「海外の工場、営業所の外国人スタッフを日本に呼んで研修を行いたい」
「これから海外進出を考えており、海外で採用したスタッフを、日本で一定期間OJTを通して一人前に育てたい」
海外にいる外国人社員を日本に呼ぶ場合、どのようなビザ(在留資格)を取得すれば良いのでしょうか。製造業を営まれている企業向けに、わかりやすく説明いたします。
この記事でわかること:
- 海外の自社外国人スタッフを日本で研修・勤務させる際に必要なビザの種類と選び方
- 技能実習(企業単独型)の現在の状況と、2027年以降の制度移行の見通し
執筆:株式会社kedomo(登録支援機関・外国人材紹介)
目次
1.ビザ(在留資格)の種類を選ぶ前に確認すること
ビザの種類を選ぶ上で確認すべきことは、実務の有無、滞在期間、職務内容の3点です。
「実務」とは、報酬を受けて行う作業や業務のことです。たとえば、工場で実際にラインに入って作業する、図面を引く、顧客対応をするといった行為は実務に該当します。一方、日本本社の工場を見学する、研修を受けるといった活動は、報酬が発生しなければ実務には当たりません。この3点がわかれば、候補となるビザは自然と絞られます。
2.外国人社員が実務をしない場合
実務を伴わない場合は、短期滞在ビザ(商用)か研修ビザが該当します。両者の主な違いは、滞在期間と審査機関です。
短期滞在ビザ(商用)
短期滞在ビザ(商用)は、90日以内の範囲で商用目的での日本滞在を認める在留資格です。審査は出入国在留管理庁ではなく、外務省が行います。商用目的には、社内研修や工場見学、業務連絡・商談・会議への出席などが含まれます。
国によってはビザの申請が不要な場合があります。いわゆる「ビザ免除国」です。2025年9月1日時点で、査証免除国・地域(短期滞在)(外務省)として74の国・地域が指定されています。インドネシアとタイは15日以内、ブルネイとカタールは30日以内、その他の国・地域は90日以内が対象となっています。ただし、国によってIC旅券の所持や事前登録が免除の条件となっている場合があるため、必ず外務省の公式ページで個別に確認してください。
ビザ免除対象外の国の社員を招く場合は、短期滞在ビザ(商用)の申請が必要です。日本側で招へい理由書・滞在予定表などを準備して送付し、本人が最寄りの日本大使館または領事館で申請します。標準処理期間は5営業日です。なお、一度不許可になった場合、再申請まで6か月の期間をおく必要があります。
研修ビザ
研修ビザは、開発途上国などの外国人に技術・知識を身につけてもらい、帰国後に国の発展に役立ててもらうことを目的とした在留資格です。在留期間は3か月、6か月、1年のいずれかで、更新は原則として認められません。審査は法務省が行います。
申請には、以下の要件を満たす必要があります。参考:「在留資格一覧」(出入国在留管理庁)。
- 修得する技能が、同じ作業の繰り返しだけでは習得できないものであること
- 申請者が18歳以上で、帰国後にその技能を活かした業務に就くことが見込まれること
- 申請者の出身地では習得が困難な技能であること
- 修得する技能について5年以上の経験を持つ指導員の指導下で行われること
短期滞在ビザとの大きな違いは審査期間です。研修ビザの標準処理期間は約1か月とされており、余裕を持って申請する必要があります。
3.外国人社員が実務をする場合のビザ
実務を伴う場合は、職務内容と要件に応じて、企業内転勤、技術・人文知識・国際業務、または技能実習(企業単独型)の3種類の在留資格が対象となります。
企業内転勤
企業内転勤は、海外の親会社・子会社・関連会社から日本法人への転勤に際して取得できる在留資格です。ホワイトカラー職(技術開発・営業・マーケティングなど、専門知識を用いる業務)に限定されています。現場作業は認められません。
審査では次の4点が確認されます。
- 転勤元の会社に1年以上継続して勤務していること
- 業務内容が「技術・人文知識・国際業務」と同様、専門知識を要するホワイトカラー職であること
- 転勤期間が定められていること
- 日本人と同等以上の給与であること
在留期間は3か月・1年・3年・5年のいずれかで、更新も可能です。次に説明する技術・人文知識・国際業務と異なり、学歴や実務経験の要件がないのが特徴です。
技術・人文知識・国際業務
