存在は、取引や進出のスピードを左右します。
「外国人留学生の採用や入社後の活躍に向けたハンドブック(PDF)」(文部科学省・厚生労働省・経済産業省)には、合弁会社に自社と現地双方の文化を理解した外国人社員を派遣し、日本人駐在員と現地社員のコミュニケーションが円滑になった事例があります。現地法人の立ち上げリーダー候補としても、日本で自社の業務を理解した外国人社員は貴重です。
5.メリット4:社内に新しい視点と活性化をもたらす
2024年調査では15.8%の事業所が「国際化・多様化の向上」を雇用理由に挙げています。外国人社員が入ると、社内の空気や仕事の進め方にも変化が生まれます。
日本語が母語でない同僚に説明するとき、日本人社員は自然と「わかりやすい日本語」を意識するようになり、この習慣は顧客対応や新入社員指導にも活きます。コツは「外国人に通じやすい日本語の話し方」でまとめています。
kedomoからベトナム人エンジニア2名を紹介させていただいた企業様からは、彼らの入社で社内の雰囲気がぱっと明るくなったという声もいただきました。評価制度の見直しや新規事業のヒントにもつながります。定着につなげる職場づくりは「採用した外国人社員を定着させるための職場改善策」で説明しています。
6.メリットを引き出すために押さえておきたい点
2024年調査では課題も明らかになっています(複数回答)。
- 日本語能力等によるコミュニケーションの難しさ:43.9%
- 在留資格申請の事務負担:24.7%
- 在留期間の上限:21.5%
- 文化・価値観の違いによるトラブル:20.9%
事前準備と外部の専門家や人材紹介会社の活用で、ある程度解消できます。就労ビザの要件は「外国人が日本で働くためのビザ(在留資格)とは」、人材紹介会社の実務メリットは「外国人の採用方法と人材紹介を利用するメリット」で整理しています。
7.まとめ
- 2024年10月末の外国人労働者は約230万人、事業所数は約34万所、いずれも過去最多
- 企業の雇用理由は人手不足の解消のほか、活躍への期待、国際化、知識・技術の活用と幅広い
- 主なメリットは人手不足解消、専門性の高い人材獲得、海外展開支援、社内の活性化の4つ
- 日本語・事務・文化などの課題は、事前準備と専門家や人材紹介会社の活用で対応できる
8.よくある質問
Q.初めて外国人採用する中小企業でも現実的に始められますか?
A.始められます。特定技能制度の整備と、登録支援機関・人材紹介会社の活用で、ビザ手続きや採用後の支援を外部に委ねながら進められます。
Q.外国人採用で最初に準備すべきことは何ですか?
A.担当業務に合った在留資格の確認と、受け入れ後の社内体制です。 現場の日本人社員にも外国人社員のバックグラウンドを事前に伝えておくとトラブルを防げます。
Q.日本語が苦手な外国人を雇うと社内コミュニケーションは成り立ちますか?
A.日本人社員側が「わかりやすい日本語」で話す習慣を身につける必要があります。 この習慣は顧客対応や新入社員指導にも役立つため、社内全体のコミュニケーションの質が上がるケースも多いです。
Q.外国人採用で海外展開につなげた事例はありますか?
A.現地の言語と文化に通じた外国人社員を合弁会社に派遣し、日本人駐在員と現地社員のコミュニケーションを円滑にした事例があります。 日本で自社の業務を理解した外国人社員は、現地法人の立ち上げリーダー候補としても貴重です。
Q.外国人社員を雇用すると日本人社員の離職が増えませんか?
A.職場の雰囲気が明るくなった、日本人社員が海外事業に挑戦したいと言い出した、といったポジティブな変化が起きた事例が多く報告されています。 評価制度の見直しなど、全社員に好影響が及ぶきっかけにもなります。



