2019年に始まった在留資格「特定技能(介護)」は、介護の人手不足に対応する制度のひとつです。介護分野の特定技能(1号)の在留者数は増えており、2024年12月末時点で44,367人とされています。
※参考:「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」(厚生労働省)
一方で、日本人採用と同じ感覚で進めると、入管手続き・支援義務・定期届出で止まりやすいのも事実です。この記事では、中小規模の介護施設が「特定技能(介護)」を受け入れるときに、実務でつまずきやすい点を整理します。
特定技能「介護」の全体像、費用、受入れの流れを確認したい方は、特定技能「介護」人材の採用支援もご覧ください。
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目次
1.注意点① 特定技能制度における関係機関と必要性
この章では、特定技能(介護)の受入れで関わる「送り出し機関」「人材紹介会社」「登録支援機関」の役割を整理します。自社でできる範囲/委託したい範囲を最初に線引きしないと、契約や費用で後からトラブルになることもあります。
送り出し機関
送り出し機関は、海外側で候補者を集め、日本側(施設・人材紹介会社等)につなぐ窓口になる機関です。国やルールによっては、送り出し機関の関与が必須になることがあります。送り出し機関には以下のことを聞いておくのをおすすめします。
- 候補者募集・日本語学習・渡航前の手続きを、送り出し機関がどこまで担うのか
- 候補者本人が支払う費用の扱い(不透明だとトラブルになりやすい)
※国ごとの取り扱いは変わるため、候補者の国に応じて、送り出し側・紹介会社側の説明を受けてください。
人材紹介会社
人材紹介会社は、日本で人材紹介業の許可を厚生労働省から受けた企業です。特定技能「介護」を希望する外国人と介護施設様のマッチングを行います。人材紹介会社を利用するメリットは大きく3つ挙げられます。
1.他の採用手法と比較して迅速な採用が可能
特定技能(介護)は、要件(試験合格等)を満たした人材が前提になります。その点、人材紹介会社は国内、国外において独自のネットワークをもっているため、比較的迅速な採用が可能です。
2.現場で困りやすいポイントを、事前に教えてもらえる
はじめての外国人採用では、職場内においてどのような配慮をすればよいか、日本人と何が違うのかなど、疑問や不安も多いかと思われます。外国人採用を専門とした人材紹介会社を利用することで、実践的なアドバイスを受けることができます。
3.必要書類の準備などのサポートが手厚い
特定技能制度では、必要書類の提出先として、出入国在留管理局の他に、外国人の出身国の大使館や労働省が含まれる場合があります。必要書類の準備など、施設単独で調べると時間がかかりやすいので、人材紹介会社のサポートを受けて、多くの時間や労力を軽減することが可能です。
登録支援機関
登録支援機関とは、特定技能1号外国人に対して行わなければならない支援を、介護施設様に代わって行う機関になります。支援の考え方や基準は公表資料で確認できます。
参考:「1号特定技能外国人支援・登録支援機関について」(出入国在留管理庁)
2.注意点② 特定技能1号外国人に必要な支援内容
この章では、受入れ前後で必要になる支援を時系列で整理します。ポイントは、「やるべき支援が決まっている」ことです。内容は運用要領で示されています。
参考:「1号特定技能外国人支援に関する運用要領(PDF)」(出入国在留管理庁)
入国前に必要な支援
事前ガイダンスの提供
入国前において必要とされている支援は、事前ガイダンスの提供です。
特定技能1号を希望する外国人が、十分に理解できる言語で3時間程度、対面またはテレビ電話で行う必要があります。技能実習から引き続き雇用する場合であっても、最低1時間以上の実施時間を確保します。事前ガイダンスで提供が必要な情報は10点です。
- 業務内容、報酬額などの労働条件
- 特定技能1号の在留資格で許可されている活動内容
- 来日するために必要なビザ手続に関する事項
- 保証金の支払や違約金に係る契約を結んでいないことの確認
- 外国人が送り出し機関などに対して支払った、取次ぎ費用や準備金の金額と内訳の確認
- 支援に要する費用について、特定技能1号外国人に負担させないことの確認
- 来日時に空港から特定技能所属機関の事業所までの送迎を行うこと
- 日本における住居の賃料及び、広さについての情報
- 仕事や生活に関する相談又は苦情の申出先についての情報
- 特定技能所属機関等の支援担当者氏名、連絡先
