「月の支援費が1名あたり3万円を超えていて、これが本当に妥当なのか分からない」「聞きたいことがあるときに対応が遅い」。kedomoでも、登録支援機関見直しのご相談を受けることがあります。料金の高さと対応体制が見直しのきっかけになっているようです。
登録支援機関は、契約後に変更することができます。ただし、出入国在留管理庁への届出や外国人本人への説明などの手続きが必要です。本記事では、変更を検討する判断基準、変更手続きの5ステップ、変更時の注意点まで、企業の支援担当者の方に必要な情報をまとめます。
この記事でわかること
- 登録支援機関を変更すべきかの判断基準
- 変更手続きの5ステップと必要書類
- 業種別の支援機関選びのポイント
- 変更時に避けたいよくある失敗
執筆:株式会社kedomo(登録支援機関・外国人材紹介)
目次
1.登録支援機関の変更を検討するきっかけ
ご相談いただく中で、変更を検討するきっかけになっている事情は大きく2つに分かれます。
料金が想定より高い
法務省の2022年9月調査によると、登録支援機関に支払う支援費の平均は28,386円とされています。実際の現場では、1名あたり月3万円を超える契約も珍しくありません。複数名を採用すると月額負担は無視できない金額になります。
支援費の内訳がブラックボックスになっていないか、支援内容と金額が見合っているかを定期的に見直す価値はあります。
対応が遅い・連絡が取りづらい
質問してもレスポンスが遅い、面談が形骸化している、トラブル発生時に動いてくれない、といった声もあります。登録支援機関の業務は外国人本人との面談・相談対応・行政への届出補助など多岐にわたるため、対応の質が低いと外国人本人の定着率にも影響します。
2.登録支援機関を変更すべきかの判断基準
「不満がある」だけで変更に踏み切るのは早いです。以下の観点で現状を整理してから判断します。
費用面のチェックポイント
- 1名あたりの月額が3万円を超えていないか
- 採用人数増加時に料金が下がる仕組みがあるか
- 2年目以降に料金が下がる契約になっているか(外国人本人が日本生活に慣れると相談件数は減る傾向があります)
- 紹介料と支援費が実態以上に重複していないか
具体的な料金の考え方は特定技能の採用費用(支援料、人材紹介料など)で詳しく解説しています。
支援品質のチェックポイント
- 連絡へのレスポンスが営業日内に返ってくるか
- 月次の面談記録に具体性があるか
- 外国人本人がトラブル時に直接連絡できる体制があるか
- 業種特有の事情(夜勤・繁忙期・寮生活など)を理解した上で支援しているか
- 入管への届出を期限通りに支援できているか
3.登録支援機関の変更手続き5ステップ
変更手続きの全体像です。届出を期限内に行わないと、引き続き特定技能外国人を受け入れられなくなる場合があります。
①新しい委託先を選定する
複数の支援機関に問い合わせ、料金・対応範囲・業種実績を比較します。料金だけでなく、自社の業種や採用国に対する理解度を確認します。
②現支援機関へ解約通知を出す
現支援機関との契約書に従って解約通知を出します。多くの契約で1〜3か月前の通知が必要です。引き継ぎ書類のリスト(面談記録・支援実施記録・各種届出履歴)も同時に依頼します。
③新支援機関と支援委託契約を締結する
新しい支援機関と契約を結びます。契約書には委託する支援内容の範囲、料金、契約期間、解約条件を明記します。
④出入国在留管理庁へ届出を行う
変更日から 14日以内 に、以下の書類を地方出入国在留管理官署へ提出します。
- 支援委託契約に係る届出書(参考様式第3-3-2号)
- 登録支援機関との支援委託契約に関する説明書(参考様式第1-25号)
- 1号特定技能外国人支援計画書(参考様式第1-17号)
届出は 受入れ機関(企業)の責任 で行います。登録支援機関に委託することはできません。提出方法は持参・郵送・電子届出システムの3つです。郵送の場合、消印ではなく14日以内に管轄官署へ到着している必要があります。詳細は特定技能所属機関・登録支援機関による届出(提出書類)で確認してください。提出書類の全体像は特定技能の必要書類もあわせてご覧ください。
⑤外国人本人へ説明・同意を得る
支援機関が変わることは外国人本人にとって生活の窓口が変わることを意味します。母国語での説明資料を用意し、新支援機関の連絡先・面談スケジュールを共有します。本人の理解と同意を得たうえで切り替えを行います。
4.次の支援機関選びで契約書を確認するポイント
入管は登録支援機関との契約書のひな型(参考様式第5-10号)を公開しており、このひな型をベースにした契約書を使う支援機関が多くあります。ただし、ひな型のままでは料金や解約条件などの細部が決まっていません。契約前に以下のポイントを確認しておくと、変更後にまた同じ理由で見直しを迫られる事態を防げます。
4-1.委託料の内訳と追加料金の発生条件
月額の委託料に含まれる業務の範囲を契約書で明確にします。ひな型の第2条には「契約に書かれていない業務が出たときは、両者で話し合って料金を決める」という条項があり、この「話し合い」のルールがあいまいなまま契約を結ぶと、あとから想定外の追加料金が発生することがあります。
