介護施設の採用担当者にとって、「外国人を採用したいけれど、ビザの種類が多くてどれを選べばいいのか」は判断に迷う場面のひとつです。それぞれ就労できる期間や家族帯同の可否、採用までのスピードが違います。
2027年4月には技能実習に代わる育成就労制度ができるほか、特定技能1号の在留期間を最長6年に延長する措置や、訪問介護への条件が新たに定められるなど、制度は動き続けています。この記事では、最新情報をもとに4つの在留資格を比較し、採用担当者が自社に合った選択肢を見つけられるよう解説します。
なお、kedomoでは特定技能「介護」を中心とした採用支援を行っています。
この記事でわかること
- 介護職で採用できる4つの在留資格の違い
- 採用担当者が選ぶ際の基本的な考え方(なぜ特定技能が第一候補か)
- 訪問介護への従事条件や通算在留期間の延長など、最新の制度情報
- 2027年4月に始まる育成就労制度の概要
執筆:株式会社kedomo(登録支援機関・外国人材紹介)
目次
1.介護で外国人を採用できる4つの在留資格(一覧)
介護職で外国人を採用する場合、使える在留資格は次の4つです。
| 在留資格 | 在留期間 | 家族帯同 | 訪問介護 | 採用のしやすさ |
|---|---|---|---|---|
| 特定技能「介護」 | 最長5年(条件付で6年) | 不可 | 条件付で可 | ◎ |
| 在留資格「介護」 | 制限なし(更新制) | 可 | 可 | △(国家資格が必要) |
| 特定活動「EPA介護福祉士候補者」 | 4年 | 原則不可 | 可 | △(受入れ枠が限定的) |
| 育成就労「介護」(2027年4月〜) | 原則3年 | 不可 | 不可 | △(制度運用待ち) |
4資格の中で、採用担当者の基本の選択肢は特定技能「介護」です。理由は、取得要件が明確で採用までのスピードが他の資格より早く、地方施設でも人材を見つけやすいこと。また、現場で働きながら介護福祉士国家試験に合格すれば、在留期間に制限のない在留資格「介護」へ切り替えて長期就労してもらうこともできます。
kedomoでも、特定技能「介護」での採用をご提案することが大半です。サービスの詳細は特定技能「介護」人材の採用支援ページをご覧ください。
2.特定技能「介護」:現在の主流ルート
特定技能は、人手不足が深刻な分野で即戦力となる外国人材を受け入れるために2019年に創設された在留資格です。介護分野では、試験合格での入国が増えており、現場で最も活用されている採用ルートになります。
働ける業務と施設
身体介護(入浴・食事・排泄の介助など)と、それに付随する支援業務(レクリエーション・機能訓練の補助など)が対象です。受入れ可能な施設は介護保険法上の施設・事業所が中心で、厚生労働省が定めています。参考:「介護分野における特定技能外国人の受入れについて」(厚生労働省)
取得ルート
特定技能「介護」の在留資格を得るには、主に4つの入口があります。
- 介護技能評価試験と日本語試験(国際交流基金日本語基礎テスト又はJLPT N4以上)+介護日本語評価試験に合格する
- 介護職種の技能実習2号を良好に修了する
- 介護福祉士養成施設を修了する
- EPA介護福祉士候補者として在留期間(4年)を満了する
2〜4は試験が免除されます。現在は試験合格での入国が安定した採用源となっており、採用担当者が最初に検討するのもこのルートです。
キャリアパス:介護福祉士取得で在留資格「介護」へ
特定技能1号の在留期間は通算5年ですが、その間に介護福祉士の国家資格に合格すれば、在留期間の制限がない在留資格「介護」へ変更できます。長期的に現場を支える人材として育てられる点が、採用担当者にとって大きなメリットです。
また、5年以内に国家資格を取得できなかった場合でも、最終年度の国家試験で一定の要件を満たせば通算在留期間を最長6年に延長できる措置が設けられました。受入れ施設側も学習計画を作成して厚生労働省に提出する必要があります。参考:「介護福祉士国家試験のパート合格(合格パートの受験免除)による介護分野で「特定技能1号」の在留資格をもって本邦に在留する外国人の通算在留期間の延長に関する措置について」(厚生労働省)
訪問介護への従事
以前は対象外だった訪問系サービスへの従事も、現在は条件付きで可能になりました。介護職員初任者研修の修了と、介護事業所での実務経験(原則1年以上)があり、事業所が遵守事項を満たせば、適合確認書の発行を受けて訪問介護を任せられます。訪問介護の採用を検討している場合は、コラム『訪問介護で外国人を採用する方法|特定技能の要件と手続きを解説』もご覧ください。
3.在留資格「介護」:最も制約が少ない
在留資格「介護」は、介護福祉士の国家資格を持つ外国人のための在留資格です。4つの中で最も制約が少なく、在留期間に制限がなく(更新制)、家族の帯同も認められ、訪問介護を含むすべての介護業務に従事できます。
取得要件
日本の介護福祉士国家試験に合格することが必須です。養成施設を卒業するルートと、特定技能などで実務経験を積みながら合格を目指すルートがあります。資格を取得した外国人は施設側にとって長期育成の対象となる中核人材として位置づけられ、永住申請につながる可能性もあります。参考:「資格・試験情報(介護福祉士国家試験)」(厚生労働省)
