以前、kedomoを通じて福岡県内の企業に採用が決まった台湾出身のチェンさんのマンション探しに同行したことがあります。日本語学校の寮を出て、通勤できる範囲で新居を探すことになったのですが、不動産会社で話を聞いていると、外国人ならではのハードルがいくつもあることに改めて気づかされました。
この記事では、外国人社員の住居確保で企業がどこまで何をすればよいのか、特定技能の義務的支援から技人国の任意サポートまで、実務で使える情報をまとめています。
この記事でわかること
- 外国人の部屋探しで企業が押さえておくべきポイント
- 社宅・借り上げ・本人契約、それぞれの進め方と注意点
- 特定技能で義務付けられている住居支援の具体的なルール
- 住居確保にかかる費用の目安と負担の分け方
執筆:株式会社kedomo(登録支援機関・外国人材紹介)
目次
1.外国人が日本で部屋を借りにくい理由
冒頭のチェンさんの例に限らず、kedomoが外国人採用を支援する中で、住居に関する相談は本当に多く寄せられます。よくある問題をいくつか紹介します。
保証人が見つからない
日本に来たばかりの外国人は、保証人を頼める日本人の知り合いがほとんどいません。チェンさんと一緒に不動産会社を訪ねた際も、「保証人不要」と書いてある物件でも外国人には保証人と保証会社の両方が必要だと説明されました。日本語学校の先生にも頼んでみたそうですが、一人の生徒を引き受けると他の生徒からも求められるため断られたとのことです。就労ビザを持っていてもこの壁にぶつかるケースは多く、企業が何も知らずに「部屋は自分で探してね」と言ってしまうと、入社前からつまずきかねません。
外国人であることを理由に断られる
安定した収入があっても、入居を断る大家さんや管理会社は一定数います。ゴミ出しや騒音のトラブルを心配されることが多いようです。
初期費用の仕組みがわかりにくい
敷金・礼金・仲介手数料・鍵交換費用など、日本の賃貸契約は来日したばかりの外国人には複雑です。チェンさんも「なぜ使う前にこんなにお金がかかるのか」と驚いていました。
ビザの切替中は審査が通りにくい
留学ビザから就労ビザへ変更手続き中の場合、不動産会社から「ビザが下りてからでないと審査できない」と言われることがあります。kedomoが紹介した方の中にも、就労ビザが出るまでシェアハウスで仮住まいし、入社後に改めて部屋を探した方が何人かいます。
こうした事情を知っておくだけでも、採用が決まった外国人への声かけが変わるはずです。「部屋探しで困っていませんか」とひとこと聞くだけでも、本人にとっては大きな安心につながります。
2.企業が行う住居サポートの方法
企業側の住居サポートは、大きく3つの方法に分かれます。
社宅・寮を提供する
自社で社宅や寮を持っている場合は、最もスムーズな方法です。入居審査も保証人も不要で、ライフラインの契約も済んでいるため、来日してすぐ生活を始められます。地方の製造業や介護施設では、この方法を取っている企業が多い印象です。
借り上げ社宅(法人契約)にする
企業が物件の契約者になり、外国人社員に住居として貸す方法です。法人名義だと入居審査が通りやすく、保証人の問題も出ません。kedomoが登録支援機関として支援している企業では、この方法が多いです。入社日に合わせて準備します。ただし、退去時の原状回復費用は企業側の負担になるため、入居時のルール説明をしっかり行っておくことをおすすめします。
本人契約を企業がサポートする
外国人社員が自分で賃貸契約を結び、企業は不動産会社への同行や保証人の手配を手伝う方法です。本人の自立にはつながりますが、審査が通りにくいことがあるため、外国人対応に慣れた不動産会社や保証会社を事前に調べておく必要があります。企業が連帯保証人になるか、家賃保証会社を手配して企業が緊急連絡先になるのが一般的なパターンです。
