kedomoで外国人採用を支援していると、入社から数年経った外国人社員やその雇用企業から「永住権は取れますか?」と聞かれることがあります。永住権を取得すると在留期間や業務内容の制限がなくなるため、企業にとっても長期的な人材活用がしやすくなります。
永住権(永住許可)とは、在留期間の制限なく日本に住み続けられる在留資格です。就労制限もなくなるため、日本人社員と同じように配置転換や異動ができるようになります。一方で、永住許可申請は他の在留資格と比べて審査が厳しく、求められる要件も多い申請です。この記事では、永住権の取得条件から手続き、企業が知っておくべきポイントまでわかりやすく説明します。
この記事でわかること
- 永住権の取得に必要な3つの条件と最新の特例ルール
- 永住許可申請の手続きと企業側の対応
- 高度専門職・特定技能2号からの永住申請の可能性
執筆:株式会社kedomo(登録支援機関・外国人材紹介)
目次
1.永住権とは
永住権とは、在留期間や就労内容の制限なく、日本に永住できる権利です。出入国在留管理庁にとって永住許可は最も重い判断のひとつであり、慎重に審査されます。
他の在留資格との違い
外国人社員の多くが取得している「技術・人文知識・国際業務」と比較すると、永住権には3つの大きな違いがあります。
| 項目 | 永住権 | 技術・人文知識・国際業務 |
|---|---|---|
| 在留期限 | 期限なし(在留カードの7年ごとの更新は必要) | 3か月、1年、3年、5年 |
| 従事できる業務 | 制限なし | 許可された業務のみ |
| 配偶者の在留資格 | 永住権取得の可能性あり | 家族滞在 |
従事できる業務に制限がない点は、企業にとって大きなメリットです。「技術・人文知識・国際業務」では業務内容が限定されるため他部署への異動が難しいですが、永住権があれば日本人社員と同じように人事配置ができます。
帰化との違い
永住権と混同されやすいのが「帰化」(日本国籍の取得)です。帰化すると日本国籍を取得するため、在留カードの更新や在留管理の対象から外れ、選挙権や被選挙権も得られます。一方、永住権はあくまで在留資格のひとつであり、国籍は母国のままです。永住許可後も在留カードの更新(7年ごと)は必要で、一定の条件のもとで取消しの対象にもなりえます。
2.永住権のメリット
前段で説明した在留期限・業務内容・配偶者の在留資格の違いに加え、永住権には社会的な信用が高まるというメリットもあります。フラット35をはじめとする住宅ローンの一部は、永住権が申込みの条件になっています。長期的に日本で生活を考える外国人社員にとって、住宅購入やローンの選択肢が広がることは大きな利点です。
3.永住権を取得するための条件
永住権を取得するには、出入国在留管理庁が公表している「永住許可に関するガイドライン」(2026年2月24日改訂)に示された3つの要件を満たす必要があります。
① 素行が善良であること
法律を遵守し、社会的に非難されることのない生活を送っていることが求められます。
罰金刑以下の場合は終了後5年の経過、拘禁刑の場合は出所後10年の経過で、この要件を満たせるとされています。申請人本人だけでなく、家族滞在ビザの家族の素行も審査対象です。家族の資格外活動(アルバイト)が週28時間の上限を超えていた場合、不許可につながることもあるため注意が必要です。
② 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
生活保護を受給しておらず、将来にわたって安定した生活が見込まれるかが判断されます。申請人本人だけでは要件に適合しない場合でも、世帯全体で安定した生活が可能であれば認められます。
③ その者の永住が日本国の利益に合すると認められること
この要件には複数の条件が含まれます(2026年2月24日改訂ガイドラインに基づく)。
ア 在留歴の条件
原則として引き続き10年以上日本に在留していること。ただし、このうち就労資格(技能実習・特定技能1号を除く)または居住資格で引き続き5年以上在留していることが必要です。
イ 法令遵守・公的義務の履行
罰金刑や拘禁刑を受けていないこと。納税・年金・健康保険の保険料納付、入管法上の届出義務を適正に履行していることが求められます。なお、申請時点で納付済みであっても、当初の納付期限内に払っていなかった場合は消極的に評価されます。「あとから払えば大丈夫」ではない点は、外国人社員にも早めに伝えておくべきポイントです。また、永住許可後であっても、故意に税金や社会保険料を納めない場合は永住許可が取り消される可能性があります。参考:「永住許可制度の適正化Q&A」(出入国在留管理庁)
ウ 最長の在留期間であること
現に持っている在留資格で、最長の在留期間をもって在留していることが求められます。なお、2027年3月31日までは在留期間「3年」でも最長期間として扱われます。
エ 上陸許可基準等に適合していること
現に持っている在留資格の上陸許可基準に適合していることも必要です。
オ 公衆衛生上の問題がないこと
日本人・永住者・特別永住者の配偶者や子の場合は①②の要件が免除されるなど、身分関係による特例もあります。
原則10年在留の特例
