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介護施設が特定技能外国人採用を行う場合の注意点【分かりやすく解説】

2021/04/24

ビザ(在留資格) 特定技能 介護

2019年より新たにスタートした特定技能「介護」は、これまでの介護分野における就労ビザと比較して、多くのメリットがあり、外国人採用を初めて行う介護施設様へもおすすめできます。しかしながら、日本人を雇用する場合とは異なり、就労ビザの手続きや外国人への支援などが必要なのも事実です。この記事では、主に中小規模の介護施設様が、特定技能外国人を採用する上での注意点を、わかりやすく解説します。

なお、介護分野における就労ビザの種類や特徴については、『外国人が介護職に就くためのビザ(在留資格)とその特徴』を、特定技能「介護」のメリットや採用方法については、『特定技能「介護」で外国人を採用する方法【分かりやすく解説】』をご参照下さい。

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1.注意点① 特定技能制度における関係機関と必要性

特定技能制度は、受入れ機関である介護施設様の他に、送り出し機関、人材紹介会社、登録支援機関が関係機関として、関与します。それぞれの機関の概要と、利用すべきかどうかについて、個別にみていきましょう。

送り出し機関

送り出し機関とは、特定技能「介護」を希望する外国人と、日本の介護施設とを結びつける、海外側の機関になります。主な役割として、①特定技能「介護」を希望する外国人を日本の人材紹介会社に紹介する窓口機能がありますが、他にも②特定技能「介護」のビザ要件である介護技能評価試験や日本語試験に合格するためのレクチャーや、③日本への渡航前のフォローやサポートなども行います。

国によって異なりますが、ベトナムやミャンマーなどでは送り出し機関を経由した送り出ししか認めておらず、送り出し機関の利用が必須となります。そもそも送り出し機関は、技能実習制度において①来日前講習などの準備を行い、②技能実習を希望する外国人と、日本の監理団体を取次ぐ窓口機能を持ち、③日本への渡航前のフォローや、帰国後のサポートを行う機関です。技能実習制度における業務のノウハウがあることから、特定技能制度においても同様に、重要な役割を担っています。送り出し機関の利用が必須ではない国であっても、送り出し機関が現地の日本語学校を保有あるいは連携し、特定技能「介護」を希望する外国人との窓口となっているケースも多くなっています。

なお、送り出し機関が徴収する費用ですが、ベトナムを例にとると、2国間の取り決めにより、特定技能外国人が日本で得る月収の最低1ヶ月分から最高3ヶ月分と決められています。

人材紹介会社

特定技能「介護」を希望する外国人と介護施設様のマッチングを行います。
人材紹介会社を利用するメリットは大きく3つ挙げられます。

1.他の採用手法と比較して迅速な採用が可能

現在、特定技能「介護」有資格者の外国人数は多くないため、求人サイトなどの公募では集まりづらいと言えます。その点、人材紹介会社は国内、国外において独自のネットワークをもっているため、比較的迅速な採用が可能です。

2.外国人採用のプロフェッショナルとしてアドバイスが受けられる

はじめての外国人採用では、職場内においてどのような配慮をすればよいか、日本人と何が違うのかなど、疑問や不安も多いかと思われます。外国人採用を専門とした人材紹介会社を利用することで、プロフェッショナルの視点から最良なアドバイスを受けることができます。

3.必要書類の準備などのサポートが手厚い

特定技能制度では、必要書類の提出先として、日本側の出入国在留管理局の他に、外国人の出身国の大使館や労働省が含まれる場合があります。どのような書類を準備すればよいか、インターネットで検索してもわからないことが多く、人材紹介側のサポートを受けることで、多くの時間や労力を軽減することが可能です。出入国在留管理局に提出する必要書類については、後述の注意点③にて、詳しく説明します。

