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ベトナム人が日本語を学ぶときに難しいと感じるポイント

2023/09/20

外国人と日本語

皆さん、こんにちは。株式会社kedomoでベトナム担当コーディネーターとして、通訳と翻訳の仕事をしているティンと申します。ベトナムから来て、日本の会社で働きながら日本語を学んできましたが、いくつかの難しい点に直面しました。今回は、日本で働いているベトナム人にとって日本語学習が難しいと感じる点についてまとめてみました。

1.ベトナム語と日本語の文法の違い

ベトナム人にとって最も難しいのは、日本語の文法と文の構成です。ベトナム語と比べて、日本語の文法は独自のルールを持っており、言葉の配置が異なります。特に、日本語の文では動詞が文末に配置されることに驚きました。

例えば、「私が学校へ行く」という表現は、ベトナム語では「Tôi đi đến trường」(私行く学校)となります。また、ベトナム語にはアルファベットしかないのに対し、日本語にはひらがな、カタカナ、漢字という異なる文字があり、ベトナム人学習者にとってはそれが初めの挑戦です。さらに、日本語の助詞も複雑で、正確に使うのが難しいです。このように、日本語はベトナム語と比べて複雑で、学習に時間がかかります。

2.ベトナム語と日本語の敬語

日本語には丁寧語、尊敬語、謙譲語といった敬語があります。例えば「先生がお話しになる」という表現は尊敬語であり、「先生に直接お渡しする」という表現は謙譲語と習いました。

ベトナム語にも敬語がありますが、日本語の尊敬語、謙譲語のように細かくは分かれていません。基本的には年長者に敬語を使用します。
主に敬称や言葉の選び方で敬語は表現できます。例えば、偉い方を紹介する時には「ông+フルネーム」(○○様)(男性用)や「bà+フルネーム」(○○様)(女性用)といった敬称を使います。ベトナムは日本と違って、普段は苗字ではなく、名前で相手を呼ぶことがほとんどです。

また、会話の中に、文末に「ạ」(ア)をつけることでより丁寧な表現になります。これはベトナム語を勉強する外国人にとってベトナム語で1番簡単な敬語表現です。例えば、下記のようにです。

「Bác có khỏe không? 」→「Bác có khỏe không ?」(お元気ですか?)

主語を加えることでも丁寧な言い方になります。ベトナム語会話の中には主語が敬語として重要です。下記の主語がなければ、目上の人には失礼になります。

「Chào chị」→「 Em chào chị」(お姉さん、こんにちは)
「Ăn cơm chưa?」 →「Anh ăn cơm chưa?」(お兄さん、ご飯を食べましたか)
「Rất vui được gặp bạn」 →「Tôi rất vui được gặp bạn.」 (私はあなたに会えてとてもうれしい)

ベトナム語でも、敬語は文脈や関係性に応じて使われ、特に公式な場面やビジネスで重要です。

3.ベトナム人の漢字学習方法

漢字はベトナム語では使わないため、学習者にとっては新たな挑戦になります。ベトナムのお寺には、漢字を使った装飾物が多くあるので、漢字を見たことがある人は多いのですが、ほとんど皆さんその意味は分かりません。私は中国語を勉強していたので、親戚、友達と一緒にお寺に行ったとき、よく「あの漢字なんの意味?」と聞かれました。

日本の漢字には音読みと訓読みがあり、多くの漢字が複数の読み方を持つため覚えるのが難しいです。漢字を学ぶ際には、書くこと、読むこと、そして復習を重視することが大切だと思います。私は各漢字で例文を作成することで、効果的な学習ができました。

4.ベトナム語と日本語の発音の違い

ベトナム語と日本語の発音にはいくつかの違いがあります。これらの違いに注意すれば、ベトナム人の学習者は日本語の発音を克服できます。

  • ベトナム語には声調があり、音節ごとに声調が変わりますが、日本語には声調がなく均等なリズムです
  • 母音や子音の位置なども異なり、初学者にとって発音は難しいことがあります
  • ベトナム語は音節ごとに声調が変わり、日本語は単語の最初に強勢が置かれることが多いです

5.文化的な背景による言語の違い

文化的な背景に基づく言語の違いもベトナム人学習者にとって課題となります。礼儀、マナー、ビジネス文化、社会的な慣習など、日本とベトナムの文化の違いを理解することが重要です。

文化は言語を形成し、言語は文化を表現する手段です。日本語は、文化のさまざまな側面を鮮やかに表現していると思います。また、日本の人々の謙虚さや忍耐力も、日本語を通じて表現されます。日本人の相手に対する適切な敬意を示す言葉や行動をすることで、ベトナム人が円滑なコミュニケーションを図り、日本で成功する鍵となるのではないでしょうか。

日本の感謝と謝罪の文化について

日本語では、多くの言葉やフレーズが謝罪の意味を持っています。丁寧な謝罪、重大な問題の謝罪、謝罪の姿勢、謙虚な謝罪、一言謝罪、または親密な関係での簡潔な謝罪などがあります。例えば、「すみません」、「ごめんなさい」、「申し訳ございません」といった表現があります。

私は日本に来たばかりの頃、日本人が頻繁に「ありがとう」と「ごめんなさい」、「すみません」という言葉を使うことに少し驚きました。ベトナム語では「すみません」、「ごめんなさい」の表現は「Xin lỗi」(読み方:シンロイ)のみです。本当に謝罪の際に使う言葉です。ベトナム語の「シンロイ」は日本語のように頻繁に使われることはありません。ベトナムに住んでいた時は「ありがとう」という言葉もあまり使わなかったのですが、日本に来てから「ありがとう」という言葉をよく使うようになりました。私にはこの日本の文化と社会環境があっていると思います。

敬語の使い方を知らないと、コミュニケーションに誤解が生じてしまうことがあります。そのため、外国人と一緒に働く日本の皆さんは、外国人が故意に失礼な言葉を使ったのではなく、日本語の難しさと異文化コミュニケーションに誤解が生じた可能性があることを理解していただければと思います。

お互いに文化的な違いを理解し尊重することは、人々との良好な関係の構築に役立ちます。異文化コミュニケーションのスキルは、国際的な環境での成功に不可欠です。

最後までご覧いただきありがとうございます。

この記事の監修者

  • Thi Tinh Hoang

    役職:(株)kedomo ベトナム担当コーディネーター
    資格等:日本語能力試験(JLPT)N1合格、中国語検定 HSK5級合格
    経験:ベトナムにおいて中国系建設企業で勤務後、来日してからは技能実習生の監理組合等でベトナム、中国、台湾など外国籍の方の就職支援を経験。kedomoでは通訳・翻訳、SNS運営を担当。ハノイ国家大学外国語大学卒業。

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