企業内転勤の要件のうち、「転勤元に1年以上勤務していること」または「転勤期間が決まっていること」のどちらかを満たさない場合に選択肢となるのが、技術・人文知識・国際業務です。
企業内転勤にはない学歴要件または実務要件が必要になります。学歴要件は、業務内容に関連する科目を専攻して大学(短大可)を卒業していること。実務要件は10年以上の経験です。在留期間は3か月・1年・3年・5年で、更新が可能です。
詳しくは就労ビザ「技術・人文知識・国際業務」の審査ポイントと必要書類をご覧ください。
技能実習(企業単独型)
現場作業を含む実務研修を実施する場合、これまで技能実習(企業単独型)が用いられてきました。ただし、2024年6月に技能実習制度の廃止・育成就労制度への移行が法律として成立しており、2027年の新制度施行に向けて移行が進んでいます。
出入国在留管理庁の育成就労制度Q&Aによると、海外の子会社・支店の社員を比較的短期間受け入れていたケースは、新制度では在留資格「企業内転勤2号」での受け入れが想定されています。また、原則3年間の育成を目的とするケースは「単独型育成就労」が対応するとされています。現時点では技能実習(企業単独型)での新規受け入れは続いていますが、施行時期や移行の詳細は引き続き確認が必要です。詳しくは管轄の地方出入国在留管理局にご相談ください。
なお、2026年4月時点での技能実習(企業単独型)の審査要件は以下のとおりです。
- 修得する技能が、同じ作業の繰り返しだけでは習得できないものであること
- 申請者が18歳以上で、帰国後にその技能を活かした業務に就くことが見込まれること
- 申請者の出身地では習得が困難な技能であること
- 修得する技能について5年以上の経験を持つ技能実習指導員の指導下で行われること
- 生活指導員が配置されていること(常勤でなくてもよい)
- 申請者が常勤職員であり、転勤または出向する者であること
- 在留期間の6分の1以上が座学講習(日本語・日本生活・技能修得・関連法律)に充てられていること
- 日本人と同等以上の給与であること
- 技能実習生の数が、受け入れ会社の常勤職員総数の20分の1以内であること
実習計画の認定(外国人技能実習機構)と在留資格申請の2段階が必要です。実習計画は申請から認定まで時間がかかるため、来日予定の4か月以上前から準備を始めることをおすすめします。
4.まとめ
海外の自社外国人社員を日本に呼んで研修・勤務させる場合のビザは、実務の有無と期間・職務内容によって変わります。
- 実務なし・90日以内 → 短期滞在ビザ(商用)またはビザ免除を確認
- 実務なし・長期 → 研修ビザ(標準処理約1か月)
- 実務あり・ホワイトカラー → 企業内転勤(学歴・実務経験不要)または技術・人文知識・国際業務
- 実務あり・現場作業 → 技能実習(企業単独型)※2027年以降は育成就労制度へ移行予定
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よくある質問
Q. 海外の自社社員を日本で研修させる場合、ビザは必ず必要ですか? A. 相手の国籍によります。査証免除対象国の社員であれば、短期滞在(商用)の範囲でビザなしで入国できる場合があります。
Q. 短期滞在ビザ(商用)で研修を行ってもよいですか? A. 無報酬の見学・社内研修・商談などは認められています。報酬が発生する実務を行わせる場合は、別の在留資格が必要です。
Q. 企業内転勤と技術・人文知識・国際業務の違いは何ですか? A. 企業内転勤は学歴・実務経験不要ですが、転勤元に1年以上勤務していることと転勤期間が決まっていることが条件です。 どちらかを満たさない場合は技術・人文知識・国際業務を検討してください。
Q. 現場作業を伴う研修をさせたい場合はどうすればよいですか? A. 技能実習(企業単独型)が対応していますが、2027年に育成就労制度へ移行予定です。 手続きの詳細は地方出入国在留管理局または行政書士に確認してください。
Q. 研修ビザはどのくらいの期間で取得できますか? A. 標準処理期間は約1か月です。来日予定日から逆算して早めに準備してください。
Q. 技能実習(企業単独型)で受け入れる際、気をつけることはありますか? A. 実習計画の認定と在留資格申請の2段階が必要で、来日の4か月以上前から準備が必要です。 2027年の制度移行も踏まえ、最新情報を確認してください。





