「技能実習がなくなって育成就労に変わると聞いたが、特定技能とどう違うのか」
kedomoでも、技能実習で外国人材を受け入れてきた製造業や介護の採用担当者から、こうしたご相談がよくあります。
結論からお伝えすると、現時点で公表されている運用ルールを見るかぎり、企業の費用負担や外国人本人のキャリアの自由度を考えたとき、新規採用では特定技能ルートのほうが扱いやすい印象があります。kedomoでも、これから外国人採用を検討する企業様には特定技能を中心にご案内しています。
本記事では、育成就労制度の基本、技能実習・特定技能との違い、対象17分野、そして採用担当者が知っておくとよいことを説明します。
この記事でわかること
- 育成就労制度の基本(目的・在留期間・施行日)
- 育成就労・技能実習・特定技能の違いと比較表
- 育成就労の対象17分野
- 新規採用で特定技能を中心にご案内している理由
執筆:株式会社kedomo(登録支援機関・外国人材紹介)
1.育成就労制度とは
育成就労は、技能実習に代わる新しい在留資格です。2027年4月1日に施行されます。参考:「育成就労制度」(出入国在留管理庁)
技能実習が「技能移転による国際貢献」を建前にしていたのに対し、育成就労は「人材育成」と「人材確保」を制度の目的として打ち出しています。3年の就労を通じて、特定技能1号水準の技能と日本語能力を身につけてもらい、特定技能1号へつなげる制度です。
2.技能実習・特定技能との違い
採用担当者からよく質問を受ける項目を比較表にまとめました。
| 観点 | 技能実習(〜2027年3月) | 育成就労(2027年4月〜) | 特定技能1号 |
|---|---|---|---|
| 制度の目的 | 国際貢献・技能移転 | 人材育成・人材確保 | 即戦力としての人手確保 |
| 在留期間 | 最長5年(1〜3号合計) | 原則3年 | 通算5年(特定技能2号に移行すれば期間制限なし) |
| 入国時の日本語 | 分野・職種ごとに運用差 | A1相当(N5など)合格、または認定講習受講 | 分野ごとに試験合格が必要 |
| 転籍(転職) | 原則不可 | 本人の希望で可(同一分野内、1〜2年経過後) | 同一分野内で可 |
| 受入れ機関のサポート | 監理団体 | 監理支援機関 | 受入れ機関に支援義務(登録支援機関に委託可) |
| 家族帯同 | 不可 | 不可 | 1号は不可、2号は可 |
| 対象分野 | 約90職種・約160作業 | 17分野 | 19分野 |
特に注目したいのは在留期間です。特定技能は1号で5年働いたあと、技能試験に合格して特定技能2号に移行できれば、在留期間の更新に上限がなくなります。家族帯同もできるようになるため、長く日本で働きたい外国人にとっても、企業にとっても、キャリアの見通しが立てやすくなります。
3.育成就労の対象17分野
育成就労の対象は、特定技能の19分野から「航空」「自動車運送業」を除いた17分野です。航空は制度設計の議論が遅れていること、自動車運送業は日本の運転免許取得が必要で国内での育成になじまないことが、対象外の理由として説明されています。
対象17分野は次のとおりです。
- 介護
- ビルクリーニング
- リネンサプライ
- 工業製品製造業
- 建設
- 造船・舶用工業
- 自動車整備
- 宿泊
- 鉄道
- 物流倉庫
- 農業
- 漁業
- 飲食料品製造業
- 外食業
- 林業
- 木材産業
- 資源循環
このうち「リネンサプライ」「物流倉庫」「資源循環」は、新たに追加された分野です。参考:「育成就労制度の制度概要・関係法令」(出入国在留管理庁)
4.育成就労で大きく変わる点
入国時に日本語要件がつく
技能実習では、入国前の日本語要件は分野・職種ごとに異なりました。育成就労ではこれが明確になり、入国時にA1相当(日本語能力試験N5など)の合格、または認定された日本語教育機関での講習受講が必要になります。さらに、特定技能1号へ移行するときはA2相当(N4など)が求められます。
