福岡県は、近年の人口の急増を受けて福岡市で商業が活発な一方、郊外には大手の自動車や住宅設備機器などのメーカーが多く立地するなど、県全域で幅広い産業が盛んです。技能実習生やエンジニアなど、多く外国人の方々が就業をされているほか、九州大学をはじめとする教育機関が充実していることから多くの留学生が資格外活動としてアルバイト就業をされていることも特徴の一つです。
企業が外国人を雇用・離職した際には、ハローワークに対して氏名・在留期間の届出が必要になっており、そのデータをまとめた「外国人雇用状況」が毎年福岡労働局から発表されています。今回はそのデータをもとに福岡県内の外国人雇用状況をポイントを解説します。
なお、福岡県で外国人採用、登録支援機関への依頼をご検討中の企業様は気軽にkedomoにご相談ください。
目次
1．福岡県の外国人材数と雇用事業所数
福岡県は現在全国で第8位、57,393人の外国人材を抱えています。雇用事業所数でも全国で第8位の10,707事業所です。全国的な流れですが、毎年の外国人材数、雇用事業所数は伸びており、福岡県では前年比人材数で6.4％、事業所数で2.8%の伸びを示し、いずれも過去最高を更新しています。
福岡県の外国人労働者：在留資格別
ビザの在留資格別で見てみると、福岡県の特徴が際立つのが資格外活動*を取得した留学生の数です。18,615人の外国人労働者が資格外活動の留学生で、これは全国で東京(102,232人)、大阪(25,821人)、愛知(18,615人)に次ぐ第4位となっています。福岡県は九州地方の文化や経済の中心地であり、大学や専門学校などの教育機関が多く立地しているのがその理由です。
*資格外活動・・・留学生は原則として労働が認められていませんが、入管で許可をとることで1週間で最大28時間のアルバイトをすることが認められます。この許可のことを資格外活動と言います。
コラム『外国人が日本で働くためのビザ（在留資格）とは』も併せてご覧ください。
福岡県の外国人労働者：国籍別
福岡県内の外国人材数を国籍別でみると、1位はベトナム人(18,635人・35.2%)、2位は中国人(10,476人・18.3%)、3位はネパール人(10,363人・18.1%)、4位はフィリピン人(4,694人・8.2%)の順位となっています。ベトナム人は『技能実習』の割合が43.3%と高くなっています。福岡県は、昔からベトナムとの経済的な交流が盛んであり、2008年2月に福岡県はベトナムの首都ハノイ市と友好提携（姉妹都市）を結んでいます。一方、ネパール人は留学生の割合が80.0%、フィリピン人は永住者の割合が33.5%と高くなっています。
コラム：『日本で働く外国人の出身国別賃金・物価・食文化まとめ』も併せてご覧ください。
2．福岡県の業種別外国人材数
外国人材を雇用する事業所を産業別でみると、「卸売業、小売業」が一番多く全体の24.3%を占め、次いで「宿泊業、飲食サービス業」「建設業」「製造業」の順番となっています。
一方、外国人材数では「製造業」が21.5%を占めて最も多く、次いで「卸売業、小売業」、「サービス業(他に分類されないもの)」、「宿泊業、飲食サービス業」の順番です。
これは「卸売業、小売業」などのサービス事業者は小規模であり、一事業者当たりの雇用する外国人材が少ない一方、「製造業」は大規模であり、雇用する外国人材の数も多くなる傾向*があるからです。
全国平均と比べてみても、福岡県は「卸売業、小売業」「宿泊業、飲食サービス業」などの第三次産業の割合が多くなっていて、九州地方における商業の中心地としての特徴が顕著になっています。
*「製造業」に従事する多くの外国人材は、技能実習のビザで来日しています。技能実習制度は、他の在留資格より比較的多くの外国人を雇用することができます。
3．福岡県内のハローワーク管轄別データ
福岡中央公共職業安定所
福岡市の中央区、博多区、城南区、早良区、南区の一部、糟屋郡の一部を管轄するハローワークです。18,909名の外国人材が届出をしており、県内全体の32.9％を占め、最大規模を誇ります。