ただし、既に介護福祉士の資格を持った人材を海外から呼び寄せるケースはほぼありません。実務上は、特定技能で採用した外国人が働きながら合格を目指す流れが現実的です。
4.特定活動「EPA介護福祉士候補者」:国家試験合格を目指す
EPA(経済連携協定)は、日本とインドネシア・フィリピン・ベトナムの3カ国との経済連携の一環として始まった受入れ制度です。候補者は受入れ施設で就労・研修を行いながら、4年以内の介護福祉士国家試験合格を目指します。累計で8,000名を超える介護福祉士候補者が来日しています。
受入れの仕組み
受入れ調整機関は公益社団法人国際厚生事業団(JICWELS)の1つのみで、受入れ機関の要件や募集時期が限定されています。入国前の日本語研修が手厚く、学習意欲の高い候補者が多い一方、施設側にも国家試験合格に向けた学習支援体制が強く求められます。
合格後・不合格時の扱い
国家試験に合格すれば在留資格が「特定活動(EPA介護福祉士)」に変わり、更新回数の制限なく就労でき、家族帯同も可能になります。不合格の場合は特定技能「介護」へ移行して就労を続ける道もあります。
5.育成就労「介護」:2027年4月からの新制度
育成就労制度は、技能実習制度に代わって2027年4月1日に施行される新しい仕組みです。技能実習は「技術移転による国際貢献」を目的としていましたが、育成就労は「人材育成」と「人材確保」を目的に切り替わり、原則3年間の育成を経て特定技能1号へ移行することが前提となっています。
特定技能1号への移行は試験合格が必要
技能実習2号の良好な修了者は特定技能1号へ無試験で移行できましたが、育成就労では試験合格が必須になります。この点は採用計画に直接影響するポイントです。施設側は、育成期間中の学習支援を前提とした受入れ体制を整えておく必要があります。
介護分野の固有要件
介護分野は他分野に比べて厳しい固有要件が設定されています。入国時の日本語能力A1相当(JLPT N5程度)に加え、特定技能1号移行時にはA2.2相当の日本語能力、指導員要件、転籍制限期間2年(他分野は1〜2年で、介護は最長)といった要件があります。
育成就労と特定技能、どちらを選ぶか
制度設計上、育成就労は技能実習を受け入れていた施設が使いやすい形になっています。一方で、特定技能のほうが短期間で即戦力を確保しやすいのが現状です。比較の詳細はコラム『育成就労と特定技能|違い・対象17分野・採用担当者目線の選び方』をご覧ください。
kedomoでは現時点では、新規に外国人採用を始める施設には、制度が安定している特定技能「介護」での採用をおすすめしています。
6.介護職の外国人採用はkedomoへ
介護の在留資格は制度変更が多く、採用担当者が最新情報を追いかけるのは負担です。本記事は2026年4月時点の情報をもとに作成しており、最新の運用は各窓口にご確認ください。kedomoでは、特定技能「介護」を中心に、人材の募集・紹介から在留資格申請、入国後の登録支援機関業務まで一貫してサポートしています。実際の採用事例は『ノビアさん(インドネシア)の第一歩』や『特定技能「介護」の介護施設紹介事例(留学生2名)』もご参考ください。
介護職の特定技能採用、登録支援機関のご依頼はこちらから。 お問い合わせフォーム
まとめ
- 介護職で外国人を採用できる在留資格は特定技能・在留資格「介護」・EPA・育成就労の4つ
- 採用担当者の基本の選択肢は特定技能「介護」で、取得要件が明確で採用までが早い
- 特定技能1号で働きながら介護福祉士に合格すれば、在留資格「介護」へ切り替えて長期就労が可能
- 育成就労は2027年4月施行で、特定技能への移行には試験合格が必要になる
Q&A
Q.介護の在留資格は何種類ありますか。
A.特定技能「介護」、在留資格「介護」、特定活動「EPA介護福祉士候補者」、育成就労「介護」(2027年4月施行)の4種類です。
Q.特定技能と在留資格「介護」はどう違いますか。
A.特定技能は通算5年が上限で家族帯同不可、在留資格「介護」は期間無制限で家族帯同可能です。 後者は介護福祉士の国家資格が必要で、特定技能から合格して移行するのが現実的なルートです。
Q.特定技能「介護」の外国人が訪問介護に従事できますか。
A.介護職員初任者研修の修了と施設での実務経験(原則1年以上)があり、事業所が遵守事項を満たせば、「適合確認書」の発行を受けて従事できます。
Q.特定技能1号の通算5年を超えて働き続けることはできますか。
A.2026年1月に、最終年度の介護福祉士国家試験で一定の要件を満たした人を最長6年まで延長できる措置が始まりました。 受入れ施設側も学習計画の提出などが必要です。
Q.育成就労と特定技能、どちらで採用を始めるべきですか。
A.すでに制度が安定していて採用の受け皿も大きい特定技能「介護」が現実的です。 育成就労は2027年4月施行の新制度で、介護分野の運用が固まるまで時間がかかる見込みです。