採用側にとっては、日本語講習の費用を誰が負担するかを決めなければいけません。
本人の希望による転籍が認められる
技能実習は実習期間中の転籍が原則できませんでした。育成就労では、同一分野内で本人の希望による転籍が認められます。ただし「分野ごとに定める1年以上2年以下の期間を経過していること」「日本語と技能の試験に合格していること」など、いくつかの条件が付きます。
これまで「一定期間は固定で働いてもらえる」ことを技能実習のメリットと考えていた企業にとっては、ネガティブな点といえるかもしれません。
監理団体は監理支援機関に変わる
技能実習でいう監理団体は、育成就労では「監理支援機関」という名前に変わり、許可基準も厳しくなります。受入れ機関と密接な関係にある役職員の関与制限、外部監査人の設置など、独立性を高める仕組みが入ります。
5.新規採用で特定技能を中心にご案内している理由
kedomoでも、新規の外国人採用については特定技能を中心にご案内しています。理由は次の3点です。
企業のコスト・事務負担が読みやすい
特定技能では、登録支援機関への支援委託費が月2〜4万円程度と相場が固まっています。育成就労の監理支援機関は、技能実習の監理団体より厳しい体制が求められるため、費用が下がる方向にはなりづらく、企業負担はむしろ重くなる可能性があります。
外国人本人にとってのキャリアの自由度が高い
育成就労は同一分野内で1〜2年経過後の転籍に制限がつきます。特定技能は同じ分野内であれば最初から転職可能で、外国人本人にとってはキャリアの選択肢が広いです。優秀な人材を採用したい企業にとっても、自由度のある制度のほうが応募が集まりやすくなります。
長く働ける見通しが立つ
特定技能は1号で5年働いたあと、特定技能2号に移行できれば在留期間の更新に上限がなくなり、家族帯同も認められます。「長く日本で働きたい」と考える外国人にとっても、最初から特定技能を選ぶほうが、早く将来の見通しが立てられます。
なお、現在受け入れている技能実習生の経過措置はそのまま続きます。2027年3月末までに技能実習で在留している人は、現行制度のまま実習継続が可能で、技能実習2号・3号への移行も従来どおりです。施行後すぐに切り替える必要はありません。
まとめ
- 育成就労は2027年4月1日施行の新制度で、特定技能1号への移行を前提に設計されている
- 対象は17分野で、技能実習と違い入国時に日本語A1相当の要件がつく
- 企業の負担・人材のキャリア自由度・長期就労の見通しから、現時点では特定技能ルートに扱いやすさがある
- 現在受け入れている技能実習生は2027年4月以降も現行制度のまま継続できる
kedomoでは、特定技能の人材紹介と登録支援機関としてのサポートを行っています、現在の技能実習受入れからの特定技能への切替えのご相談も承ります。お気軽にお問い合わせください。
よくある質問
Q.育成就労制度とは何ですか?
A.技能実習に代わる新しい在留資格で、2027年4月1日に施行されます。原則3年の就労を通じて、特定技能1号水準の技能と日本語能力を持つ人材を育成・確保することが目的です。
Q.技能実習はいつまで受け入れできますか?
A.2027年3月末までに技能実習で在留している人は、現行制度のまま実習継続が可能です。技能実習2号・3号への移行も従来どおりです。参考:「育成就労制度Q&A」(出入国在留管理庁)
Q.育成就労の対象分野は何ですか?
A.特定技能19分野から「航空」「自動車運送業」を除いた17分野です。介護、建設、飲食料品製造業、外食業、農業、宿泊などが含まれます。
Q.育成就労では転籍はできますか?
A.本人の希望による転籍が認められます。同一分野内で1〜2年経過し、日本語と技能の試験に合格していることが条件です。
Q.新規に外国人採用するなら、育成就労と特定技能のどちらが向いていますか?
A.現時点では特定技能を中心にご案内しています。企業の費用負担が読みやすく、外国人本人も長く働く見通しが立ちやすい点が理由です。