永住許可ガイドラインでは、以下の場合に10年の在留歴が短縮される特例が設けられています。
日本人・永住者等の配偶者
実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ引き続き1年以上日本に在留していること。実子等の場合は1年以上の継続在留で足ります。
定住者
定住者の在留資格で5年以上継続して在留していること。
高度専門職(高度人材)
ポイント計算で70点以上の場合は3年、80点以上の場合は1年の在留歴で永住申請が可能です。特別高度人材(J-Skip)も1年で申請できます。
4.永住権申請の手続き
永住許可申請には多くの書類準備が必要です。申請に関するポイントを説明します。
申請先
住居地を管轄する地方出入国在留管理官署で申請します。出張所では受け付けていない場合もあるため、事前に確認してください。
申請者
申請人本人のほか、法定代理人、申請取次の資格を持つ行政書士や弁護士が申請できます。所属機関の職員も申請できますが、入管協会の研修を受講し、出入国在留管理局で申請等取次者証明書の交付を受ける必要があります。
審査期間
公表されている標準処理期間は4か月ですが、実際は6か月〜1年以上かかるケースも多くなっています。永住許可申請中でも、現在の在留資格の期限が来れば別途更新申請が必要です。在留期限に余裕をもって申請することが重要です。
費用
許可時に10,000円の収入印紙が必要です(2025年4月時点)。ただし、20万円程度への大幅な引上げを含む入管法改正案が国会に提出されており、施行時期によっては金額が変わります。
身元保証書
永住許可申請には日本人か永住者の身元保証人が必要です。道義的な意味合いが強く、法的な債務を負うものではありません。会社の上司や同僚が保証人になるケースが多い印象です。
永住許可申請に必要な書類は、現在の在留資格によって異なります。詳細は「永住許可申請」(出入国在留管理庁)を参照してください。
5.特定技能2号と永住権
2023年6月の閣議決定により、特定技能2号の対象分野が大幅に拡大されました。特定技能2号は在留期間の上限がなく更新が可能で、永住許可申請における就労資格としてカウントされます。
一方、技能実習や特定技能1号の在留期間は、永住許可の居住要件(引き続き5年以上の就労資格での在留)に含まれません。そのため、特定技能1号で5年間働いた外国人がそのまま永住申請できるわけではなく、特定技能2号や技術・人文知識・国際業務などの在留資格に変更してから、さらに要件を満たす必要があります。
kedomoが登録支援機関として支援している企業でも「特定技能の社員がずっと働いてくれるか心配」という声をよく聞きます。特定技能2号への移行は、長期雇用と永住権への道を開くルートとして注目されています。
6.まとめ
- 永住権を取得すると在留期間・業務内容の制限がなくなり、企業の人材活用の幅が広がる
- 取得には素行要件・生計要件・国益要件の3つを満たす必要がある
- 原則10年以上の在留歴が必要だが、高度専門職(70点以上で3年、80点以上で1年)などの特例がある
- 特定技能2号は永住申請の就労資格に含まれるが、技能実習・特定技能1号の期間は含まれない
- 公的義務の「期限内の」履行が重要。あとから払っても消極評価される
7.Q&A
Q 永住権とは何ですか?
A 在留期間や就労内容の制限なく日本に永住できる在留資格です。 在留カードの7年ごとの更新は必要ですが、在留資格の更新審査は不要になります。
Q 技能実習生や特定技能1号の社員も永住申請できますか?
A 技能実習・特定技能1号の在留期間は永住許可の居住要件に含まれないため、そのままでは申請できません。 特定技能2号などの在留資格に変更し、改めて要件を満たす必要があります。
Q 高度専門職の社員は何年で永住申請できますか?
A ポイント計算で70点以上なら3年、80点以上なら1年で永住申請が可能です。
Q 永住許可申請の費用はいくらですか?
A 許可時に10,000円の収入印紙が必要です(2025年4月時点)。 20万円程度への引上げが予定されているため、申請時期によって変わる可能性があります。
Q 企業がすべきことはありますか?
A 在職証明書などの必要書類の発行を求められます。 また、審査にプラスとなる推薦状を出すことも可能です。本人の勤務状況が良好で今後の活躍が見込まれる場合は、積極的なサポートを検討してみてください。
Q 永住権は取り消されることがありますか?
A 故意に税金や社会保険料を納めない場合などは取消しの対象になりえます。 やむを得ない事情がある場合は対象外とされていますが、期限内の納付を徹底することが大切です。
8.外国人採用はkedomoへ
kedomoは外国人専門の人材紹介と、特定技能の登録支援機関として、企業の外国人採用を支援しています。「介護」「養殖業」「造船」「製造」「外食」「宿泊」など幅広い分野で採用から定着までをサポートしています。外国人採用を検討中の企業様は気軽にお問い合わせください。
参考ページ:「初めての外国人採用」外国人採用の流れ、費用、就業可能職種、外国人材の日本語力などをわかりやすく説明しています。 「外国人エンジニアが家族を呼ぶ方法」家族滞在ビザのルールを解説しています。