留学生の割合が他のハローワークと比較して高く、半数近くを占めます。また産業別でみると、「建設業」が4.1%、「製造業」が5.3%とかなり低く、いずれも福岡県内で最も低い割合となっています。一方で「卸売業、小売業」(22.0%)、「宿泊業、飲食サービス業」(16.1%)で採用される割合が高くなっています。
飯塚公共職業安定所
飯塚市、嘉麻市、嘉穂郡を管轄し、951名の外国人材がいます。産業別で比較すると「建設業」「製造業」で人材が採用される割合が約6割を占めています。
大牟田公共職業安定所
大牟田市、柳川市、みやま市を管轄し、1,081名の外国人材がいます。産業別で見ると「製造業」で人材が採用される割合が過半数を占めています。
八幡公共職業安定所
北九州市八幡東区、八幡西区、中間市、遠賀郡を管轄し、3,378名の外国人材がいます。産業別で比較すると「製造業」が3割近くを占めていますが、他の産業はそれほど大きな偏りは見られません。
久留米公共職業安定所
久留米公共職業安定所(大川出張所を含む)は久留米市、小郡市、うきは市、三井郡、大川市、三瀦郡を管轄しています。5,791名の外国人材がおり、そのうち2,198名は技能実習生で、県内で最も多い数となっています。また産業別では県内で2番目に「製造業」に従事する外国人材が多くなっています。
小倉公共職業安定所
小倉公共職業安定所(門司出張所を含む)は、小倉北区、小倉南区、門司区を管轄し、4,557名の外国人材がいます。北九州市の中心として、他と比較して「卸売業、小売業」「宿泊業、飲食サービス業」で人材が採用される割合が高くなっています。
直方公共職業安定所
直方市、宮若市、鞍手郡を管轄する直方公共職業安定所は、1,112名の外国人材がいます。「製造業」の割合が59.7%と県内で最も高く、また技能実習生の割合も57.6％と県内平均の2倍以上の高い結果となっています。
田川公共職業安定所
田川市は炭坑節発祥の地としても知られ、筑豊最大の炭都であった歴史を活かしたまちづくりが行われています。田川市、田川郡を管轄する田川公共職業安定所は、1,069名の外国人材がいます。「製造業」で働く割合が最も高くなっていますが、特徴的なのはこれに次いで多い「卸売業、小売業」(25.4%)、「宿泊業、飲食サービス業」(22.8%)で、これらはそれぞれ福岡県内で2位、1位と高い割合となっています。
行橋公共職業安定所
行橋市、京都郡、築上郡(築上町)を管轄し、1,663名の外国人材がいます。「製造業」で働く人の割合が全体の5割近くを占めています。
福岡東公共職業安定所
福岡市東区、宗像市、古賀市、福津市、糟屋郡(篠栗町、新宮町、久山町、粕屋町)を管轄する福岡東公共職業安定所は、9,388名の外国人材がおり、福岡中央管轄に次いで2番目に多い人数です。福岡中央管轄とは違って「製造業」で働く割合が41.6%と最も高くなっており、「卸売業、小売業」(21.7%)が続きます。
八女公共職業安定所
八女市、筑後市、八女郡を管轄し、1,354名の外国人材がいます。「製造業」で働く人がほぼ半数となっています。
朝倉公共職業安定所
朝倉市、朝倉郡を管轄し、912名の外国人材がいます。6割近くの方が「製造業」に従事しています。
福岡南公共職業安定所
福岡市南区(那の川1～2丁目を除く)、筑紫野市、春日市、大野城市、太宰府市、那珂川市を管轄し、3,795名の外国人材がいます。「卸売業、小売業」で働く方の割合が最も多く27.2%を占めて県内最高となっています。その他どの産業も大きな偏りなく均等な割合で就業しています。
福岡西公共職業安定所
福岡市西区、糸島市を管轄し、3,433名の外国人材がいます。「教育、学習支援業」における外国人労働者数が2,016人と県内で最も多いのが特徴で、6割近くの人が就業している割合は福岡県内で最も高くなっています。
＜参考ページ＞
福岡労働局における外国人雇用状況の届出状況（令和4年10月末現在）
4．福岡県の外国人採用はkedomo
ここまでご説明したように、福岡県でも外国人材は職場の貴重な戦力として欠かせない存在になっています。最近の報道では特定技能2号移行業種が緩和され長く外国人が日本で働けることになると伝えられており、さらにその数は増えると予想されます。
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