人材紹介の利用料はその会社により異なります。外国人の年収の約20~30%と設定するところが多いようです。

登録支援機関

登録支援機関とは、特定技能1号外国人に対して必ず行わなければならない支援を、介護施設様に代わって行う機関になります。登録支援機関に委託するかどうかは、介護施設様側で決めることができ、支援の一部のみの委託も可能です。細かい支援内容については、注意点②で説明しますが、各々の介護施設側の事情に合わせて利用を検討してください。ちなみに委託料は、全部委託した場合で月額2~3万円程度となっており、この費用に交通費や実費が加算されます。

2.注意点② 特定技能1号外国人に必要な支援内容

特定技能1号外国人に必要な支援は、できるならば自社で賄い、登録支援機関に委託しない方がコストダウンに繋がります。しかしながら、支援の内容は、法務省が作成した運用要領に細かく規定されているため、逸脱しないよう注意が必要です。どのような支援内容なのか、時系列に沿って見ていきましょう。

入国前に必要な支援

事前ガイダンスの提供

入国前において必要とされている支援は、事前ガイダンスの提供です。
特定技能1号を希望する外国人が、十分に理解できる言語で3時間程度、対面またはテレビ電話などで行う必要があります。技能実習などから引き続き雇用する場合であっても、最低1時間以上の実施時間を確保するようにしましょう。事前ガイダンスで提供情報は、下記の10点です。

  • 業務内容、報酬額などの労働条件
  • 特定技能1号の在留資格で許可されている活動内容
  • 来日するために必要なビザ手続に関する事項
  • 保証金の支払や違約金に係る契約を結んでいないことの確認
  • 外国人が送り出し機関などに対して支払った、取次ぎ費用や準備金の金額と内訳の確認
  • 支援に要する費用について、特定技能1号外国人に負担させないことの確認
  • 来日時に空港から特定技能所属機関の事業所までの送迎を行うこと
  • 日本における住居の賃料及び、広さについての情報
  • 仕事や生活に関する相談又は苦情の申出先についての情報
  • 特定技能所属機関等の支援担当者氏名、連絡先

あらかじめ情報をまとめておき、事前ガイダンスの際は通訳を同席させることもできます。

入国後~就労前に必要な支援

入国する際の送迎

空港から介護施設、又は特定技能1号外国人の住居まで送迎を行います。施設の車を使用する他に、公共交通機関を利用することも認められています。

適切な住居の確保に係る支援・生活に必要な契約に係る支援

特定技能1号外国人の住居は、来日前にあらかじめ探し賃貸借契約を結んでおいた方が良いでしょう。介護施設様名義で契約を行い、外国人の合意のもと、住居として提供することもできます。
生活に必要な契約とは、銀行の預金口座開設や、携帯電話の契約、電気・ガス・水道などのライフラインの手続きです。これらの契約の際には、同行するなどしてサポートを行います

生活オリエンテーションの実施

日本での生活を営む上でのルールやマナー、義務付けられている手続きなどを、8時間にわたって、特定技能1号外国人が十分に理解できる言語で行わなければなりません。技能実習などから引き続き雇用する場合であっても、最低4時間以上の実施時間を確保するようにしましょう。提供するべき内容については、法務省が提供している外国人生活支援ポータルサイト(日本語トップページ)を参照してください。対面もしくはDVD視聴やテレビ電話などを通じての実施も可能です。また住民票の届出などの手続きについては、情報提供だけでなく、役所まで特定技能1号外国人に同行して手続きを行うことが望ましいとされています。

就労後に必要な支援

日本語学習の提供

日本語教室やオンラインでの日本語講座の情報を特定技能1号外国人に提供し、日本語学習の機会を提供します。外国人本人に過度な負担となる場合は、料金を一部補助する等の配慮があると望ましいとされています。

相談又は苦情への対応

相談又は苦情を受けた際には、遅滞なく助言もしくは指導を、特定技能1号外国人が十分に理解できる言語で行います。1週間当たり勤務日に3日以上、休日に1日以上対応し、相談しやすい就業時間外(夜間)などにも対応できることが求められています。