特に揉めやすいのは以下のような項目です。
- 来日時の空港送迎にかかる交通費(実費は企業負担か、月額に含むか)
- 対面面接や定期面談の交通費(遠方の場合の出張費を含む)
- 各種書類の作成業務(在留期間更新の補助・住居契約書の翻訳など)
- 在留カード更新時の同行
- 採用人数が増えたときの単価設定
これらが月額に含まれるか、別途請求されるかを契約書で確認します。
4-2.契約期間と解約条件
- 契約期間(1年契約か、自動で更新されるか)
- 解約を申し出る期間(1か月前/3か月前/6か月前など)
- 中途解約のときの違約金や、残りの期間の支援費の精算方法
- ひな型には解約条件の細かい部分が書かれていないため、追記された内容を必ず確認する
4-3.委託する支援内容の範囲(全部委託か一部委託か)
- 義務的な10項目の支援のうち、全部を委託するか、一部だけ委託するか
- ひな型の第1条は「全部委託」が前提
- 一部委託の場合は、自社で行う部分と委託する部分の境目を契約書に明記する
- 全部委託にすると、企業側の支援体制の基準を満たしたものとみなされる
契約書は支援機関を選ぶときの最後の確認ポイントです。ひな型をそのまま使っているのか、独自の条項を追記しているのか、追記された内容が企業に不利な内容になっていないかを必ず確認します。
5.制度変更が支援機関選びに与える影響
特定技能制度は2025年4月から運用ルールが変更されました。変更点は支援機関選びにも影響します。
定期届出は3か月ごとから 年1回 にまとまり、報告内容は「受入れ状況」「支援状況」を一本化した形に統合されました。届出回数は減りましたが、年1回の届出を正確にまとめる集計力と、随時届出を漏れなく提出する管理力の両方が求められます。
不正行為の範囲も拡大しました。外国人本人の意思表示を妨げる行為(労働条件の不満を伝えづらくする・転職を不当に制限する・相談窓口への連絡を妨害するなど)が新たに追加され、発覚した場合は所属機関・登録支援機関ともに許可取り消しの可能性があります。外国人本人に寄り添った相談対応ができる支援機関を選ぶことが、リスク管理の面でも重要になっています。
加えて、外国人の活動地・住居地の自治体へ協力確認書を提出することが義務化されました。地域の自治体や生活インフラと連携する経験がある支援機関は、この対応もスムーズです。
6.変更時のよくある失敗
在留期間更新の直前に変更してしまう
在留期間更新の申請は支援体制を含めた書類一式が必要です。更新申請の直前に支援機関を変えると書類の整合性確認に時間がかかり、更新手続きが間に合わないリスクがあります。更新時期から逆算して、最低でも2〜3か月前には変更を完了させます。
引き継ぎ書類の整理が漏れる
面談記録・支援実施記録・行政への届出履歴を現支援機関から確実に受け取ります。これらは新支援機関が引き続き支援を行ううえで必要な情報であり、定期届出の継続性にも関わります。契約解除前に書類引き継ぎの範囲を文書で合意しておきます。
外国人本人への説明が不足する
支援機関が変わることを外国人本人が理解していないと、新支援機関への信頼が築けず、相談が来なくなります。母国語での説明資料を用意し、新旧両方の担当者が同席する場を設けるのが理想です。
7.まとめ
- 登録支援機関は契約後でも変更でき、料金と対応品質が主な見直し理由となる
- 支援内容と金額が見合っているかの定期的な見直しが有効
- 変更手続きは新支援機関の選定から外国人本人への説明まで5ステップで進める
- 入管への届出は変更日から14日以内に受入れ機関の責任で行う
- kedomoは養殖・外食・製造・介護・造船のほか、16分野の支援にも対応
支援機関の見直しを検討中の企業様は、登録支援機関の業務からお気軽にご相談ください。
Q&A
Q1.登録支援機関は変更できますか?
A.契約後でも変更できます。 新しい支援機関と契約を結び、変更日から14日以内に出入国在留管理庁へ届出を行えば変更可能です。届出は受入れ機関の責任で行います。
Q2.変更時の費用相場はどれくらいですか?
A.月額の支援費は1名あたり1.5〜3万円程度が目安です。 法務省の2022年9月調査では平均28,386円とされています。詳細は特定技能の採用費用(支援料、人材紹介料など)をご覧ください。
Q3.変更時に外国人本人の同意は必要ですか?
A.法律上の同意要件はありませんが、母国語での説明と理解の確認は必須です。 生活の窓口が変わるため、本人の信頼を新支援機関に引き継げないと相談が来なくなります。
Q4.在留期間更新の直前に変更しても大丈夫ですか?
A.推奨しません。 更新申請には支援体制を含む書類一式が必要で、直前変更は手続き遅延のリスクがあります。更新時期から2〜3か月前には完了させてください。
Q5.自社で支援に切り替えることもできますか?
A.要件を満たせば可能です。 条件を満たすと登録支援機関への委託は不要になります。詳しくは特定技能の支援を自社で行う方法をご覧ください。