3.特定技能の住居確保は義務的支援
特定技能1号の外国人を雇用する場合、住居確保の支援は法律上の義務です。1号特定技能外国人支援計画の中に住居確保を盛り込み、計画どおりに実施しなければなりません。参考:「1号特定技能外国人支援・登録支援機関について」(出入国在留管理庁)
居室面積の基準
居室の広さは1人あたり7.5㎡以上が必要です。ルームシェアの場合でも、居室全体を人数で割って7.5㎡以上なければなりません。
例外として、技能実習2号等から特定技能1号に切り替える場合で、すでに住んでいる社宅にそのまま住みたいと本人が希望すれば、寝室4.5㎡以上で認められます。
家賃で利益を取ってはいけない
社宅や借り上げ住宅を外国人社員に貸して家賃を徴収する場合、企業が利益を得ることは禁止されています。借り上げの場合は、実際の借上費用(管理費・共益費を含む。敷金・礼金等は含まない)を入居人数で割った額が上限です。
委託という選択肢
住居確保を含む義務的支援は、自社で行うことも、登録支援機関に委託することもできます。特定技能「介護」や「製造業」など業種にかかわらず基準は同じです。初めて外国人を受け入れる企業で、支援体制を整える余裕がない場合は委託を検討してください。
なお、支援義務を負うのはあくまで受入れ企業です。登録支援機関への委託は義務ではなく、自社で支援体制の基準を満たせない場合に必要になるものです。
4.技人国・高度人材でもサポートすべき場面
技術・人文知識・国際業務(技人国)や高度専門職の場合、住居確保に法的な義務はありません。ただ、部屋探しの難しさは在留資格の種類で変わるものではないので、企業のサポートは人材にとって魅力です。求人票や面接の段階で「住居のサポートあり」と伝えておくだけでも、応募者の安心感は大きく変わります。
国土交通省は14言語に対応した「外国人の民間賃貸住宅への円滑な入居について」のページで「部屋探しのガイドブック」や多言語の契約書見本を公開しています。外国人社員に賃貸のルールを説明する際に使えるので、担当者の方はブックマークしておくと便利です。
5.まとめ
- 外国人社員は保証人・入居拒否・初期費用の壁で部屋探しに苦労する。「困っていませんか」のひとことが大切
- 住居サポートは「社宅・寮の提供」「借り上げ社宅」「本人契約の支援」の3つ。自社に合った方法を選ぶ
- 特定技能1号は住居確保が義務的支援。居室面積7.5㎡以上、家賃で利益を取ることは禁止
- 技人国・高度人材でもサポートすると定着率と採用競争力が上がる
kedomoは登録支援機関として特定技能の住居確保支援を含む支援を行っているほか、技人国などの人材紹介でも必要な場合は、入社前後の生活立ち上げをサポートしています。気軽にご相談ください。
6.よくある質問(Q&A)
Q 外国人社員の住居確保とは何ですか?
企業が外国人材の部屋探し・賃貸契約・入居手続きを手伝うことです。 保証人の手配や不動産会社への同行、社宅の提供などが含まれます。
Q 特定技能以外でも住居サポートは必要ですか?
法的義務はありませんが、部屋が借りにくい事情は在留資格によらず同じです。 定着率向上のためにもサポートを推奨します。
Q 企業が連帯保証人になるリスクは?
外国人社員が家賃を滞納した場合に企業が支払い義務を負います。 リスクを避けたい場合は、家賃保証会社を利用し企業は緊急連絡先にとどめる方法もあります。
Q シェアハウスでも問題ないですか?
特定技能の場合、1人あたりの居室面積が7.5㎡以上あればルームシェアやシェアハウスも認められます。 プライバシーが確保できる環境かも確認してください。
Q 住居確保を外部に委託できますか?
特定技能の場合は登録支援機関に義務的支援を委託できます。 技人国など他の在留資格の場合は、外国人対応に慣れた不動産会社や人材紹介会社に相談する方法があります。