入国後~就労前に必要な支援
入国する際の送迎
空港から介護施設、又は特定技能1号外国人の住居まで送迎を行います。施設の車を使用する他に、公共交通機関を利用することも認められています。
適切な住居の確保に係る支援・生活に必要な契約に係る支援
特定技能1号外国人の住居は、来日前にあらかじめ探し賃貸借契約を結んでおいた方が良いでしょう。介護施設様名義で契約を行い、外国人の合意のもと、住居として提供します。
生活に必要な契約とは、銀行の預金口座開設や、携帯電話の契約、電気・ガス・水道などのライフラインの手続きです。これらの契約の際には、同行してサポートを行います。
生活オリエンテーションの実施
日本での生活を営む上でのルールやマナー、義務付けられている手続きなどを、原則8時間、特定技能1号外国人が十分に理解できる言語で行います。技能実習などから引き続き雇用する場合であっても、最低4時間以上の実施時間を確保します。提供するべき内容については、法務省が提供している外国人生活支援ポータルサイト(日本語トップページ)を参照してください。対面もしくはDVD視聴やテレビ電話などを通じての実施も可能です。
就労後に必要な支援
日本語学習の提供
日本語教室やオンラインでの日本語講座の情報を特定技能1号外国人に提供し、日本語学習の機会を提供します。外国人本人に過度な負担となる場合は、料金を一部補助する等の配慮があると望ましいとされています。
相談又は苦情への対応
相談又は苦情を受けた際には、遅滞なく助言もしくは指導を、特定技能1号外国人が十分に理解できる言語で行います。「仕事内容」「人間関係」「生活費」「住居」「体調」などがよく出る相談例です。
参考:「外国人介護職員と一緒に働いてみませんか?」(厚生労働省)
日本人との交流促進に係る支援
自治体や地域の行事、交流の場の情報提供を行い、参加の手続きが必要なら手伝います。ここは「情報提供だけ」で足りる場合もありますが、必要に応じて同行します。
定期的な面談・行政機関への通報
特定技能1号外国人の労働状況や生活状況を確認するため、3ヶ月に1度、テレビ電話ではなく、必ず対面で面談を実施しなければなりません。外国人本人だけでなく、現場の上司側にも確認が必要になります。外国人が十分に理解できる言語で行います。
帰国・転職時に必要な支援
本人都合ではない契約解除等の場合の転職支援
施設側の都合などで契約を継続できない場合、転職支援が必要になります。実務では、次をやること多いです。
- 次の就職先の情報提供(紹介会社・ハローワーク等)
- ハローワーク等への案内・同行
- 推薦状の作成(必要に応じて)
3.注意点③ 特定技能「介護」の申請書類、報告書類
申請時の書類と、受入れ後に必要になる定期届出を整理します。採用が決まる前に取得できる書類もあるため、お急ぎの場合は早めに準備することをお勧めします。
特定技能(介護)の申請では、分野特有の書類が加わります(誓約書、事業所概要書、指定通知書等の写し、協議会関係など)。手続き全体で必要な書類は、出入国在留管理庁の案内や、様式一覧もあわせて確認してください。
参考:「特定技能関係の申請・届出様式一覧」(出入国在留管理庁)
すべての受入れ分野に共通する必要書類については、コラム『「特定技能」受入れ申請に必要な書類まとめ【難易度付き】』をご参照ください。
定期的に届出を行う書類一覧
特定技能は、受入れ状況や支援実施状況を定期的に届け出ます。最新の様式・提出物は、先ほど同様、出入国在留管理庁の一覧で確認してください。
※なお、登録支援機関に支援の実施を全部委託する場合と、自社対応では提出物が変わりますのでご注意ください。
参考:「特定技能所属機関・登録支援機関による届出(提出書類)」(出入国在留管理庁)
4.介護で外国人採用を検討中の施設様へ
中小規模の介護施設が特定技能外国人採用を行う場合の注意点を解説しました。kedomoではそれぞれの介護施設様の事情を考慮して、登録支援機関としての支援をおりますので、ぜひ、気軽にご相談ください。
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『特定技能「介護」人材の採用支援』
特定技能介護の制度や受入れの流れなど総合的な解説
『外国人が介護職に就くためのビザ(在留資格)とその特徴』
介護で就労可能な在留資格それぞれのメリット、デメリットや比較など
『特定技能「介護」で外国人を採用する方法【分かりやすく解説】』
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