ヨーロッパや東南アジアの日本語学習者にとって、勉強するまで全く馴染みのなかった漢字の読み書きは容易ではありません。一方で、中国人は日本語が話せなくても、漢字を見て看板やメニューの内容を大体理解できます。
このように、本人の資質だけでなく、出身国(母語)の違いによっても日本語の習得スピードは異なります。この記事では、留学生や外国人社員から聞いた国ごとの日本語学習の難しさと、採用基準に日本語能力を設定するときの注意点をお話しします。
この記事でわかること
- 漢字圏・非漢字圏で異なる日本語の習得傾向
- 出身国ごとに難しいと感じるポイント
- 採用基準に日本語能力試験のレベルを設定するときの注意点
執筆:株式会社kedomo(登録支援機関・外国人材紹介)
目次
1.出身国(母語)で異なる日本語の難しいポイント
来日してしばらく経った留学生や実習生は、仕事や生活で生の日本語に触れ、数カ月後に会うと見違えるほど上達しています。もちろん各人の能力によるところは大きいのですが、出身国でも上達の傾向に違いがみられます。
まず、漢字圏か非漢字圏かで読み書きの習熟に大きな差が生まれます。中国・韓国・台湾の方はある程度漢字が理解できるので、読み書きの力がとても早く身につきます。なかでも韓国の方は文法も日本語に似ているため、総合的に上達が早い印象です。
一方、ベトナム・ネパール・インドネシアなど非漢字圏の方にとっては、漢字学習が大きな壁になります。ただし、ネパールの方は読み書きに苦戦されることが多い半面、会話力がとても優れています。ネパール語の文法が日本語と似ており、単語を覚えさえすればすぐに話せるからです。文法が似ている地域はネパールのほかに、ミャンマーやインドの一部にもあります。kedomoで過去に支援したミャンマー出身の人材も、発音が聞き取りやすく、比較的短期間で日本語が上達するケースが多いです。
kedomoのコラムでは、自社の外国人スタッフが実体験をもとに書いた国ごとの記事も公開しています。
- ベトナム人が日本語を学ぶときに難しいと感じるポイント
- フィリピン人が日本語を学ぶときに難しいと感じるポイント
- インドネシア人が日本語を学ぶときに難しいと感じるポイント
- ミャンマー人が日本語を学ぶときに難しいと感じるポイント
2.外国人採用で注意したい日本語能力基準
企業が採用基準にすることが多いのが、日本語能力試験(JLPT)のN2レベルです。N1が最高で通訳レベル、N5が最も初級で自己紹介ができるレベルという5段階の試験で、外国人の多くが自分の日本語力を測るために受験しています。レベルごとの目安は外国人の採用に使える日本語力の測り方で詳しく解説しています。
N2の出題範囲には漢字が約1,000字含まれており、「臓」「濯」「隻」など日本人でも日常的に書く機会の少ない漢字が出題されます。これを非漢字圏の方がゼロから学ぶのは一筋縄ではいきません。
人手不足の業界では、不必要にN2以上を条件にすると良い人材を逃してしまうことがあります。まずは業務に必要な最低限のレベルを検討し、入社後の継続学習で日本語力を伸ばすという方法も選択肢の一つです。kedomoでは海外からエンジニアを採用する際、提携教育機関で来日前に日本語レッスンを実施し、入社時にある程度の会話ができる状態にしています。
また、海外在住の人材を採用する場合は、日本での就業歴や留学経験の有無にも注意が必要です。同じN2取得者でも、日本で生の日本語に触れた経験があるかどうかで「話す・聴く」の力にはかなりの差があります。TOEICは高得点でも英会話が苦手という日本人と同じです。ただし、N2やN3を海外で取得している方は基礎ができているため、来日後の上達が早い傾向があります。参考:「外国人の採用方法」
職場での日本語コミュニケーションを改善するポイントは外国人に通じやすい日本語の話し方、入社後の日本語学習の支援方法は日本語を学ぶ外国人社員をサポートする方法で解説しています。
下の画像の漢字は日本語能力試験N2レベルで出題される一部です。参考にご覧ください

3.まとめ
- 漢字圏(中国・韓国・台湾)の方は読み書きの上達が早く、非漢字圏の方は漢字が大きな壁になる
- 文法が似ているネパール・ミャンマー出身の方は会話力が伸びやすい
- 日本語能力試験のレベルだけで判断せず、業務に必要な日本語力を見極めて入社後の学習と組み合わせる
kedomoでは外国人エンジニアの人材紹介のほか、介護、製造業、外食などの特定技能採用を登録支援機関として支援しています。外国人採用をご検討の際は気軽にご相談ください。
Q&A
Q 出身国による日本語習得スピードの違いとは何ですか? 漢字圏か非漢字圏か、文法が日本語に近いかどうかによって、読み書きや会話の上達に差が出ることです。
Q 非漢字圏の外国人は日本語が上達しにくいですか? 漢字の読み書きには時間がかかりますが、ネパールやミャンマーのように文法が似ている国の方は会話力が早く伸びます。
Q 採用基準に日本語能力試験N2を求めるのは厳しすぎますか? 業務内容によります。N2の出題範囲は漢字約1,000字で非漢字圏の方にはハードルが高いため、業務に必要な最低限のレベルを見極めることが大切です。
Q 海外在住の外国人を採用するとき、日本語力で注意すべき点はありますか? 同じ試験レベルでも、日本での生活経験がある方とない方では「話す・聴く」の力に差があります。