日本人との交流促進に係る支援

地方公共団体などが主催する地域住民との交流の場に関する情報の提供を行い、各行事への参加の手続の補助を行うほか、必要に応じて特定技能1号外国人に同行してサポートします。

定期的な面談・行政機関への通報

特定技能1号外国人の労働状況や生活状況を確認するため、3ヶ月に1度、テレビ電話ではなく、必ず対面で面談を実施しなければなりません。外国人本人だけでなく、外国人直属の上司(又は施設代表者)も面談を受ける必要があります。もちろん外国人が十分に理解できる言語で行い、労働基準法に違反していることが発覚した際には、行政機関へ速やかに通報する義務があります。

帰国・転職時に必要な支援

外国人の責めに帰すべき事由によらないで特定技能雇用契約を解除される場合の転職支援

転職支援とは具体的には、①就職先の情報の提供、②公共職業安定所などへの案内・同行、③推薦状の作成です。①から③のいずれかを行えば良いとされていますが、下記の2つについては必ず行います。

  • 特定技能1号外国人が求職活動を行うための有給休暇を付与すること
  • 離職時に必要な行政手続(国民健康保険や国民年金に関する手続等)について情報を提供すること

支援内容の量は多く大変に思えますが、情報提供のみで良い支援もあり、しっかりと準備を行えば登録支援機関に委託せずとも対応可能と言えるでしょう。

3.注意点③ 特定技能「介護」の申請書類、報告書類

特定技能「介護」のビザ取得のために、出入国在留管理局に対して提出する書類の数は、30を超え、他のビザと比較しても多くなっています。すべての受入れ分野に共通する必要書類については、コラム『「特定技能」受入れ申請に必要な書類まとめ【難易度付き】』をご参照ください。「介護」分野に特有の申請書類としては、以下の7種類が挙げられます。

  1. 介護技能評価試験の合格証明書の写し
  2. 介護日本語評価試験の合格証明書の写し
  3. 日本語能力検定N4以上の合格証明書の写し(国際交流基金日本語基礎テストA2以上でも可)
  4. 介護分野における特定技能外国人の受入れに関する誓約書(分野参考様式第1-1号)
  5. 介護分野における業務を行わせる事業所の概要書(分野参考様式第1-2号)
  6. 指定通知書等の写し
  7. 四ヶ月以内に介護分野における特定技能外国人の受入れに関する協議会の構成員となる旨の誓約書

これに加えて海外から外国人を受け入れる場合には、送り出し国の労働省や総領事館への手続きが必要となることもあります。例えば、フィリピンから受け入れる際には、東京か大阪のフィリピン総領事館において、受入れ機関としての適性があるか面談を受けなければなりません。多くの書類や手続きを行うため、人材紹介会社や行政書士などのサポートを受けた方が、スムーズに準備ができるでしょう。

定期的に届出を行う書類一覧

特定技能制度では、支援の実施状況を確認するために、定期的に届出を行う書類が下記のようにあります。

いずれの書類も四半期に1度の提出であり、登録支援機関に委託している場合は、介護施設側で作成する必要はありません。

4.介護で外国人採用を検討中の施設様へ

中小規模の介護施設が特定技能外国人採用を行う場合の注意点を解説しました。コスト面と業務量を勘案しながら、どの部分を委託して、どの部分を自前で賄うか、迷われる点も多いかもしれません。kedomoではそれぞれの介護施設様の事情を考慮した、最適なプランをご提案させていただいております。登録支援機関として介護施設様の支援もしておりますので、ぜひ、気軽にご相談ください。

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特定技能「介護」で外国人を採用する方法【分かりやすく解説】
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この記事の監修者

  • Takahiro Nishimura

    役職:(株)kedomo 代表取締役
    資格等:中小企業診断士、職業紹介責任者、登録支援機関支援責任者
    経験:外国人求職者の就職支援、人手不足でお困りの企業様の採用支援に日々奔走しています。中小企業診断士としての経営支援経験を活かして、事業の成長につながる外国人採用をお手伝いします。滋賀県出身。

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